フトボル男

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円居挽『烏丸ルヴォワール』読書感想

 

烏丸ルヴォワール (講談社文庫)

烏丸ルヴォワール (講談社文庫)

 

『丸太町ルヴォワール』の正統的な続編である。前作以上に双龍会という仕組みを存分に活かした骨格がある。この部分に関しては、前作以上の出来。

調査の段階から青龍師側と黄龍師側の両視点を交差させて、読者にある程度の情報量を与え、手の内を晒している。あとは、骨でもあり血でもある私的裁判の双龍会シーンによる後出しの情報によるスクラップアンドビルドの応酬が小気味いい。真相を明らかにさせる場という雰囲気ではない双龍会だからこその掛け合いと言える。この辺の舞台装置は見事。

前作からのキャラクター達を上手く配置して、敵味方を白黒はっきりさせているところも良く、各キャラの活躍の場を制限させつつ、盛り上げるエンタメ心も忘れていない。それでも、どんでん返し のインパクトは前作に比べると弱い。そのテンポに慣れてしまっているからだと思うが、謎自体がシンプルすぎて、詭弁紛い推理で真相そのものよりも、過程に興を注いでいる様がなんとも愛らしい。

事件の真相がある程度明かされた上でも、引っくり返すパワーのある筆力は圧巻である。

そして、物語は余韻のある幕切れとなるわけだが、『ルヴォワール』に相応しいの一言。同じ毒を盛られても尚、この切れ味と苦味。

シリーズ特有の二番煎じな尻切れトンボにはせずに、さらにステージを上げる手腕は確かなものであり、作者の力量に拍手を送りたいと思う。これぞカタルシス