おおたまラジオ

可哀相じゃない!

『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』を語りました

政夫:『青ブタ』4話~6話まで観たんですか?古賀朋絵回ですよ。


ろこ:はい。観ました。


政夫:どうでした。


ろこ:んー。んー。観たのが日曜の夜で、今日は土曜日じゃないですか。あとで話そうと思ったんだけど、銀杏BOYZのLIVEに行ったんですよ。なので…


政夫:記憶に残ってらっしゃらない?


ろこ:んー。あらすじをちょっと。


政夫:古賀朋絵がラプラスの悪魔で、空気を読むタイプで、空気を読んで読んで読みすぎて空気になるタイプなんですよね。クラスの女子のグループからハブられないように空気を読んで、空気を合わせ、先輩から告白されるんだけど、その先輩を気になっているのは古賀朋絵のいるグループのボス女で、その子に嫌われたくないから告白を断りたいんだけど、断ると角が立つしで板挟みになってしまっている。そこで梓川と出会い…みたいな。公園でケツを蹴り合った仲ですよ。


ろこ:俺、イマイチ、物語の軸として繰り返すというのがあるじゃないですか。


政夫:古賀朋絵回はループモノでしたね。


ろこ:そこがちょっと急になるやんか(見せ方として)。


政夫:定番なんですよね。学校とループものって。学校という箱庭の中で、終わらない日常を繰り返すための仕掛けなんですよ。ループが。ただただ終わらない日常(モラトリアム的)を消費していくだけの比喩になっているんですよ、ループの構造自体が。そこから、ループの輪からどのように抜け出すのかが問われるんですよ。

ハルヒ』の「エンドレスエイト」などで(代表作は押井守うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』)、当時画期的だったのは8週間同じ内容を本編でやったんですよ。8話ループしたんですよ。僕らのリアルタイムで。セリフや服装を微妙に変えて8回分の放送でループしたんですよ。8週間同じ話を見せられたんですよ、オタクは。


ろこ:(笑)


政夫:『ハルヒ』ファンでさえも擁護できないような炎上騒動になったんですけど。ループものって作品の根幹に関わるから具体例が出しにくいんですけど、『ハルヒ』くらいなら超有名だから言いましたが。

とにかく終わりのない日々(=変わらない日々)をただ繰り返して生きていくというのを題材にループが使いやすいんですよ。その終わりのない、堕落していく惰性的な(モラトリアム的)日々の繰り返しの中に自分が没入している。そこに不自然さを感じるのが、ループからの脱出のキッカケになるんですよ。大体、愛の力で乗り越えるんですけど。


ろこ:いや、愛は大事やで。


政夫:『青ブタ』がやっているのってSF的要素、桜島先輩なら透明化現象でしたし、古賀朋絵はループでしたね。7話でやっている双葉のは分裂なんですよ。自己が引き裂かれた話なんですよ。双葉回は結論がまだなので何とも言えないですけど、現状の6話までで判断するなら、SF的要素=思春期症候群で、その発症したキッカケを何かの力で、他で埋め合わせして、それで乗り越えていくのが『青ブタ』のセラピーなんですよ。

解決方法のセラピーとしてのエッセンスは愛の力しかないんですよね。桜島先輩に告白したのが1話~3話で…


ろこ:今回の結論って愛なの?


政夫:愛ですよ。


ろこ:恋じゃなくて愛なの?


政夫:恋愛です。恋愛の力で乗り越えていくが一つ定番化しているのかなって思いました。


ろこ:古賀朋絵はずっと認めたくない感じだったじゃん。


政夫:年上のツンとした男性にちょっと良い所見せられたら落ちたチョロインですよね。


ろこ:それに付き合う梓川はお人好しというか御都合的。


政夫:古賀朋絵を助けようと思ったキッカケが妹を彷彿とさせたことからなんですよね。妹さんは空気を読もうとしていたんだけど、それを読まなかったがために外れてしまった、思春期症候群になってしまった過去があるから、古賀朋絵と同じなんですよ(空気に敏感という意)。空気を読まないといけないのに、それをサボったらハブられるのだから、恐怖心ですよ。義務感といってもいいかも。

サボってしまったのが妹ちゃんで、それをサボるとどうなるか分かっているからサボらないのが古賀朋絵なんですよ。あの辺のグループの顔を立てないといけないボスの顔を見ながらペコペコして、みんなに合わせて、ヘラヘラして同じものを摂取したり…その辺のダサさが古賀朋絵なんですよ。でも、そのダサさが「みんな」の共通文法なんですよ。特に学校では。それが自然とカースト制度に繋がっていくんですよ。


ろこ:うんうん。


政夫:つまりこの辺の話をすると、『桐島、部活やめるってよ』の話に直結するから止めますけど(笑)


ろこ:(笑)『桐島』はねー。


政夫:『桐島』でいえば、神木君は空気読まない系なのかもしれないけど、空気を読んでいます一応。


ろこ:そうか?


