フトボル男

Time waits for no one ← ( ゚Д゚) ハァ?

第17節 アトレティコ・マドリーVSレバンテ ルパン三世のようなアタッカー陣

エル・ニーニョことトーレスの帰還で盛り上がったカルデロンの地で、3-1というスコアで順当にアトレティコが勝利を収めた。アトレティコのゴールは全てヘディングによるもの。今のところリーグ戦17試合で、全34ゴール中18ゴールがヘッドによって得たものと言えば、アトレティコの空中戦の強さと上手さが分かる。

局面で流石のクオリティを見せたアトレティコだが、試合を通して圧倒することは出来なかったところは課題か。緩めたまま勝つというよりも、最後までシメオネイズムを貫いて勝利した方が観ていて気分は良いが、長いシーズンをそのペースで走り続けるのは難しい。シメオネ監督がローテーションをあまり採用しないという点も今後どのように響くのかも気になるとこだ。

また、試合に関しては流したまま完勝するという内容でもおかしくなかっただけに、前半で1点しか奪えなかった部分も反省の材料としては十分だろう。

とはいっても、これらの要求するレベルは高いものだ。しかし、それほどのクオリティがあって当然という見方をさせる数少ないチームの1つでもある。そこの次元まで手を伸ばしているチームなだけに、今後さらに化けてくれるのか楽しみは尽きない。

一方のレバンテは、采配が裏目に出たり、殆どの時間を守備に追いやられた。攻撃に出るべき瞬間でも前線に人数を掛けられず、と終始リスク管理に回ってしまった。軸となるドブレピボーテを消されたのが大きかった。

それでも綱渡りの守備でなんとか首の皮一枚繋ぎ止めていたが、アトレティコの得意な形をあれだけ作られたら防ぎ切るのは至難の業と言えるだろう。正直、納得の3失点という感想しかない。

それでもレバンテはアトレティコのシステムやセットプレーを研究していたのは窺えた(その時点でシメオネ監督が1枚上手だったのだが)。そういった状況でも、〝分かっていても止められない空中戦の強さ〟がアトレティコの持ち味の1つでもあるということを再確認することが出来たことに。

 

 

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レバンテはアトレティコの最終ラインがボールを保持してもプレスを仕掛けない。プレッシング要員は不在の状態。レバンテのビクトル、ラファエウの2トップ+サイドハーフ1枚がアトレティコのビルドアップ要員にボールが入った時に、アトレティコ陣地に顔を出す動きは見せるが、奪う事を目的としたものではなく、パスコースの限定を第一としている。ゾーン・ディフェンス主体でしっかりと構えたいよう。

 

ボールに寄せてこないと分かれば、アトレティコはガビを下げて(フアンフランのスペースを埋める)、フアンフランを上げるいつも通りのやり方。ガビ、フアンフラン、アルダで右サイドにて三角形を作る。

 

細かいパス交換でボールを進めるも、レバンテがボールを回収。レバンテがボールを持つと、マンジュキッチが1枚のCBに張り付いて、もう1枚のCBに対してはグリーズマンが持ち場から飛び出してプレス。アトレティコは前から奪いに行くスタイル。2枚のCBに関してはグリーズマンマンジュキッチがプレスを仕掛ける役割。すると、レバンテはSBを使ってサイドから逃げたい。百も承知のアトレティコはコケが連動してSBへプレス。ヘルプに行くレバンテのピボーテ1枚にはグリーズマンのプレスバックで付く。SBにプレッシングをしたコケの空けたスペースはティアゴが埋めることで、局地的に数的優位を作って、ロングボールを蹴らせる。

 

アトレティコの2枚のCBは悠々とボールが持てる展開。そのため最終ラインの配球力が試される流れに。

ガビ、ティアゴが落ちてビルドアップ要員を増やすのか、中盤に厚みを作るのか迷う場面が立ち上がりはあったが、時間と相手を観察して役割分担を。また、中央にコケが絞って間受け職人に。シケイラを上げる時間とスペースを作る。両SBを上げてレバンテを押し込む。

 

レバンテはドブレピボーテの背後のバイタルエリアを出入りするグリーズマン、コケ、アルダに使われる。迎撃するべきSBとピボーテの受け渡しが甘い。

グリーズマンピボーテの前後に現れて、ボールを受ける。マークを徐々にずらしていき、コケもボール回しにスムーズに参加して、左サイドで数的同数を作り、逆サイドのフアンフランへ、という形を作ろうとしたが、ワンテンポ遅く不発。これもアトレティコの1つのお決まりの形。

 

アトレティコの両SBの上がりにマッチアップするレバンテのSBはズルズルと下がって対応。グリーズマンピボーテ付近に顔を出して自由に。そのグリーズマンを捕まえきれず、良い様にやられているので、グリーズマンに食い付くピボーテ陣。釣り出したスペースにコケがスイッチして、スカスカのバイタルエリアでスルーパス。万能すぎて黒子にも徹することの出来るコケだが、やはり前を向かせた状態でボールを持たせると光るものがある。

 

左で作って、右のシケイラへ。ファーサイドにクロスを。正確にサイドからサイドに振るというアトレティコの強みの1つは、いつもフアンフランがクロッサーになることが多いが、パス回しにも参加できる技術の高さがあるため、左サイドの三角形(ガビ、フアンフラン、アルダ)+グリーズマンで絡んでシケイラへ、と両サイドの横幅を使った攻撃。

 

