おおたまラジオ

可哀相じゃない!

朝井リョウ『世にも奇妙な君物語』感想 だから「わたし」と「君」に着地する

この世は舞台、人はみな役者 シェイクスピア『お気に召すまま』 世にも奇妙な君物語 (講談社文庫) 作者: 朝井リョウ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/11/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 本稿は「脇役バトルロワイアル」のみを取り扱い…

ヤマシタトモコ『違国日記』2巻感想 記号化された対比への祈り

違国日記 2 (フィールコミックスFCswing) 作者: ヤマシタトモコ 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2018/05/08 メディア: コミック この商品を含むブログ (2件) を見る futbolman.hatenablog.com 2巻は「対比」が多く用いられている。 詳しくは以下で記してい…

加藤千恵『ラジオラジオラジオ!』感想 肥大化した虚構としての東京と痛々しい自意識を巡る

ラジオラジオラジオ! (河出文庫) 作者: 加藤千恵 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2019/05/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 地元のラジオ局で番組をもつ、高校3年生の華菜と智香。智香の声が好きでラジオに誘った華菜は、東京に行く日…

おおたまラジオについて

インターネットラジオのおおたまラジオを聴いて下さっている方、聴いていた方々どうもありがとうございます。 おおたまラジオは昨夏から毎月1本という更新ペースで配信していたわけですが、ラジオ2年目というタイミングだからこそ今後のコンセプトの具体的な…

ヤマシタトモコ『違国日記』1巻感想 他者性という祈りと孤独への準備

違国日記 1 (フィールコミックス FCswing) 作者: ヤマシタトモコ 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2017/11/08 メディア: コミック この商品を含むブログ (2件) を見る 1巻を読んだら傑作だった。 とても素晴らしいマンガだったので、感想を如何に記していく…

古市憲寿『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』感想 あきらめによるモラトリアムの延長と成熟という名の幼稚化の拡大を図る

政夫:今日は古市憲寿さんの『希望難民ご一行様』という本、2010年に刊行された本について僕らが頑張って読み解いていこうと。 希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 (光文社新書) 作者: 古市憲寿,本田由紀 出版社/メーカー: 光文社 発売日:…

おおたまラジオ第11回 古市憲寿『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』 現代的な生きづらさに起因する若者像と成熟モデルのアップデートを図る

聴いて下さった方々、ありがとうございました。 『さらざんまい』を観て下さい。それだけを望みます。 欲望を手放すな。 希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 (光文社新書) 作者: 古市憲寿,本田由紀 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2010/…

おおたまラジオ第10回 突発的超雑談/谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い』喪157感想

政夫:一応第10回と銘打ちましたけど、今回は本来ならば古市さんの『希望難民ご一行様』をもとに読み解いていこうかなという流れだったんですけど、今日はちょっと違うということですよね。 希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 (光文社新…

おおたまラジオ第9.5回 

podcast-is.seesaa.net おおたまラジオ第10回の「自分探し回」は5月26日に収録予定です。 課題図書は古市憲寿の『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』となります。 「自分探し」の文脈は、ラジオでいうと第8回によるものです。 お前ら、…

森田るい『我らコンタクティ』 現実を見ているからこそロマンが見れる

ろこ:今回のテーマがマンガじゃないですか。相当難易度高いと思うんですよ。 俺はある種、一回目に読んだ時に、マンガ=物語として楽しんで面白かったなとなったんだけど、そんで政夫君と打ち合わせというか話すじゃないですか。全然違う視点が出てくるわけ…

SNSとクラスタ化に伴うフィルターバブルについて

政夫:ポッドキャスト、地味に更新しているじゃないですか。 podcast-is.seesaa.net ろこ:はいはい。 政夫:第7回のスロウハイツの回をちまちまと更新している(笑) で、僕のおおたまラジオツイッターアカウントでは、ろこさんがポッドキャスト化したリン…

おおたまラジオ第9回 ポッドキャスト論/批評とレビュー/森田るい『我らコンタクティ』

~17:55 ポッドキャストとSNSの使用について ~35:40 批評とレビューの違いと観測によるエンドレス・ミー問題 ~1:35:54 森田るい『我らコンタクティ』の感想と疑問 マンガを語るという多角的な読み方に対する一面的な固定化に伴う内在的な問題 平成最後のお…

森田るい『我らコンタクティ』感想 ロマンと現実を巡る功罪

我らコンタクティ (アフタヌーンKC) 作者: 森田るい 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/11/22 メディア: コミック この商品を含むブログ (3件) を見る 第1話 仕事をやめられるかもの巻 第2話 八百屋お七で危機一髪!の巻 第3話 お兄ちゃんと夜明けの巻 …

村田沙耶香『消滅世界』感想 新世界に飲まれた僕たちの普通という暴力性

消滅世界 (河出文庫) 作者: 村田沙耶香 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2018/07/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 私たちが信じている価値観を基準に、作中の価値観から逆説的に差し引いたものが「普通とは」という問いに繋がっていく…

安里アサト『86―エイティシックス―』感想 壁の外で生きるということ

86―エイティシックス― (電撃文庫) 作者: 安里アサト,しらび,I-IV 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/02/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (10件) を見る 戦線から遠のくと楽観主義が現実にとって代わる。そして最高意思決定の段階では現実なる…

『revisions リヴィジョンズ』感想 ハードな世界を生き残るには主人公であるべきなのか

谷口悟朗監督作『リヴィジョンズ』を観た。 revisions リヴィジョンズ BD-BOX [Blu-ray] 出版社/メーカー: エイベックス・ピクチャーズ 発売日: 2019/06/28 メディア: Blu-ray この商品を含むブログを見る よく出来た群像劇だと言えるのではないだろうか。 …

