フトボル男

「お前どっから来た?」「未来から」

第12節 アトレティコ・マドリーVSマラガ 試合巧者な王者

インターナショナルウィーク明けの上位同士の一戦。各国の代表に16人持っていかれたアトレティコは、ミランダを怪我で欠き、シケイラ、マリオ・スアレスはサスペンション。目立ったローテーションもなく、これまでのメンバー通りでほぼ臨んだ。対するマラガは好調で、クラブの歴史上初の6連勝を掛けて臨むものの、前線の起点になるアムラバトとロサレスを怪我で欠くことになったが、軸となる選手を多く抱えている中盤は変わらず。アムラバトの代わりに入ったサンタ・クルスがどこまで色を出して、強烈なアトレティコの守備網相手に中盤とコンビ-ネーションを見せられるかが鍵となる試合だった。

 

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試合感想

 

スコアは3-1であるものの、スコア以上の差を感じる試合となった。どちらもボール支配よりも縦に早く展開するスピードを活かしたフットボールを実践しているために、速い攻守の切り替えと球際の激しさが目立った。マラガはチーム全体から好調で纏まりを感じさせたが、格上相手のアトレティコ相手にも局面、局面で戦う姿勢は見せることは出来ていたものの、競り負けるという場面が多く、実力で上回られている感は否めず。

アトレティコの試合巧者な姿勢とその貫禄、そして理想的な時間帯にゴールを決める圧力は圧巻の一言。

今シーズンはシメオネ政権になって、最も低調なシーズンのスタートと言われているが、やはりパフォーマンス自体は悪くない。ジエゴ・コスタからマンジュキッチへのストライカーの転換も数字では前任者に劣るが、そこまで低調なパフォーマンスというわけでもなく。チーム全体のカラーとボールの運び方を変える1つの変革期と考えれば、妥当な数字とも言えるし、長いシーズンを思えば改善の余地は大きくあり、可能性としては広がっている。

昨季、リーガを制したこともあり、どのチームもアトレティコを研究し、その対策に向けた対抗策を模索している段階で、このマラガを大きく叩いたことは勝利以上の意味を持つのでは、と考えたり。

 

試合について

 

アトレティコはティアゴピボーテにして4-1-4-1とガビを下げて4-2-3-1の併用。

対するマラガは4-2-3-1をメインにして、守備時は4-4-2としていた。

 

両者ともにファーストディフェンスが速く、そこでボールを刈り取りたいという意思が見える激しいボールの奪い合いが繰り広げられる。

マラガの中盤はゾーンであるがボールに食い付く守備をするため、サイドでサムエルとミゲル・トーレスの守備時の距離感が空くので、2トップ予想されていたグリーズマンが左サイドを中心に簡単にライン間で受けて、アーリークロスを蹴り込んで、ターゲットマンマンジュキッチに当てようとする。

 

マラガは基本的にディフェンスラインを高く設定し、両SBを上げてカスティジェホとサムエルを中央に寄せる。怪我で欠いたアムラバトはボールを収めて起点になるが、サンタ・クルスにそのカラーを出すことはキャラクター的に難しい。そこで、アムラバトのような役割ではなく中盤含めた前線に枚数を掛けて、サンタ・クルスを孤立させないよう工夫。時折、サムエルがサンタ・クルスと2トップ気味に張って、ギャップを目掛けて裏抜けを狙う場面も。その際にヒメネス、ゴディンのCBコンビのラインコントロールは最初バタバタしていたが、冷静にラインを上下動させていく。

 

徐々にボールも落ち着いてきたら、アトレティコがボールを保持する場面が増える。あくまでもビルドアップの形はゴディンとヒメネスの2枚に、ピボーテのティアゴ。そしてアンサルディかフアンフランが落ちてボールを回す。SBは片方が上がったら、逆サイドのSBは自陣に残って、CB2枚とリスクマネジメント。主にアンサルディが残って、フアンフランが上がるケースが多かった。

 

マラガはボールを保持するアトレティコの最終ラインにプレッシングはしない。対照的に、アトレティコはマラガの最終ラインまでボールホルダーにプレッシャーを掛けに行く全開モード。奪い取るプレッシングというよりもマラガの選択肢を削ぐようなプレッシングで、ハイペースのまま落ち着かせたくない様子。

 

マラガのビルドアップ時は、アトレティコのディフェンスを中央に集めて、カマーチョがボールをCBに預けると、カマーチョといったピボーテへのパスコースを切りながら、アトレティコは前からプレッシング。GKのカメニまで下げさせたら、チーム全体を押し上げてカメニまでプレッシング。そこでマラガは安易に前線に蹴り込まず、繋ぐ意識を見せる。執拗にボールに圧力を加えるアトレティコのハイプレス。マラガのCB陣が自陣深くのサイドまで追い込まれ、苦し紛れのボールを前に蹴るが、ティアゴセカンドボール含めてそういったボールを楽々と回収。そこで、カマーチョやダルデルの速いトランジションが効いて、全体の帰陣もあっという間に。波状攻撃を食い止めたりとアトレティコの時間を減らすことで、マラガの活きの良さが窺える。

 

そして、マラガはそういったアトレティコの前からのプレスに追い込まれっぱなしではなくなる。マンジュキッチが前線の守備を緩めたこともあり、冷静に数的優位を活かして食い付いたアトレティコのディフェンスをいなすようにSBを経由し、浮いたピボーテに。マラガはサムエルといった中盤の選手も中央に集めているが、アトレティコの中央は堅守を誇る。無理矢理に中を通すリスクを取るよりも、SBを起点にボールを進める。

