摂取したもの2018年6月
6月は春アニメの『銀河英雄伝説 die neue these』で初めて銀英伝について触れたこともあり、アニメじゃ遅い!もう原作を読む!となった次第。無事7月に読み終えた。
『ペンギン・ハイウェイ』は映画の予習の為(現在公開中)であったが、なんと近場で映画がそもそもやっていない事実。なんてことだ!膝から崩れ落ちた。今も凹んでいる。この世には二種類の人間がいるのだ。平成最後の夏に『ペンギン・ハイウェイ』を観た人間と観ていない人間だ。今まさに人類は試されている。平成の夏に取り残される人間とその先に行ける人間の生存戦略。
新たな気付きといえば『愛しき女に最後の一杯を』というタイトルから全く期待せずに読んでいたハードボイルド本なんだが、本作の作劇上の男性性と母性の関係性から飛行における宮崎駿との相違点なんかはブログ用だなと思っていたけども、まだ手つかず。書くにはもう一度『風立ちぬ』観ないと難しいし、アウトプットの体力どうにかならんか。でも、宮崎駿という作家にハードボイルドの切り口は個人的にハマった。
あとは、まあね、観てしまったよ。傑作アニメ『宇宙よりも遠い場所』を。その影響で南極本『すてきな地球の果て』を一冊。結果的にこのアニメを色んな人に勧めたのだけど、あまりピンと来なかったリアクションばかりで何故か私が弁護している始末。マクロとしてもミクロとしても素晴らしい物語だと思うのだが。語れば語るほど言い訳がましく映る気がするのもいただけない。
挙句の果てには「あなたが絶賛する割には?」と言われた。なんかハードルの高さとは一体。自意識の檻を壊せ。
この半年で読んだ本ベスト5に入る桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』について別記事で軽く書いたが、もっと早くに出逢えば良かった。あの小説を読んだ人にとっては、ある意味この感想自体が非常に危うい表現であるに違いないのも含めて作品の強烈さだった。
山口雅也『落語魅捨理全集』
ボブ・エクスタイン『世界の夢の本屋さんに聞いた素敵な話』
片岡義男『珈琲が呼ぶ』
田邊優貴子『すてきな地球の果て』
森岡薫『最強プロに学ぶフットサル個人技完全マスター 連続写真で動きがわかる!プレーのコツもしっかり伝授!』
ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』
宮崎駿『続・風の帰る場所』
ドナルド・E・ウェストレイク『悪党たちのジャムセッション』
石川善樹『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』
ウィリアム・アイリッシュ『死刑執行人のセレナーデ』
辻村深月『名前探しの放課後 上・下』
ミゲル・ロドリゴ『決断力の磨き方』
ドナルド・E・ウェストレイク『嘘じゃないんだ!』
ドナルド・E・ウェストレイク『我輩はカモである』
宮崎駿『折り返し点』
ドナルド・E・ウェストレイク『最高の悪運』
ジョン・サンドロリーニ『愛しき女に最後の一杯を』
伊藤計劃『ハーモニー』
道尾秀介『シャドウ』
おおたまラジオ第1.7回『サマーウォーズ』の不満点を身体性の有無とその距離感から語る
『サマーウォーズ』の不満点を身体性の有無とその距離感から語る
前回に尺足らずで喋れなかった『サマーウォーズ』について語るだけのおおたまラジオ番外編です。前回の延長戦と考えてください→
おおたまラジオ番外編「ぼくのなつやすみは日本人の原風景と宗教」 - フトボル男
『サマーウォーズ』がセカイ系だとかは一先ず置いといて、「仮想空間」や「仮想現実」や「拡張現実」といったスペースが持つリアリティとしての強度に、個人レベルのみならず社会インフラも管理して世界的展開しているのが本作が持つフレームだと思います。それが結果的にセカイ系の匂いを醸し出し、対比としてローカルな大家族の中での少年少女の物語へ帰結していきました。
この作品内では「仮想空間」におけるアバターの身体性が機能している設定でしょう。ラジオ内では『どうぶつの森』とかの延長線だと喋りましたが、『セカンドライフ』が正しく爆発的に展開された後は『サマーウォーズ』みたいなものだったかもしれません。規模や技術展開やモチーフは厳密には違いますが、『サマーウォーズ』のアバターの親和性はリアルの生活の延長にあります。
