おおたまラジオ

しまいには世の中が真っ赤になった。

第21節 レアル・マドリーVSレアル・ソシエダ クロースとイジャラメンディの序列

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キックオフ直後のSBのユーリの大外のドリブルに対してあまりに無防備なマドリー。ハメスがプレスに出た後のスペースのケアにピボーテが絞って対応せず、スライドが遅れる。迎撃に出るべきだったカルバハルもピボーテの対応のカバーに回るため、中へのコースは消しつつ縦へ誘導させる守備をしたが、サイドハーフピボーテサイドバック間のインサイドのスペースへのドリブル侵入に対する甘さを露呈。あっさりとコーナーキックを与えて、そのまま失点と。まさに最悪な立ち上がり。

SB-CB間のスペースから裏抜けを準備しているカナレスにラインを下げさせられ、中途半端なプレッシングに全体が連動せず、バランスを欠いたマドリー。その時にきちんとドリブルをしていたユーリへのサポートで、ライン間に侵入したヴェラへのケアといった要因もあったが、カルバハル-ピボーテ間のマークの受け渡しが甘く明確にしておくべきだった。また、ヴェラへのコースも消しきれず。

そういったことで、迎撃に出たかったカルバハルだが、ヴェラにボールが入った場合に備えて最終ラインにステイ。ユーリのドリブルに対して完全に後手に回ったのは必然ということに。

 

しかし、即座にハメスによる同点ゴール。僅か3分でスコアは1-1と波乱の予感。

 

大外のユーリに緩く対応したことから失点したマドリーは、今度はハメスが全力守備。同じようにはやらせず。

攻撃面ではハメス、イスコがサイドや中央付近で狭いスペースで息の出来る選手。ソシエダの4-4-2の隙間に入って、あらゆる位置でボールの受け手に。

ボールを持つ時間が増えるマドリー。マドリーの最終ラインにプレッシングは仕掛けないソシエダは、ブロック形成で構える。

 

 

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ビルドアップ時にクロースとイジャラメンディが被る。ソシエダの前線の2枚に対して、クロース、イジャラメンディが同時に降りて4VS2の枚数過多になる場面も。それなら前に出て、受け手としてスペースに侵入しようとするイジャラメンディ。それはそれで噛み合わず。空回りの様相。

ボールに触りたいクロース。イジャラメンディも然り。攻撃のやり直しをする際に両者ともにポジションが重なる。中継地点としてのポジショニングを取って右サイドと中央を管轄にしたいイジャラメンディ。しかし、ボールは当然のようにクロースに集まる。すると、ビルドアップ要員としてイジャラメンディのポジションが曖昧に。中継地点として起点になりたいイジャラメンディだが、クロースは一発でサイドを変えられる選手。イジャラメンディを経由することなく、一本でハメスやカルバハルが躍動。それならば、イジャラメンディはカルバハルの上がったスペースのカバー兼セカンドボール回収係に。途中からクロースを意識してプレッシングのカバーに入ったりと、曖昧だった役割を明確に。

イスコも降りてきて(イスコのところにベンゼマが降りて、受け手と出し手の距離感を調整)、クロースと絡んで空いた逆サイドのハメスやカルバハルへ。また、同時にイスコの中心としたパス交換とドリブルによる状況打開で左のニアゾーンの攻略も。

ボールに多く絡んでタクトを振りたいイジャラメンディは、クロースによって追いやられるような形(語弊があるかもしれませんが)で彼の保険に。それでもサボらずパスコースを作る動きを見せて、中盤に安定感を。

ドブレピボーテの役割というか序列がハッキリしたお陰で、イジャラメンディもタスク(ソシエダのプレッシングラインを冷静に見極めて、ビルドアップ要員のヘルプやカバーに徹する黒子に)が整理されて攻守に判断が良くなる。そう思いきやミスもあったり、不用意にイエローを貰ったり、とこれではレギュラーの座は遠そうな気がする。

 

ソシエダは圧縮した4-4-2でFWとMFを密にして、全体をコンパクトに。ポゼッションはマドリーに。リトリートで対応するレアル・ソシエダの構図。ボール回しはクロースを中心にハメスやイスコ、マルセロを使ってソシエダを押し込む。そして、クロースのサイドチェンジでサイドに振ってソシエダのブロックを広げる試み。

