おおたまラジオ

しまいには世の中が真っ赤になった。

アトレティコ・マドリー対ビジャレアル 均衡を破ったエスクリバ

ビジャレアルアトレティコに勝利。なぜ勝てたのか分からない。再現性のあるプレーがゴールに結びついたわけではなく、前線のハードワークと血の入れ替え。交代カードって滅茶苦茶大事。SB裏を狙うデザインは後半からの修正。特に2トップのボールサイドのFWがアトレティコのSBゾーンに入って、サイドを崩したい意思は見えた。その中でアドリアンとサンソーネ。ワンサイドカットの守備から全体の連動でボールを追いこむ狙いが90分維持できたのは大きい。それが無失点の時間を長くさせた要因の一つ。2トップはアトレティコ2CH切りからサイド誘導という仕事は徹底できた。そこは素晴らしいけど、ボール保持時のFWの貢献は厳しかった。そもそも前進出来なかったというのもあるけど。アドリアンは器用な選手だからサイドに顔を出しつつ、中央のライン間を狙うこともして欲しかった。そのタスクが出来る選手なのに、あまり絡めず。バカンブなみに受けたいエリアを限定したのは、ゴールをより意識したというのもありそう。全然シュートを撃つ機会無かったというのも皮肉だけど。器用貧乏なアドリアンが、器用さも見せられない時点で入り方は間違っていたと思う。以前、安永さんに「アドリアンはリーガのアタッカーにしては尖り方が無い」と言われたアドリアン。得意な型が無いという意味。でも、その丸みが型に捉われない柔軟さを生むからこそ、ポリバレントな役割が出来ると思っている。でも、彼はアタッカーなのでゴールが欲しい。それが柔らかさを奪うのだから難しい。

サンソーネはソル様と違って、CBに狙われた状態でも収める(ファウル誘発)ことが出来ないから、縦パスの預け所としては不安定。ヘソを自陣ゴールに向けて、DFを背負いながらというプレースタイルではないのは分かるけど、ビルドアップがアトレティコのプレッシングで壊滅的だった展開なので厳しかった。サイドに蓋をされて、サンソーネしか出せないというシーンだから、相手CBも予測できる状況が出来上がっているのも悪循環の極み。

途中交代のバカンブはスペースがあれば独力でなんとかしてくれる。それがゴールに繋がったわけで。アトレティコがラインを上げて保持+ビジャレアルがボールを放棄の噛み合わせが生んだスペースは、バカンブにとっては美味しい。

 

 

 

 

 

サンソーネはこのレベルだと厳しいかも。スペースにヘソを向けて突破というシーンも作れないし。エリアの枚数の掛け方もよく見えない。というか、その前のサイドでの崩しが不安定だから。ファーのトリゲロス詰めは良いシーンだったけど。ボール前進の工夫は見えるけど叶わず— 政夫 (@glasses505) 2017年4月29日

 

アトレティコのファーストラインとSHの段差作り、ボールサイドCHともう一枚のCHのディアゴナーレと逆SHの位置取り。強度含めて、ビジャレアルとしては突破口が見えなかった前半だった— 政夫 (@glasses505) 2017年4月29日

 

ロングボールが厳しい。攻守ともに回収できる気がしない。ビジャレアルはサイドを蓋されている状態(SB←SH SH←SB FW←CB)で、早いタイミングでボールを送り込んでも、ワンサイドカット守備でハマっている状況からロングボールを使用してもCBに弾き返される循環。

 

サムカスのフィリペのマーク位置取りは印象的。ワイド圧縮からサイドチェンジのレシーバーになるであろうフィリペを警戒するポジショニング。ヒメネスの時には捨てているエリアよりもシビアな位置取り。それに伴い、FW-MF間の圧縮→FWの位置が低くなるので、ボールを奪取しても選手間の密度から遅攻。カウンターという狙いはでは無かった。トランジション勝負を仕掛けようにもドリブルで運べるサムカスの位置がフィリペによって下がるので、現実的ではなかったのもある。

だから、ボールを持っても急がない。なるべく0-0の時間を長くしよう。CBやブルーノ、トリゲロスからのサイドチェンジを使ってボールを動かそう。でも、サイドは切り込めない。ロー・スコアゲームならではの均衡感。ビジャレアル的にカルデロンだからドローは結構あり。勝ち点1でも大きな収穫。そんなプランが幹となっている近年のビジャレアルらしさが出た試合。

 

アンドレスを組み込んだビルドアップはプレッシング対策になるだろうと思っていた。相手プレッシングの急所になり易い逆SBまで如何に蹴り込むか。GKの精度が求められるシーンで、アトレティコのスライドとカバーが目立った。サイドの強度とCH(特にガビ)によるプレッシャーは流石だった。あの包囲網をガンガン崩せたら、ビジャレアルはもっと上の順位に居るはずになるから仕方ない。

ボールを捨てても勝てるチームになっているビジャレアル。ハウメ狙いのロングボールは増えていくと思う。リーガよりも欧州のコンペは顕著。アタッカーのサイズの問題もあるのだろうね。

 

ここで交代カードを見ると

アドリアン→ロベルト 4-2-3-1に変更。トップ下を作って、アトレティコのCB-CH間、CH-CH間の基準点をボカす狙い。これはハマった。ロベルトのライン移動とFWとのズレからのスペースの意識。2トップの時よりも整理されていた。SH-CHにジョナタンを潜り込ませて、ロベルトが捕まらないようにCH前のスペースで三角形。トランジション時のバランスを意識して、横幅ハウメのSB裏にはブルーノとアルバロを配置。ブルーノからの配球デザインも。

 

 

 

イエローを貰っていたトリゲロス→ロドリ

イエローもあるけど、終盤のロングボール警戒による采配。CB-CHの密度を高めよう!トリゲロスよりもサイズのあるロドリは高さ要員。

 

ミラーの時間を長くしたのは均衡状態を長くしたかったからだと思う。動くことでバランスを崩すリスク。それでも、エスクリバは動いた。もともと攻撃的志向の強い監督だから、当然の選択なのかもしれない。以前、マルセリーノの遺産の繋ぎと書いたことがあるけど、この勝ち点3を引き寄せたものは前任者の影よりも彼の力だと思う。でも、エスクリバに続投して欲しいと思わないのが不思議なんだよね。マルセリーノだったら、ミラーを続けたと思うから、スタイルの共通はあるにしても監督のカラーが出た試合。