おおたまラジオ

しまいには世の中が真っ赤になった。

フットサルマガジンピヴォ!Vol.59 感想

 

 

古本でピヴォを集めるのにハマっている。読んで琴線に触れたものについて紹介と感想。あくまでも一部抜粋。気になる人は買いましょう。

 

テクニック、タクティカル、フィジカル、メンタルなどのそれぞれのトレーニングを一つのトレーニングに落とし込み、実際のゲームの中で起こりえる負荷をかけるトレーニングをインテグラルトレーニングと定義し、ドリルトレーニングとは真逆のコンセプトだとミゲル・ロドリゴは言う。

提示されたメニューは以下のように。図で大まかな動きと練習毎のポイントが簡素に書かれている。

3v1のパストレーニング(視野の確保)

6v6のウォームアップゲーム

4v2+1のボールキープ(周辺視野)

3v3のシュートゲーム(速攻)

数的優位、不利、同数状況でのシュート

ハーフコートでの1v1

 

  • P19~ ミゲル・ロドリゴが講習会で用意した映像はスペインリーグ。筆者曰く、日本とスペインでのフットサル観の違いが映像から読み取れたと。アラでの1v1シーンが目立っていたとのこと。

ミゲル・ロドリゴ「フットサルのカウンターのゲームと言ってもおかしくない」

フィジカルによるスピードの問題ではなく、攻守の連続性によるスピードが求められる。サッカーとフットサルの関係性についてバルサを引用。この時のバルサはペップが監督。

ミゲル・ロドリゴ「非常に狭いスペースでクリエイティブに細かくボールを繋いで運び、みんながいい判断をし続けながら有機的に動いていく。彼ら(サッカーのバルサ)のトレーニングを見ると、実は後ろから中盤、前線のシュートゾーンまで、すべてスモールサイズのゲームとして移動しながら全体のピッチの中を動けるようにプレーしている」

サッカーにおけるフットサル要素としてエントレリネアスを持ち出し、

「典型的なのがチャビとかイニエスタとかで、ボールを動かしてマークを外して、エントレリーニャで間に入ってボールを受けて、その瞬間に数的優位を作って、空いているスペースを一瞬、作り出す。パスを回して回して、狭いスペースになってきたと思ったら、下げてまた逆サイドに展開する。それを動きながら繰り返している」

「だからといって、パスばかりのチームではなく、1v1の局面は避けられないため、この部分にも非常に価値を高く置いている」

後段の件、 ペップのバルサでいえばレオ・メッシ。ペップのバイエルンでいえばドウグラス・コスタ、ロッベンがそれ。

 

北海道のトランジションを活かしたカウンターについて書かれているが、佐々木によれば「特に決まった形はない」とのこと。カウンターにおけるモデルは無いということか。

17節町田戦の水上のゴールシーンで、相手のドリブルに付き切った佐々木がカットする動きから連動して、水上が前線の基準点として移動している点が書かれているが、個人的な意見として、1stラインの形成、町田の選手のドリブルで空けたスペースに対して町田の逆FPが絞って中央を締める動きをマークするための移動、バックパスの牽制、コース切りなどの意味合いもあると思うが、どうだろうか。結果的にカウンターの基準点になったのは水上のポジショニング。図で観る限りでは相手の後方のリスク管理と枚数調整が怪しい気がする。

 

相手の急所を突くフリーランニングとしてスポットを浴びているのは木暮賢一郎。ペアの相方は森岡。木暮のオフザボールがエグイのが分かるシーン。

木暮のゴール前までの走り込みによるフィニッシュへの絡みが増えたことについて書いている。

図解の第16節神戸戦は、木暮の抜ける動き~マークの外し方~DFの死角(裏)を取るためのターン~ゴレイロの表を取る動き。抜ける動きの表と裏のシーン。

 

