おおたまラジオ

可哀相じゃない!

読書

山崎亮『コミュニティデザインの時代』を問う 公共性と「活動」の再編

futbolman.hatenablog.com 本稿は上の文章の延長にあるので、まずはそちらを参照していただきたい。 取り上げた山崎亮の本に対して、私はハンナ・アーレント的であると最終的には位置づけた。不透明になった公共性と「私」と「公」を結ぶ中間領域(つながり…

山崎亮『コミュニティデザインの時代』感想 つながり、中間項、「活動」を求めて

コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書) 作者:山崎 亮 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2012/09/24 メディア: 新書 コミュニティデザインとは何だろうか。 最初にコミュニティデザインについて単語毎に分けて見ていく。…

本と私 いかに時間を調整していくか

本を読む際には「中」を読むのと同時に「外」を読むことが大事だと考えています。 本を読むのは大変です。 なんといっても「読む」ことが難しい。只でさえ「中」を読むのに四苦八苦するのに「外」も読まなければならない。 昨年末から「文学」について考えて…

田中辰雄、浜屋敏『ネットは社会を分断しない』感想 分断を引き起こしかねない内面性

ネットは社会を分断しない (角川新書) 作者:田中 辰雄,浜屋 敏 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/10/10 メディア: 新書 本書の結論はまさしくタイトル通りとなる。 この結果は、事前の私たちが抱くような一般的なイメージや価値観や分断を促してきた…

オスカル・P・カノ・モレノ『バルセロナが最強なのは必然である』感想 サッカーを批評するということ

バルセロナが最強なのは必然である グアルディオラが受け継いだ戦術フィロソフィー 作者:オスカル・P・カノ・モレノ 出版社/メーカー: カンゼン 発売日: 2011/09/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) 本書には明らかに言葉の回復と再起動が立ち上げられて…

渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』 サブカルチャーの現場から文学への素朴な応答

「体験に対する胎盤」たりうる物語の「かたち」とは何か、が本書における最大の問いである。それはまた、様々な物語を通過儀礼という「凡庸」で「紋切り型」の「物語」に徹底的に還元することで、その可能性を探ろうとする試みでもある。現代文学がそのアイ…

朝井リョウ『世にも奇妙な君物語』感想 だから「わたし」と「君」に着地する

この世は舞台、人はみな役者 シェイクスピア『お気に召すまま』 世にも奇妙な君物語 (講談社文庫) 作者: 朝井リョウ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/11/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 本稿は「脇役バトルロワイアル」のみを取り扱い…

ヤマシタトモコ『違国日記』2巻感想 記号化された対比への祈り

違国日記 2 (フィールコミックスFCswing) 作者: ヤマシタトモコ 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2018/05/08 メディア: コミック この商品を含むブログ (2件) を見る futbolman.hatenablog.com 2巻は「対比」が多く用いられている。 詳しくは以下で記してい…

加藤千恵『ラジオラジオラジオ!』感想 肥大化した虚構としての東京と痛々しい自意識を巡る

ラジオラジオラジオ! (河出文庫) 作者: 加藤千恵 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2019/05/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 地元のラジオ局で番組をもつ、高校3年生の華菜と智香。智香の声が好きでラジオに誘った華菜は、東京に行く日…

ヤマシタトモコ『違国日記』1巻感想 他者性という祈りと孤独への準備

違国日記 1 (フィールコミックス FCswing) 作者: ヤマシタトモコ 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2017/11/08 メディア: コミック この商品を含むブログ (2件) を見る 1巻を読んだら傑作だった。 とても素晴らしいマンガだったので、感想を如何に記していく…

古市憲寿『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』感想 あきらめによるモラトリアムの延長と成熟という名の幼稚化の拡大を図る

政夫:今日は古市憲寿さんの『希望難民ご一行様』という本、2010年に刊行された本について僕らが頑張って読み解いていこうと。 希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 (光文社新書) 作者: 古市憲寿,本田由紀 出版社/メーカー: 光文社 発売日:…

おおたまラジオ第10回 突発的超雑談/谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い』喪157感想

政夫:一応第10回と銘打ちましたけど、今回は本来ならば古市さんの『希望難民ご一行様』をもとに読み解いていこうかなという流れだったんですけど、今日はちょっと違うということですよね。 希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 (光文社新…

森田るい『我らコンタクティ』 現実を見ているからこそロマンが見れる

ろこ:今回のテーマがマンガじゃないですか。相当難易度高いと思うんですよ。 俺はある種、一回目に読んだ時に、マンガ=物語として楽しんで面白かったなとなったんだけど、そんで政夫君と打ち合わせというか話すじゃないですか。全然違う視点が出てくるわけ…

森田るい『我らコンタクティ』感想 ロマンと現実を巡る功罪

我らコンタクティ (アフタヌーンKC) 作者: 森田るい 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/11/22 メディア: コミック この商品を含むブログ (3件) を見る 第1話 仕事をやめられるかもの巻 第2話 八百屋お七で危機一髪!の巻 第3話 お兄ちゃんと夜明けの巻 …

村田沙耶香『消滅世界』感想 新世界に飲まれた僕たちの普通という暴力性

消滅世界 (河出文庫) 作者: 村田沙耶香 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2018/07/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 私たちが信じている価値観を基準に、作中の価値観から逆説的に差し引いたものが「普通とは」という問いに繋がっていく…