『ゆるキャン△』感想 ゆるいからこそ担保される多様性

私の基本的な『ゆるキャン△』感想の文脈は以下にある通りであるので、本記事はその総括という名の補足です。 ゆるキャン△ 3 [Blu-ray] 作者: 大塚明夫 出版社/メーカー: フリュー 発売日: 2018/07/25 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (2件) を見る f…

西加奈子『漁港の肉子ちゃん』感想 悲観主義があるからこそ肉子ちゃんは絶対的な物語として存在する

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫) 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2014/04/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (19件) を見る 解説にあるように「自意識の対立」構造を如何に折り合いを付けていくのか、という西加奈子らしいタッチを、…

おおたまラジオ第8.5回 マンガを語るのって難しい/『ゆるキャン△』/# 平成ミステリベスト

これから定期的におおたまラジオ番外編をやっていきたいと思います。 こちらの番外編は文字起こしをしない(するまでもない)内容について語っていくということで、私自身のアウトプットの場を、特に喋りの向上を目指していく予定です。 いや、最近、ブログ…

相対化していく途中で自分探しが止まらない 『ブリグズビー・ベア』を添えて

ろこ:こんばんは。第8回。モヤっとしますね。番外編を聴きましたよ。 futbolman.hatenablog.com 政夫:ありがとうございます。 ろこ:なんすか、鋭いパスというか、受け手を全く考えていない。 政夫:鋭いパス(笑) 番外編は、今の時代的に居場所を変えて…

自分を変えるか、世界を変えるか。いや、居場所を変えろ! 異世界転生と『宇宙よりも遠い場所』と『ブリグズビー・ベア』

こんばんは。 おおたまラジオ番外編です。 2019年に入ってから、える・ろこさんと毎月一度はおおたまラジオをやっていきたいよね、というのを隠れテーマにやっているんですけど、映画を立て続けに傑作を2本を観て、一人喋りの意欲が湧いたというか、今月のお…

摂取したもの2019年2月 『スロウハイツの神様』 『インド倶楽部の謎』

作劇上で、天才と呼ばれているキャラが作った作品を作中で示しても、その天才を取り巻く作中の彼らがスゲー言っているだけだったり、分かり易い大衆の驚嘆だったり、ヒットした客観的な数字や事実の列挙でしかないのはあるあるであるが、じゃあどのように説…

辻村深月『スロウハイツの神様』感想 僕らはこの現実と「世界」とどう向き合っていくのか

総論「スロウハイツ」と「家族」と「愛」 『スロウハイツの神様』は「お仕事系」ではなく「日常系」だ 狩野壮太からみえるクリエイター論 擬似家族としてのスロウハイツとリアル家族 長野正義は「鋏」を取り出した男 拝島問題 若いから物語を愛せるのか チヨ…

おおたまラジオ第7回 辻村深月『スロウハイツの神様』読書感想会 絶望を希望に、物語の意味を信じて肯定した人々

おおたまラジオ第7回 辻村深月『スロウハイツの神様』 絶望を希望に、物語の意味を信じて肯定した人々 おおたまラジオ過去最長の3時間超という圧倒的ボリュームで、辻村深月の傑作小説『スロウハイツの神様』を語りました。 いやー、このためにレジュメ10枚…

摂取したもの2019年1月

小説は『NHKにようこそ!』だけ。 かつて友人に「お前は絶対読んだ方がいいよ」と冗談で勧められたこともあって、今回が初読みであったが、あまり乗れなかった。 『ゼロ年代の想像力』で述べられている倫理的な問題点として浮かび上がる傷の舐め合い的レイプ…

『ゆるキャン△』感想 自己完結中のソロ充の志摩リンよ、どこへ行く?

まったりと『ゆるキャン△』を観ている。 ゆるキャン△ 1 [Blu-ray] 出版社/メーカー: フリュー 発売日: 2018/03/28 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (9件) を見る 文脈は以下の1話感想記事で概ね語っているので、そちらを先にどうぞ。 本当は國分功一…

摂取したもの2018年12月

昨年末は『SSSS.GRIDMAN』を観ていた。 その記憶しかないのだけど。え、『GRIDMAN』しか観てなかったっけ。 ずっと観たかった『ボヘミアン・ラプソディ』もクリスマス前にはようやく観れて、その感想をラジオで話したこともあった。一部で褒めていただき感謝…

フットサルのポエム化と観測位置の苦悩

政夫:フットサルのポエム化の話をしてもいいですか。 ろこ:いいよいいよ!それは。 政夫:分かるんですよ。フットサルの実況ツイートって単語、単語、単語みたいになっちゃうじゃないですか。在原さんとかがやっていたのはハッシュタグでタグ付けするとい…

『ゆるキャン△』第1話「ふじさんとカレーめん」感想 自己完結しているソロ充の現在地

政夫:『ゆるキャン△』第1話を観たという感想を話したいと思います。 ろこ:またアニメかよ… 政夫:いや、やろうって言ったのろこさんですよ(笑)積極的に動いたのは。 ろこ:いや。確認してください。あの、話せる強度をね。 政夫:僕は第一話しか観ていな…

おおたまラジオ第6回 『ゆるキャン△』第1話「ふじさんとカレーめん」感想 ボッチへの解答としてのソロ充

動画時間 12:45~『ゆるキャン△』第1話感想 〝ボッチ〟への解答としてのソロ充 聴いて下さった方々、ありがとうございました。 冒頭にあるように昨夜は色々とバタバタしてしまい、主に自滅といいますか、予告していたろこさんが語るセレッソ大阪話はお蔵入り…