  • P50~ スペイン人監督のミキによるコーチング道場。逆DFの守り方について書いてある記事。

 ミキからの提言「プレーはしないけど、自分の前のスペースを支配しなければいけない」

ボールサイドにいない逆アラのDF2カ条

・味方が自分のマーカーへのパスコースを切っているときは、自分のマーカーに密着する必要はない

・反対側のアラは、プレーしないけど、自分の前のスペースを支配しなければいけない

逆アラはプレーに関与していないからといってサボってはいけないのは当たり前で、バランスを取ることでコレクティブなDFをすることが出来る。

DFの1stライン形成による基準作り、カバーリングの準備、逆アラの判断力、チームDFのバランスを保つためには逆アラのポジショニングが重要なことが示されている。サッカーでいうシメオネアトレティコの逆SHがそれに近い。

 

  • P52~ セゴビアに所属している高橋健介に尋ねるスペインリーグの魅力。インタビュー記事。

高橋によればスペインのフットサルはスピード感が顕著。フィジカル的なものではなくて、判断の速さやトランジションによるもの。ただ、走るだけのものではないと高橋は言う。

「その切り替えと判断の速さが全体のゲームスピードを速くしているし、ボールがラインを割らないのでゲームが途切れない。ミスで終わらない。DFが上手くいっているときはボールを奪えるけど、上手くいっていなければ、抜かれてしまう。戦術と戦術、またそのプレスを回避するそれぞれの選手の技術と技術がぶつかり合っているから、それがスピード感に繋がっていると思います(略)」

「パスの貰い方など、ピッチを上から見ているような感覚のままプレーをピッチでやれているような。ここで止まったら相手は嫌だろうなって思うところで止まるとか。あそこに走ったらいいパスを貰えるだろうなってところが見えているとか。」

「パラレラっていう戦術は、「こうだ」っていうのを学び、その後にチャビが「そうじゃないよ。こうだよ」と言われ、シドが来たらまた全然違う戦術で。自分の経験上、それぞれの監督のいろんな戦術を学んでいって、それが選手自身の引き出しになっていくんだと思います。スペインではそれこそ子どもの頃から本当にたくさんの監督のいろんな戦術をこなしながらプレーをするから、トップになったときに監督に試合中、戦い方の変更を指示されても「ああ、こっちね」ってたくさんある引き出しからそれに適したものを開けられる。それが歴史なのかもしれないですね」

 ミゲル・ロドリゴによれば、スペイン人は10代前半、小学生くらいまでフットサルをやって、その後、ソサイチや8人制、11人制というふうにサッカーを選択する人も取り組んでいるとのこと。サッカーでいえばイニエスタやアセンシオなどが代表例か。

 

  • P60~ 王者エルポソのディフェンスと攻撃。それらを分析した記事。あくまでもケース毎全般に言及することは不可能なので、ある程度、枠に嵌め込んで記述している。

本誌で最も驚いたのは以下。

  • P62 あふれる攻撃オプション。

ドゥダによれば、練習ではセットプレー以外の攻撃パターンの練習はしない。

監督としては選手のプレーエリアや特徴が被らないようにデータを参考にしてセットを組む以外、攻撃には触らないとのこと。

データについては、ドゥダが練習後に先週末の試合を観ながら、各選手のプレーをひとつひとつパソコンに記録。毎節データを集積。選手のシュートエリア、シュート数、ミス、ボールロスト回数、ファウル数など。組み合わせ毎のFPの統計を取るのは、プレー時間と失点数とゴール数から、ゴールを狙うセットと失点を避けるセットを見つけていく。

 

  • P80~ ピヴォに必要なカラダ作り。

星翔太と吉田直人のフィジカルトレーニングについてのレポ。

「お尻を出してキープをしろとミゲル・ロドリゴからも言われているので、お尻周りは必要。ただ、お尻だけを出してしまうと上半身のバランスが崩れるので、腕で押さえたり上半身も必要。あとはピヴォは首を鍛えた方が良いと思います。後ろからDFが勢いをつけて突っ込んでくるので、頑張っても腰とか身体全体に衝撃が来て、むち打ちになります」

 お尻のキープが上手かったのは、先日のアルゼンチン代表。手と尻の使い方が抜群だった。手押しだけで空間を得てから反転や上半身を先に預けて空間を作ってからボールを迎えに行くなどもあるが、密着した状態だと腕に頼り過ぎると上半身と下半身のバランスが悪くなる。下手すると泳ぐから。適切なコーディーネーションはボールキープから求められる。そのための身体作りである。