 

 

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引いて耐えていたソシエダも集中が切れる。セルヒオ・ラモスのゴールで2-1に。それでは、ゴールを決めるためにボールを前から奪いに出ないといけなくなったソシエダ。しかし、マドリーのビルドアップ要員の多さに前から奪う事は出来ず。そもそも前からプレッシングを仕掛けるというよりも、ゾーンで対応してサイドで捕まえることに力を入れていたソシエダなので、チーム全体としてプレッシングの方に舵を切ることが出来ない。

 

カナレス→デ・ラ・ベージャ

ヴェラに続いて負傷で2枚のカードを切らざるを得なかったのは、モイーズ監督にとって痛手の一言。

後半になっても、引き続きマドリーの最終ラインにはプレスを仕掛けないソシエダ。それなら、SBを上げてそこのスペースにイジャラメンディ+2枚のCBを基本としたビルドアップ要員の形でボールを保持。全体のボール回しの中心はあくまでもクロースで。

 

マドリーはボールを失えば、ソシエダのGKまでプレッシング要員の2トップがきちんと追う。ロングボールを蹴らせてボールを回収という算段。依然としてプレッシングラインがハッキリと分かれる両チームだったが、徐々にソシエダもプレッシングラインを上げる。すると、勿論クロースも最終ラインに落ちて数的優位を確保。イジャラメンディはSBのスペースを埋めつつ、サイドの出口という役割に。

 

前半と変わらず、クロースがサイドに振って左右から崩しに行くマドリー。再三上手くいっていた左のペナ角崩しにベイルが顔を出す。ベイルがSBを釣り出し、ベンゼマがフォローに。ソシエダのSB-CB間を空けさせる。当然、CBのミケル・ゴンザレスはそのスペースを埋めるために絞る。すると今度はCB-CB間が空く。ベンゼマとのワンツーを駆使してベイルが突破し、空いたギャップにベンゼマが侵入して3点目。試合をほぼ決める。

 

ただ、ソシエダがボールを持つとマドリーの脆さが見えてくることに。ポゼッションで弱味を消す、いや隠していたマドリー。バルセロナのような攻撃力倍加のためのポゼッションではなくても、今季のマドリーはポゼッションでもある程度のクオリティを作れる。それでもカウンターが最大の脅威である。どんな攻撃もカウンターになりうるということを証明するように、速攻は整備されている。

しかし、クロースの守備問題が付き纏う。ピボーテが前に出るときはボールを確実に奪える、潰せるといった計算が立ってから行うのが鉄則である。クロースは危うさを抱えながらも高い位置や中盤でのプレッシングでは効いていた(しかし、軽い部分も有り)。

但し、セットした守備時では難点は隠しきれない。守備時の最終ラインとのリンクに背後のスペース管理の脇が甘いことはこの試合でも同じだった。

クロースの寄せの甘さで、その尻拭いをするイジャラメンディだが、イエロー1枚貰っていることからこちらも軽い。クロースの周りのスペース(インサイド)で起点となるシーンがちらほらと。

しかし、ソシエダの攻守の切り替えが遅くなったこともあり中盤が空いて、マドリーの速攻が活きる展開に。

 

アリッツ・エルストンド→マルケル

3-5-2にしてSB-CB間のスペースをケアする采配。マドリーがボールを保持する状態によっては5バックに。

ボールを奪えば、中盤の枚数を活かして落ち着かせるソシエダ。マドリーが緩めたこともあって、マドリーの右サイドのベイル-ハメスのところを使ってボールを運ぶ。ポゼッションする時間が明らかに増えることに。

ベイル-ハメスのところを使われるのを嫌ってイジャラメンディがチェックに向かう。すると、只でさえ怪しかったクロースの周辺が空くという悪循環。それでも個人能力で対処するマドリー。

ソシエダとしては左サイドに人員を掛けて、崩そうとしているものの裏抜けといった3人目の動きが無いこともあって上手くいかず。

 

マドリーのプレッシングが緩くなったと分かったソシエダは、バランスを意識して4-4-2にシステムを変更。

しかし、芸術的なベンゼマのゴラッソ。3点差で万事休す。

ベンゼマチチャリート

クロース→ケディラ

と役者を下げるマドリー。そのままスコアは動くことなく試合終了。