おおたまラジオ

しまいには世の中が真っ赤になった。

memo

安里アサト『86―エイティシックス―』感想 壁の外で生きるということ

86―エイティシックス― (電撃文庫) 作者: 安里アサト,しらび,I-IV 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/02/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (10件) を見る 戦線から遠のくと楽観主義が現実にとって代わる。そして最高意思決定の段階では現実なる…

西加奈子『漁港の肉子ちゃん』感想 悲観主義があるからこそ肉子ちゃんは絶対的な物語として存在する

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫) 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2014/04/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (19件) を見る 解説にあるように「自意識の対立」構造を如何に折り合いを付けていくのか、という西加奈子らしいタッチを、…

おおたまラジオ第6回やります セレッソ大阪と『ゆるキャン』

www.youtube.com 2019年1月12日の22時か23時くらい(時間の調整がまだですが笑)から、える・ろこさんと今年一発目のおおたまラジオをやります。 メニューは、える・ろこさんによるセレッソ大阪の話がメインです。 彼は古参のセレッソサポで、今回の山口蛍移…

志村貴子『青い花』 壊れてしまいそうな閉じた世界

青い花 Blu-ray BOX 出版社/メーカー: メディアファクトリー 発売日: 2013/09/06 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (15件) を見る アニメ『青い花』を観た。 百合とか分からん身分であるにしても、志村貴子の作品で繰り広げられる世界は徹底的にマイ…

2015年から2016年に書いたテクストをブログに移した。 この際だから改訂作業をしてみようと試みたが、殆ど手を付けないまま組み込んだ。 ぶち込んだ文書は大体が『読書』と『memo』へ。 2016-01-01から1年間の記事一覧 - フトボル男 これで空白だった2016年…

グロ描写アレルギーの私がオススメできる凄い本

グロ耐性が無い。 医療ドラマのオペシーンですら無理。出血シーンも相当厳しい。 宇多丸師匠のATB映画の『アポカリプト』を観た時のショッキングさは忘れない。グロ抜きでも映画自体の内容も衝撃的だったけど。 「暴力の上書き保存」が描かれたことから考え…

メールで良かった

映画を観た。 アニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』を観た。 面白いだとか好みだとか置いといて凄かった。 衝動的に複数の知り合いに夜深い時間帯にメールを書き殴り、送り飛ばしてやった。 昨年からスマホがずっと壊れている。 だから知り合いとの連絡手段はPC…

さよなら リッスン?2-3

文化放送『リッスン?2-3』が終了した。 私は、みかこしこと小松未可子の月曜日リスナーであったが、昔に比べると(特に生放送時代から録音放送以降)聴く機会は徐々に減っていった。 久しぶりに聴いたリッスンは生放送で最終回。 放送内でも語られていた裏…

メッシに思いを馳せて

www.soccer-king.jp レオ・メッシはサッカーが楽しめているのだろうか。 そこがバルサとアルゼンチン代表の違いだと思う。 クラブと代表を比較するのもそもそもバックボーンを考えるとオカシイ話であるが。 背負っているものが重過ぎる。 メッシに限らず、し…

マイクル・イネス『ストップ・プレス』 読書感想

ストップ・プレス 世界探偵小説全集 (38) 作者: マイクル・イネス,富塚由美 出版社/メーカー: 国書刊行会 発売日: 2005/10 メディア: 単行本 クリック: 5回 この商品を含むブログ (15件) を見る マイクル・イネス『ストップ・プレス』を読む。 殊能センセー…

アントニイ・バークリー 感想メモ

ジャンピング・ジェニイ (創元推理文庫) 作者: アントニイ・バークリー,狩野一郎 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2009/10/30 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 24回 この商品を含むブログ (25件) を見る アントニイ・バークリー『ジャンピング・ジ…

フランスミステリ 感想メモ2

騙し絵 (創元推理文庫) 作者: マルセル・ラントーム,平岡敦 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2009/10/30 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 62回 この商品を含むブログ (23件) を見る マルセル・ラントーム『騙し絵』を読む。バカミスというか無茶す…

フランスミステリ 感想メモ

わらの女 【新版】 (創元推理文庫) 作者: カトリーヌ・アルレー,安堂信也 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2006/06/27 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (41件) を見る カトリーヌ・アルレー『わらの女』を読む。フランス…

氷川透 感想メモ

真っ暗な夜明け (講談社ノベルス) 作者: 氷川透 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2000/05 メディア: 新書 この商品を含むブログ (21件) を見る 氷川透『真っ暗な夜明け』を読む。良作です。可能性の潰し方の合間にあまり冗談とも取れない風ユーモアを入れる…

