カンテやマケレレといった比較不能な価値について思うこと
マケレレ2世。カンテに付いた箔である。昨季のレスターで大ブレイクし、コンテのチェルシーに移籍。順調なキャリアと成長を見せている。
守備専にありがちな足元が玩具で繋げない訳でもなく、EURO2016ではフランス代表としてマテュイディと共にビルドアップに参加してボールを捌いていた。カゼミロとどっちが上手いかは分からないけど。
告白すると、カンテを懐疑的な目で見ていた。レスター時代は4-4-2での前線の守備貢献に加えたプラスアルファとしての結果だと。勿論、カンテのボール奪取は幾度となく見てきた。個人戦術として抜きん出たタックルやインターセプトの数はデータに表れ、今となっては周知の事実となっている。それでも前線の貢献により、ボールを奪いきるエリアが選定されているからこその数字で、チームの守備の規律がカンテ個人に集約されたものだと思っていたので、マケレレとの比較論はすげー怪しいと思っていた。
だって、マケレレはあのぶっ壊れていた時代のレアル・マドリーの中盤の掃除屋さんとして君臨していたのだから。イエロが守備の要として、ラウールがバランスを取るために馬車馬のように汗をかき、前線のスーパースターたち同士の戯れがスペクタクルを生み出していた。縁の下の力持ちとしてマケレレは中盤を維持。今となっては誰もがマケレレの偉大さを理解している。ペレスがどうかは知らんけど。
あの時代に比べて、ピッチの広さは変わっていないけど、現代サッカーのスペースは小さくなっており、全体のコンパクトさに加えて攻撃と守備の組織化は進んでいる。
だから、カンテは恵まれている!マケレレの方が凄い!っていうのを言いたいわけじゃなくて。
マラドーナとメッシ、どっちが凄い?ってのと同じように時代の違いは当たり前だけど、比較不能。だからこそ比較不能な価値が生まれるわけで。
個人的に、以前に比べて、カンテを見る目は変わっている。マケレレの価値の再認識を促すという意味もあるし、カンテのこれからの歩みを見守る上でレジェンドとの比較は良い意味でのプレッシャーになるだろうし。
ただね、人種や組織や時代の違いも考慮して、比較不能な価値を語ることは美しいもの。ロマンだもの。ボクシングでいうところのオールタイム・パウンド・フォー・パウンドみたいなもの。
だからこそ、より一層、マルコス・セナがこのような選手を語るときに議論に挙げられないのは理不尽なんだって。
ビジャレアルがビッグクラブじゃないから?確かにビジャレアルはスモールタウンの中小クラブですよ。降格もしていますし、歴史的にもプリメーラの舞台で紡がれた物語は短いものです。
そこで2008年のスペイン代表!!観ていない人は観ましょう。
クラブレベルでいうと、ポゼッションに特化していた時代のビジャレアルは攻守のバランスを欠いていました。ご愛嬌レベルで。それを支えていたのはセナ。
だから今後は
「世界一のピボーテって誰だろ?カンテかな」
「いやー、ブスケツには適わないよ」
「レジェンド込みならマケレレだよ」
「マケレレかー。俺はグラベセンの方が好きだったよ。いろんな意味で」
「…マルコス・セナじゃないかな」
「「「「!!!!」」」」
ってなったら良いな(笑)
その日が来るまで、宗教的啓蒙活動は続く。