その身体性の有無については『デジモン』を引用しました。かつて『デジモン』では処理できていた設定を『サマーウォーズ』では出来なかった原因は、明らかに私たちが生活している世界の延長として描いているためでしょう。
『デジモン』はやはり少年少女のためのファンタジーです。どう考えてもそれは揺るぎません。アニメは子どもたちのためにあるという思想があるからです。宮崎駿的です。現実の私たちはデジタルワールドに行けません。あの夏を彼らと一緒に過ごすことはできません。私たちは〝選ばれし子供たち〟にはなれないんです。
それに対して『サマーウォーズ』の世界は現実の可能性の一つになると思います。そうなると、アバターによる身体性の仮託が関の山だったわけです。そこに付随させていくには『攻殻機動隊』のように「拡張現実」との連動に伴うデバイスからの卒業と一致を描かないといけない。それはより近未来的で現実の時代性と文化と距離が生じます。そうではなくてより身近な未来として、技術として表現したのが『サマーウォーズ』とするならば、それによって違う距離感が生まれたのは皮肉としかいいようがないでしょう。
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おおたまラジオ第1.6回「ぼくのなつやすみは日本人の原風景と宗教」
ぼくのなつやすみは日本人の原風景と宗教
おおたまラジオ番外編です。またしても一人喋り。いつになったら第2回は行われるのだろうか。未定です。
今回は突発的な雑談回で明確なゴール設定がありません。
なんだか8月が終わるから夏の話をしたいなと思っていました。
夏といえば。
祭り?花火?西瓜?海?プール?BBQ?浴衣デート?水族館デート?キャンプ?
そんなの喋っても超つまらないでしょ。楽しいけど、面白くないでしょ。
で、個人レベルではなく、ビッグピクチャー的な夏を語るとなると神ゲー『ぼくのなつやすみ』がフックとしてあると思い付いたわけです。
ザックリいえば『ぼくのなつやすみ』におけるノスタルジーの体験とシェアが時代性を飛び越えるのはもはや宗教みたいなもん!って内容です。
喋っていく内に色々と爆発して、最後に『サマーウォーズ』と『デジモン』の身体性の有無における差異について喋るつもりが尺足らず。細田守の夏休み映画といえば入道雲。あのカットに蝉時雨。なんか胸がスッとしますよね。そういうのも喋る予定だったのに…やはり全体のある程度のデザインは必要だと反省。
きっとラジオ内で言及したスピリチュアル系も宗教の一部については首肯できない部分もあると思いますが、それだけ宗教観が固定化されていて本来身近なもの、だって日本は八百万の神が存在する国ですから、見えていたのに見えなくなった=大人になると見えない『トトロ』の世界ですよ。糸井重里が声を充てているお父さんにはトトロ見えないでしょ。あれ、大人になった私たちのことですよ。みんなジブリ好きでしょ。金ローでやっていたら観るでしょ。実況ツイートするでしょ。相変わらず視聴率高いでしょ。あの共有された瑞々しい夏の心象風景というのは日本人の宗教と言っていいと思います。
極め付けは『魔女の宅急便』の主題歌。トトロと順序が逆ですが。
ユーミンの『やさしさに包まれたなら』の冒頭なんて確信的。これは日本人だから書ける感覚なんですよ。
小さい頃は神さまがいて
不思議に夢をかなえてくれた
日本的価値観というのはアップデートされていっています。アナログからデジタルへ。ラジオ内でも喋っていますが、昆虫採取をしなかった私はポケモンやデジモンを捕まえていました。代替ですよ。私にとってクワガタを捕まえることはポケモンを捕まえて育てるのと同質。
それが日常的だったのにも関わらず、『ぼくのなつやすみ』はゲームで〝ぼく〟をロールプレイすることで時代と風景とライフスタイルと文化を超越して一旦立ち返らせる技術がありました。魔法です。振り向けば夏です。私には非日常的な夏の過ごし方がゲームを通して日常化したのです。
私はアナログとデジタルの橋渡しである過渡期を過ごした少年時代だったのでこのノスタルジーへの没入感を堪能できましたが、今の小学生や中学生には共有できるのかという疑問はあります。だから今後『ぼくのなつやすみ』が作られるならば私たちのような大人になってしまった〝少年たち〟をターゲットにするんだろうなと。
もう、8月が終わりますね。
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