読書感想ツイート その2

リバーサイド・チルドレン (ミステリ・フロンティア) 作者: 梓崎優 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2013/09/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (20件) を見る 凄まじい。異文化という特殊環境下での歪んだ論理を書かせたら『叫びと祈り』くら…

読書感想ツイート その1

人それを情死と呼ぶ 鬼貫警部事件簿―鮎川哲也コレクション (光文社文庫) 作者: 鮎川哲也 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2001/07 メディア: 文庫 クリック: 4回 この商品を含むブログ (10件) を見る 鬼貫成分は薄め、時刻表0の代わりに活躍するのは事件の…

飛鳥部勝則 感想メモ

ヴェロニカの鍵 作者: 飛鳥部勝則 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2001/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (8件) を見る 正直テンポを上げようと思えば上げられる作品ですが、淡々と芸術に没頭していく暗い観念的な人物像とさよなら青春時代が描…

芦辺拓『十三番目の陪審員』読書感想

十三番目の陪審員 (角川文庫) 作者: 芦辺拓 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2001/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (10件) を見る 刊行年(1998年)からして気鋭のリーガル・ミステリという位置付けで良いだろう。 社会派としての要素を取り込み…

北村薫『ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件』読書感想

ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件 (創元推理文庫 (Mき3-6)) 作者: 北村薫 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2009/04/20 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 2回 この商品を含むブログ (33件) を見る エラリー・クイーンフリークのために…

有栖川有栖『マレー鉄道の謎』読書感想

マレー鉄道の謎 (講談社文庫) 作者: 有栖川有栖,鷹城宏 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2005/05/13 メディア: 文庫 クリック: 3回 この商品を含むブログ (60件) を見る 国名シリーズかつ作家アリスシリーズでは、かつての過去最長編であった本書であるが、…

倉知淳『過ぎ行く風はみどり色』読書感想

過ぎ行く風はみどり色 (創元推理文庫) 作者: 倉知淳 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2003/07 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 81回 この商品を含むブログ (48件) を見る 傑作。 人を食ったように飄々と生きる猫丸先輩の長編推理小説。 法月綸太郎…

石持浅海『君の望む死に方』読書感想

君の望む死に方 (祥伝社文庫) 作者: 石持浅海 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2011/09/01 メディア: 文庫 クリック: 5回 この商品を含むブログ (15件) を見る 傑作倒叙ミステリ『扉は閉ざされたまま』の続編。 モンスター級探偵・碓氷優佳シリーズの第2作…

円居挽『今出川ルヴォワール』読書感想

今出川ルヴォワール (講談社文庫) 作者: 円居挽 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/08/12 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る このシリーズの骨格でもある私的裁判の『双龍会』を前座に据えることで、今までの作品とは趣の違う物語となっ…

深水黎一郎『最後のトリック』読書感想

最後のトリック (河出文庫) 作者: 深水黎一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2014/10/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (12件) を見る 『読者が犯人』という大技トリックが売りとされたミステリ。 予め宣言することで、〝意外な犯人〟の指摘…

早坂吝『〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件』読書感想

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫) 作者: 早坂吝 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/04/14 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 前代未聞のタイトル当てミステリという看板が『メフィスト』らしさが漂っており、その中身もそれに恥じない。 …

円居挽『烏丸ルヴォワール』読書感想

烏丸ルヴォワール (講談社文庫) 作者: 円居挽 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/10/16 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (8件) を見る 『丸太町ルヴォワール』の正統的な続編である。前作以上に双龍会という仕組みを存分に活かした骨格がある。この…

有栖川有栖『ブラジル蝶の謎』読書感想

ブラジル蝶の謎 (講談社文庫) 作者: 有栖川有栖,椎谷健吾 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1999/05/14 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 9回 この商品を含むブログ (31件) を見る 短編としてのクオリティを示した本作という印象。パズラーに相応しい。全…

米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』読書感想

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫) 作者: 米澤穂信 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2006/04/11 メディア: 文庫 購入: 8人 クリック: 152回 この商品を含むブログ (532件) を見る 前作から時間がかなり経過しており、高校2年の夏休みになっ…

米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』読書感想

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫) 作者: 米澤穂信 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2004/12/18 メディア: 文庫 購入: 16人 クリック: 414回 この商品を含むブログ (661件) を見る 〝小市民〟という目的を持つ探偵役が遠回りをしつつも、消極的…

岡嶋二人『ちょっと探偵してみませんか』読書感想

ちょっと探偵してみませんか (講談社文庫) 作者: 岡嶋二人 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/02/08 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 作者、岡嶋二人の幅が広い遊びを垣間見ることができるショートショート集。 本格ミステリにはしばしば…