バルセロナ対レアル・ソシエダ 彼らが教えてくれた哀しき勝利
バルセロナ4-3-3 守備時4-4-2
レアル・ソシエダは4-3-3 守備時4-1-4-1 バルサのSBにはWGで対応するので6-3-1になるシーンも
カンプ・ノウの観客たちは何を思ったのだろうか。ユベントス戦の敗北。バルセロナは奇跡を再び起こさないといけないことになった。次節はエル・クラシコ。大一番の連続で、弾みをつけるためにも勝利は必要だった。そして、結果的にバルサは勝ち点3を得た。しかし、バルサが失ったものを突き付けられた試合となった。来週に向けて不安は増しただろう。
バルセロナのやりたいフットボールをバルセロナの前で披露したレアル・ソシエダ。ポゼッションによる秩序と安定はソシエダの方が優り、後半により圧力を掛けていた。中盤3枚が支配したバランスのレアル・ソシエダ。一方で中盤がクールダウンできない攻守分業のバルセロナ。中盤の秩序は失われたまま。イニエスタ投入後も彼のキープ力でファウルを誘い、時間を稼いで落ち着きをもたらすといったスキルは流石であったが、バランスは回復されなかった。
レアル・ソシエダは(一時的だったが)ポゼッションを上回り、ゲームをコントロールした。ボールの前進が詰まりそうならサイドチェンジで展開。WGのカットインとIHの裏取りとSBの攻撃力。
足元だけのフットボールにならず、裏のスペースを意識したチームビジョン。それに伴う背後に抜け出す選手のバリエーション。4-4-2のMFラインで空いたラキティッチorパコのスペースを起点にボール保持。ボールを持つ引き出しの多さをカンプ・ノウで見せ付けた。
SBの質的優位を演出する為にSB上げ+IH下げによる左右非対称のデザイン。大外(SB)からのハーフスペースへパスを狙う意図。
バルセロナ対策になっている心臓のブスケツに問題を抱えさせること。ブスケツのカバーエリアを逆手に取る戦術。ブスケツがIHのカバーに釣り出された時、ブスケツがプレス番としてイジャラメンディを観る時、ブスケツが前に出てコースを消そうとする時などといったシーンで、外を使って無力化から背後のスペースを狙ってブスケツを守備に走らせていた。
レアル・ソシエダのプレッシング図。GKは放置。ウムティティを空けるように。ネイマール不在からビルドアップの出口になりそうにない左サイドに誘導。ネイマールのタスクをパコに期待するのは無茶。IHとパコの縦交換みたいな気の利いたものも皆無。パコでSBピン止め→スアレスの裏抜けはあるよ pic.twitter.com/lDb4MPgqr7
— 政夫 (@glasses505) 2017年4月16日
GKを使うお互いのビルドアップ共通図。逆SBが盲点になる。求められる精度。テア・シュテーゲンとルジは上手いから高レベル。SBに渡った際にWGが降りてくるけどSBのデート。IHはスライド対応されているから出し所の大変さ。バルサも同じ守備時の狙いはあったが、強度はソシエダの方が上 pic.twitter.com/JuWXnhEnc4
— 政夫 (@glasses505) 2017年4月16日
前半に観られた面白かったレアル・ソシエダのシーン。逆WG動員による数的優位。試合全体で一回きりだから謎だけど。ブスケツの可動域を逆手に取るのは高レベルなバルサ対策。ブスケツを誘い出して裏を取る。三角形作りから2列目の追い越しでバイタルを!ライン下げさせてユーリの攻撃参加で厚みを! pic.twitter.com/7fw8B5D688
— 政夫 (@glasses505) 2017年4月16日
パコはSBをケアする意識高い。だからSH位置が空いているのでバルサの2トップ脇からの侵入に対してスペースあり。そこでアンドレが単独アプローチ。IHによるエントレリネアスからのSBへの展開。ハーフスペース狙い。エリア内は同数の出来上がり。逆IHの位置取りが高ければバイタルも狙えたよ pic.twitter.com/rh4nnp6byb
— 政夫 (@glasses505) 2017年4月16日
前半を終えて3-2
後半のレアル・ソシエダの修正が求められる中、エウゼビオは的確に動いた。それでも結果が出ない時はあるわけで、それもフットボールだ。
前半は放置していたテア・シュテーゲンまでにプレスを掛けるために、全体のラインを上げた。イジャラメンディもプレーエリアを高くして、プレッシングの掛け方を変更。ブスケツやIHにイジャラメンディを!イジャラメンディが空けたスペースはCBの縦ズレでカバー。さらにSBを動員することも。その時のSB裏は大きなスペースがあるので、ユーリ裏を狙うセルジ・ロベルトとの刺し合いは面白かった。特にWG化のラキティッチ(メッシは中央に)からインサイドのセルジ・ロベルトのインナーラップは破壊的。
その他の修正点は、シャビ・プリエトのポジショニングを高くして4-2-4気味になるシーンも。WGとIHの縦交換でマークをズラすのもお手の物。
そして、頻繁に表れるバルセロナの「誰がアプローチに行くの?」現象。最終ラインもMFラインも下がったバルセロナ。連動するプレッシングは失われていた。SBの横幅と中盤3枚によって起点を作られて、ペナ幅WGのエントレリネアスでCBの縦ズレを誘発からのSB絞りでSBゾーンを大外のSB突撃でサイド優位を演出するレアル・ソシエダ。バルサは撤退することしか出来なかった。ラキティッチも責任感で相手SBの位置をケアして守備のポジションが下がっていく。空けたスペースはソシエダにとって天国。バルサにとっては地獄。守備に忙殺されていた。
ボールを保持して支配する。原点との乖離。中盤の構成と前線のバランス。エンリケ政権以降の宿題は山積みだ。