マンジュキッチの分までアルダやガビがCB-SB間のラインを切る。やや孤立したSBのアントゥネスはボールを運ぶしかなくなるが、アトレティコのディフェンスはアルダに連動して、ガビやティアゴが極端にボールサイドに寄せて、間近のパスコースを封鎖。そうなるとサイドでは1VS1の仕掛けや単調なクロスばかりが増えてくる。

中央から外ではなく、外から外のためにアイデアとスピードが不足しているマラガの攻撃。アトレティコを自陣まで押し込んでも、見事なラインコントロールとコンパクトな4-4ゾーンによって、縦パスが通せないマラガ。

 

ガビ、ティアゴの役割もメリハリがあり、隙が無い。基本的にピボーテはティアゴだが、ガビもその位置に顔を出すことも多く、ドブレピボーテの併用。ガビが前にサポートに出たら、ティアゴはそこをカバーする動きをし、反対にティアゴが前に行く形はボックス内に侵入して高さを出すシーンであるが、その時はガビがティアゴのスペースを埋める。

 

バランスの良さが際立つアトレティコだが、前線のマンジュキッチが効果的に守備に回っていないこともあり、マラガはマンジュキッチの両脇からボールを進める。ガビあるいはグリーズマンがそこに入ってきたボールホルダーにプレッシャーを仕掛けるが、持ち前のアグレシッブさには程遠く後手に回っている感は否めず。

それでも、マラガはアトレティコの中央の堅守によってサイドからの単発攻撃のみ。比較的ボールを持てるマラガだが、アトレティコはボールを持つことに執着はないチームである為に、効果的なオプションを示すことなく時間だけが流れていく。

 

ここで、前半に2点を先制したアトレティコのゴールシーンについて。

アトレティコは先制点をマンジュキッチも全開モードのときにゲット。12分のコーナーキックからティアゴのヘディングで先制。セットプレーからの強さは代表ウィーク明けでも健在。ニアにいたティアゴがコケの蹴る前に、よりニアに出る動きをして、DFを釣りその直後にポジショニングを修正し、フリーに。

見事なセットプレーであったが、このゴールのキッカケになったコーナーキックを取った直前のプレーにも触れないわけにはいかない。

浮いたポジショニングのティアゴの深いサイドチェンジからフアンフランのマイナスのクロスに、ニアでマラガのDFを引きつけたアルダがスルーして、背後にいたフリーのコケがシュート。このパターンはマドリード・デルビーのゴールのような形に似ていた。

 

2点目は皮肉な形となる。マラガのサンタ・クルスは必死にサイドに流れて、起点になろうとするが潰されていた。一方、マンジュキッチは中央から動こうとしなかったが、2点目をゲットした時は、サイドに流れてCBを釣り出し、深いタメを作ってCB間を空けさせ、そこにアルダを走らせて、大外のグリーズマンのゴールを演出。サイドでの両チームのワントップとしてのクオリティが一目で分かるようなシーンとなってしまった。

 

後半からは、アトレティコはハッキリとした4-1-4-1に。ガビがボールホルダーに寄せたら、コケが落ちてティアゴとドブレピボーテのような形になることもあったが、基本的にアトレティコの中盤はティアゴがコントロール。そして、あまり中央から動かなかったマンジュキッチもサイドに積極的に流れて受けたりと。

その後、マンジュキッチが負傷してラウール・ヒメネスと交代。さきほどのストライカーよりももっと献身的に走るメキシコ人。

マラガはミゲル・トーレスの代わりにオルタを投入。カマーチョを最終ラインに落として、セルヒオ・サンチェスを右SBに。最終ラインでの組み立てにより安定感を持たせ、1VS1で恐さを出していたアンサルディに対するケアとサイドでのカバーリングの意識を出す意味合い(ややSBとCBが被る場面もあったため)。

 

サンタ・クルスの執念のゴールで1点差になったマラガも、攻守で献身的だったサムエルが2枚目のイエローカードを貰ってゲームが壊れる。追い上げムードに水を差す退場に。

アトレティコグリーズマンラウール・ヒメネスの2トップ気味に最終ラインまでボールホルダーにプレス。ワントップの両脇問題を解消させる。簡単にボールを進ませないで時間を掛けさせろという思惑が見て取れる。そして1人少ないマラガにペースを与えない鬼畜采配。左右どちらにも顔を出す自由なアルダがCBにプレッシャーを掛けると、マンジュキッチではそこまで連動しなかった場面でも、ラウール・ヒメネスらもしっかりと働く。マラガは運動量の低下に伴い前半行っていた人員を掛けた攻撃ではなく、前線の個頼みに。まさに万事休す。

 

グリーズマンを下げて、サウールを。守備を優先的にという分かりやすいメッセージをピッチに放つシメオネ。その指揮官の神通力なのか1分後に決定的な3点目を決めるアトレティコ。ガビがカスティジェホを迂闊にも倒し、こちらも2枚目のイエローを貰って退場するという御愛嬌もあり、仲良く10VS10のままホイッスル。

 

盤石な勝利とはこのような試合を指すのではないだろうか。ふとそんな事を思わせる試合巧者なアトレティコ。後はファンが望むのは、ローテーションをすること+アルダがサイドで突破する際にサポートをもっと早くすること+ターゲットマンのみならずサイドで質を示す前線の動き、がよりスムーズになれば昨季とはまた違ったアトレティコが見られるのではないかと期待してしまう。コケとティアゴが平常運転なのは必須事項ですが。