レバンテの4-4-2の「4」と「2」の間のエリアにコケやアルダが入ってきて、サイドからSBを基準にボールを進める。レバンテのフラットな4-4ゾーン間にグリーズマンも加わり、コケ、アルダ、さらに押し込めばガビも上がり、サイドのパス回しで循環的に。そして流動的に。アトレティコがSBを上げているため幅を使われ、レバンテは広げられているため捕まえきれない。アトレティコがサイドでボールを失っても、そこで数的優位を作っている為、トランジションで有利に。

 

レバンテはゾーンで対応して受けて立とうとした。ボール保持はある程度諦める形を選んだ。

そうなると、アトレティコが自然とボールを持つ時間が増える。アトレティコはボールポゼッションに拘らないチームだ。そこに執着することはない。

大抵そういったチームはカウンターを得意としていて、ボールを持たされると威力が半減する。しかし、アトレティコはそういったチームとは一線を画している。ボールを持っても恐さを出せるチームであるからである。

そして、アトレティコフットボールの原則でもある〝如何に数的優位を作るか〟を豊富な運動量と規律のある軍団性で体現している。

そういうことから、ボールをこのまま持たせると危ないと感じたのか。時間が経つにつれてレバンテのサイドハーフが比較的ゾーンの持ち場から離れて、前に出る傾向が出てきた。しかし連動はしていない。簡単に剥がした後は、そこのスペースを使ってグリーズマンにパス。SBが迎撃に出る、と外のフアンフランがフリーになるといった具合。

 

良い様にライン間を使われているレバンテは圧縮を図る。ラインを上げてコンパクトに。そうした時に、コケからマンジュキッチへ裏に。相手を観察して柔軟にプレーする辺り、圧巻の一言。

 

ネガティブ・トランジションで求められることはファーストディフェンスにおいてボールを奪うことも大事だが、それよりも攻撃を遅らせることが至上命令となっている。きっちりとレバンテに時間を掛けさせ、サイドに振られても猛然と走ってスライドすることで対応。

プレスバックも盛んに。数的同数以上の状況を作らせないアトレティコの帰陣の速さが目立つ。

セカンドボールをレバンテのディオプやシソコに取られても、マンジュキッチがプレスバック。自由な時間は与えない。チームが一丸となって全力の守備を行う。

 

フアンフランを上げて速攻をミスして、レバンテに逆にカウンターを貰った場面でも、ガビがファーストディフェンダーに。コケがそのカバー兼中央を埋める。本来、ガビが埋めるべきフアンフランのスペースは、ガビが前に出ている為にぽっかりと空いているはずなのだが、そこにはティアゴの姿が。この辺の危機管理は流石王者。ティアゴを含めた4バック+中盤の戻りを加えた6枚で対応。基本的にガビは前に出て、ティアゴが後方のケアと底からの配球だが、このシーンでもその役割は一貫しているのが分かる。

 

後半始まって早々に頭でグリーズマンが2点目を決めた場面も、1点目同様にSBからのクロス。左サイドでコケとアルダが絡んでレバンテをスライドさせて、逆サイドの大外のフアンフランへ。スライド&カバーが間に合わず1VS1の状況に。そうなるとスペイン代表のフアンフランを止めるのは難しい。

 

2点取られてからは流石に前から奪いに出始めたレバンテ。プレッシング要員を3枚揃えるものの、SBやガビ、ティアゴが同時に降りてきて後方で数的優位。モヤも使ってセーフティーに剥がしていく。

 

ラファエウに代えてエル・ザールを投入。入って間もないエル・ザールが1点を返す。CKからアトレティコディフェンダー陣が必死にボールを外に掻き出したが、拾われてゴールに繋がった。細かい場面が続いた時に、自分たちのボールにすることが出来ず、そのままセットプレーを与えてしまったことが要因。CK前のレバンテのスローインでモラレスやイヴァン・ロペスが押し上げて、サイドで数的同数やシソコのフィジカルを活かした使い方などとレバンテに息をさせてしまったことも大きい。

 

中盤が増えたレバンテに対して、ボールの取り所を選定できないアトレティコ。バタつくアトレティコに対して、イヴァン・ロペスを起点にサイドから攻撃。シソコやディオプも前に出るようになり、マンジュキッチが自陣深くまでケアに回るようになる。

ニコス→ベラル。再び4-4-2に戻す。結果的にこの采配が裏目に出たことに。アタッカーを増やして「ゴールを奪う」というメッセージをピッチに送ることは出来たが、システムを元に戻したことでアトレティコに落ち着きを与えてしまった。

 

マンジュキッチラウール・ヒメネス。守備時は4-4-1-1でラウール・ヒメネスを前線に残して、グリーズマンを起点にカウンターを仕掛けたい試み。

その采配が当たり、カウンターから得たCKでゴディンのヘッドで3点目。セットプレーを研究してきたレバンテだが、ショートコーナーで不意を突かれた形で勝負を決められた。

グリーズマン→サウール。システムを4-2-3-1に変更。中盤に人を掛けて、冷静に時間を進めてホイッスル。

 

レバンテの敗因は長い時間ボールホルダーを自由にさせすぎたこと。動くことでスペースを空けることを警戒し過ぎたという点と、アトレティコのゴディンやホセ・マリア・ヒメネスの持ち上がりや縦パスを通す上手さを軽んじていた。また、レバンテのドブレピボーテ前後に出入りするアトレティコの選手を捕まえきれず、バイタルエリアを閉めるべき部分が緩かった。

一方のアトレティコはやはり崩すオプションが多い。これくらいの相手の自陣撤退ならそこまで苦にはしないだろう。

シケイラも数的不利でもクロスを上げるクオリティがあるし、割愛したが途中出場のサウールのシメオネイズムも確認できたわけで収穫の多い試合観戦となった。