政夫:そうですよ。映画オタクな部分、教室で雑誌広げていますけど、誰の害にならないようになっているじゃないですか。無害なんですよ。「空気」になってしまっているわけですよね。無害認定されたオタクなんですよ。


ろこ:そうだね。映画同好会みたいなのに入っていて、もう一人いるじゃん。あいつと絡んだり、カースト上位の子が笑っているシーンとか覚えているわ。


政夫:『桐島』でお互いに空気を読む部分、共通の暗黙の了解を示し合わせている凄いシーンだなって思ったのは、橋本愛と東出くんのグループにいるチャラい奴が実は付き合っているという設定。誰にも言っていない仲で。


ろこ:あー。


政夫:教室でヒソヒソと示し合わせていたという。あの辺の実は二人付き合っているんですって、あの二人はカースト上位なんですよね。


ろこ:あの女ヤバいで。


政夫:あの二人がいるカーストは上位なんですけど、同じグループではなくて近いグループなんですよ。派閥じゃないけど、グループ間(男女間ともいえる)の微妙な距離感があって、同じグループ内の味方に配慮した際に、「私たち実はこっそり付き合っているんだけど誰にも言えないよね」感じを誰もいない教室で仲良くよろしくやっているところに、こいつらめちゃめちゃ空気を読んだ結果なんだろうなって、すぐ分かるんですよあのシーンだけで。


ろこ:はいはいはい。


政夫:基本的にカースト制度の話って、トップカーストに所属している人間の悩みって、最下層の人間からすると、「あいつらはいいよな。悩みとかないんだろうな」と思うんですよ。虐げられている側からすれば。大体、両者共に似たような悩みを抱えているというのが面白いところで、それが『桐島』だったりするんですよ。

一番『桐島』が面白いところは東出君が抱えている悩みを、既に神木君が乗り越えてしまっているという。


ろこ:野球部の子が象徴的で…。


政夫:(『青ブタ』に)話を戻しましょう。『桐島』になっている(笑)


ろこ:もうちょい話したい(笑)


政夫:『青ブタ』の5話と6話ってビビッと来ませんでしたか?


ろこ:いやー。だから、ビビッと来なかったな。梓川がご都合主義というか、何回もやり直せる前提ならどうすることもできるじゃんって。なのに、海行ったりしてたやん。一番、楽しんでいるじゃん。


政夫:でもずっと繰り返すんですよ、あの日常が。地獄じゃありませんか。抜け出せないんですよ。


ろこ:地獄か?


政夫:抜け出せないんですよ。抜け出しのは古賀朋絵が秘めていた嘘を暴いたからですよ。


ろこ:暴き方もなんか…


政夫:傲慢的でしたね。自分(梓川)には好きな先輩がいる、でも古賀は俺が好きなんだろちゃんと言ってみろって感じ(通過儀礼的)ですからね。
言葉にしないとダメなんですよ。言葉にして行動しないとダメなんですよ。『青ブタ』の恋愛の力で乗り越えていくみたいなのが定番化している話をしましたが、フィジカルはありますよね。実践的であるという意味で。思考レベルの話だったら…。
僕は第5話と第6話の演出がマジで凄いなと思っていて。


ろこ:ちょっと聞かせて。


政夫:5話の終わりに古賀朋絵が自宅で勉強しているんですよ。

で、グループのボス女からLINEが来て動画のレコメンド連絡なんですよね。動画のリンクを開いたら、動画を観ようと思ったらYoutubeなんですよね。だから広告動画があるじゃないですか。その広告動画が桜島先輩なんですよ。それを見て顔が曇る古賀朋絵、で5話が終わるんですよ。これ凄くないですか。演出的に。


ろこ:あー(笑)


政夫:素晴らしいと思ったんですけど。日常的なものを使って如何に桜島先輩に対して嫉妬している古賀朋絵を見せるかという演出としては最高じゃないですか。しかもレコメンドされた動画は観ないといけないルールのもとだから。動画を観るためには広告動画も観ないといけないんですよ。
あとは6話の告白シーンですね。天気雨だったというところが、僕は凄い好きで。晴れているのに雨が降っている、その微妙な曖昧な関係性が天気雨的で、ろこさんは告白の是非について相当イチャモンをつけたいようですけど。


ろこ:イチャモン(笑)


政夫:僕は美しいシーンの一つだなって。天気雨含めて。しかも天気雨があるからこそ、雨が降っているからこそ、古賀朋絵は泣きながら告白してフラれることで、その涙を洗い流すことができるんですよ。アフターサービス付きですよ(笑)


ろこ:(笑)

 ※11月に配信した音声を一部文字起こししたものです。

podcast-is.seesaa.net

『青ブタ』の4話~6話は話としてはチープでありながら、王道的展開をどれだけ演出や演技といった見せ方で引っ張るのかという一点において上手くできていたと思う。

そのヒロインでもある古賀朋絵というキャラは、空気を読み、空気に合わせ、「みんな」の一部になることで「みんな」という全体になるように努めている。その行動原理は「みんな」と違うことによる不安と恐怖からくる使命感であり、義務感。

だからこそ「みんな」という不特定多数に気を遣い、「みんな」から外れまいとオンラインでもオフラインでも常時過剰に繋がっている昨今、スマホというデバイスの前でも学校、つまり教室という空間の拡張によって「みんな」と空気がどこまでも侵食してきている。SNS疲れやスマホ疲れを申告する若者が増加する一方で、その徒労感がありながらも古賀朋絵のように「みんな」に合わせることで処世術を駆使し、サバイブしている若い子は多いと思われる。その延長で、第5話のラストのように友達からオススメされた動画のページを一目散に開き、桜島先輩の広告動画が流れて嫉妬に眉を顰める古賀朋絵という演出はラジオ内でも言及したが、やはり至高なのである。

※本編ではループ構造について話し、またその点の都合の良さに対してろこさんが抱いた疑問を解消し切れていないが、プチデビル編は「ループ」ではなく「未来予測」だったことがガッツリ抜け落ちていました。大変失礼いたしました。

 

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