安里アサト『86―エイティシックス―』感想 壁の外で生きるということ

86―エイティシックス― (電撃文庫) 作者: 安里アサト,しらび,I-IV 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/02/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (10件) を見る 戦線から遠のくと楽観主義が現実にとって代わる。そして最高意思決定の段階では現実なる…

西加奈子『漁港の肉子ちゃん』感想 悲観主義があるからこそ肉子ちゃんは絶対的な物語として存在する

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫) 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2014/04/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (19件) を見る 解説にあるように「自意識の対立」構造を如何に折り合いを付けていくのか、という西加奈子らしいタッチを、…

摂取したもの2019年2月 『スロウハイツの神様』 『インド倶楽部の謎』

作劇上で、天才と呼ばれているキャラが作った作品を作中で示しても、その天才を取り巻く作中の彼らがスゲー言っているだけだったり、分かり易い大衆の驚嘆だったり、ヒットした客観的な数字や事実の列挙でしかないのはあるあるであるが、じゃあどのように説…

辻村深月『スロウハイツの神様』感想 僕らはこの現実と「世界」とどう向き合っていくのか

総論「スロウハイツ」と「家族」と「愛」 『スロウハイツの神様』は「お仕事系」ではなく「日常系」だ 狩野壮太からみえるクリエイター論 擬似家族としてのスロウハイツとリアル家族 長野正義は「鋏」を取り出した男 拝島問題 若いから物語を愛せるのか チヨ…

宇野常寛編『PLANETS10』を読解して『PLANETS11』を予想する

本稿は『PLANETS10』の一部の文脈のみを恣意的に取扱い、それを読解していくことで次号の『PLANETS11』への足掛かりといった予想を膨らませる記事である。 手掛かりは『PLANETS10』で提示されている。 PLANETS vol.10 作者: 宇野常寛,家入一真,イケダハヤト,…

2018年俺の読書ベスト10選

鈴木敏夫『禅とジブリ』 宇野常寛編『PLANETS10』 西尾維新『少女不十分』 宮台真司『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』 広瀬和生『噺は生きている 名作落語進化論』 大江健三郎『叫び声』 打海文三『愛と悔恨のカーニバル』 鈴木大拙『東洋的な見方』…

『GIANT KILLING』49巻 感想

政夫:『ジャイキリ』新刊を読んだんですよ。49巻。今、日本代表戦やっているんですよね。アジアカップ。で、49巻の内容はメインは中国戦で、監督のモデルがリッピなんです。 ろこ:懐かしい。 政夫:W杯優勝したイタリア人というプロフィールなんで、リッピ…

村田沙耶香『コンビニ人間』感想 普通とは何か?を超えて

ろこ:読書の秋です。 政夫:ちょっといいですか。オードリー若林の『ナナメの夕暮れ』は読み終わったんですか。 ろこ:正確には読み終えていないです。まだ読んでいます。面白く読ませて貰っています。 政夫:直近のANNの若林のトークゾーンで『ナナメの夕…

山口つばさ『ブルーピリオド』が描く共感と体験

政夫:山口つばさの『ブルーピリオド』っていう漫画がありまして。これ、去年くらいから友人にオススメされていて。この『ブルーピリオド』が『桐島、部活やめるってよ』のアンチテーゼなんですよね。 ろこ:おー、大きく出たな。 政夫:どういう話なのかと…

酒井田寛太郎『ジャナ研の憂鬱な事件簿』を米澤穂信『古典部シリーズ』のパクリだという人へ

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫) 作者: 酒井田寛太郎 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2017/05/18 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る 酒井田寛太郎『ジャナ研の憂鬱な事件簿』が米澤穂信の『古典部シリーズ』に類似しているとの情報を…

生態系における人間を観察者として捉える

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫) 作者: 谷川流,いとうのいぢ 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2003/06/01 メディア: ペーパーバック 購入: 20人 クリック: 1,535回 この商品を含むブログ (1478件) を見る 早い話、人間原理である。 生態系とは生物…

摂取したもの2018年9月 村上春樹

9月は「村上春樹を読む」再デビューの記念となった。 10代の時に父親の本棚から『羊をめぐる冒険』を借りて読んで(サッパリ分からん)オシマイになっていたから、それ以来の挑戦だったわけだ。 イメージが変わった。 最近の発見としてハルキストって揶揄さ…

麻耶雄嵩『友達以上探偵未満』感想 新世界へ行け少女たち

友達以上探偵未満 作者: 麻耶雄嵩 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2018/03/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (7件) を見る 麻耶雄嵩にしては普通である。 しかし、新しい。 世界を壊し、尽く読者を素晴らしく裏切ってきた作者・麻耶雄嵩にして…

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている12巻』 比企谷八幡のジレンマ

futbolman.hatenablog.com 本記事は上記のリンク記事の補論として書かれたものである。 その前提で展開されていくものであるから、ご容赦いただきたい。 12巻の終盤にて、本作のトリックスターであり、唯一の贔屓目ではないバランサーとして、また外部の視点…

ニナ・サドウスキー『落ちた花嫁』 読書感想

futbolman.hatenablog.com 落ちた花嫁 (小学館文庫) 作者: ニナサドウスキー,Nina Sadowsky,池田真紀子 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2018/06/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る アバウトなおおたまラジオ文字起こし 紹介したい小説はニナ・…