おおたまラジオ

しまいには世の中が真っ赤になった。

銀杏BOYZに捧げる愛と涙の語り

政夫:銀杏のLIVE行ったという話聞かせて下さいよ。


ろこ:政夫君は銀杏どれくらい知っているの?


政夫:高校時代、K君という子が銀杏好きだったのは覚えています(笑)


ろこ:そんくらいか(笑)


政夫:そうです。K君は軽音部所属で。


ろこ:銀杏ってバンドって認識じゃないですか。初期のメンバーはもういなくて、解散していて、今も銀杏BOYZなんだけど、もうほぼほぼ見に来ているファンは峯田を観に行っているという。


政夫:峯田のバンドを観に行く感じですか。


ろこ:バンドも怪しいかも。


政夫:超初歩的な前提を確認しないといけないんですけど、解散する前の銀杏BOYZは、峯田を観に行く感覚ではなかったということですよね。峯田のバンドを観に行くっていう感覚でも無かったわけですね。バンドの中の峯田…


ろこ:いや、銀杏BOYZだね。色んな曲があるんだよね。一番有名なのは『BABY BABY』だと思うんだけど、あんまり好きじゃなかったのよ。


政夫:『BABY BABY』が一番有名だけど、それよりも他の曲の方がいいんじゃね?みたいな話ですよね。


ろこ:多分、聴いていた時、そういう年代だったのよ。あの曲が歌っているのは恋愛の歌なのよ。青春=恋愛と考えるなら確かにそうなんだけど、他の曲のメッセージとか、銀杏というバンドのスタイルとか…


政夫:分かった!あー分かった。銀杏らしさが抜け落ちているとは言えないまでも、銀杏じゃなくても歌えるんじゃねーのということですよね。


ろこ:うん。『BABY BABY』はね。だからそんな好きじゃなかったのよ。今の峯田が歌う『BABY BABY』は好きになってきたんだよね。この辺が言語化が難しいんだけど、本人のインタビューとかでもあるように、バンドが終わって、銀杏の過去を知らない人もいて、最近の俳優活動の露出から知ったという人もいて、でも峯田的にはそういう売れ方はしたくなかったと思う。俺はそう思っているんだよね。


政夫:石原さとみと恋をしたくなかったということですか。


ろこ:したくなかったと思っている。分からん。これ俺の幻想かもしれんけど、でも売れちゃったから受け容れるしかないじゃん。過去の銀杏BOYZじゃなくて、今の違う銀杏BOYZを背負って生きていくよみたいな話。

それに付いてきてくれるファンなら分かってくれるであろう、過去的でもある銀杏らしさが新曲にちょいちょい入れてきているんだよね。


政夫:継承されていると。文化的遺伝子が。銀杏らしさが仄かに香っていると。


ろこ:それがロックなのか?


政夫:一つ質問いですか。寿命論で、おおたまラジオも第4回なので熱心なリスナーの方も。


ろこ:おるか(笑)


政夫:さぞ多くね。信者の方も。


ろこ:おるか(笑)


政夫:お布施を払いたいという信者さんもたくさんいると思うんですけど、第1回でろこさんが寿命論を苦しく話していたじゃないですか。そこで銀杏の話も出ていたじゃないですか。銀杏らしさが残っていれば、バンドとしての形態は変わっていてもなお変わり続けないものもあるというのは、ノスタルジー的な良さなのか。その良さしかないのか。あるいはもっと変わっていくバンドとしての未来とか気にならないのか。

気になるんですよ。僕もバンド好きだから分かるんですけど、アルバムを順々に出す毎に作風がかなり変わっていく。それによって1stからいたファンが、3rdアルバム以降、振り落とされるみたいな。凄い捻くれたギターテクだったのに、3rd以降からキャッチーになったりとか。これ、俺が聴きたいバンドの音じゃないなといってファンが離れていくって結構あると思うんですけど、具体名は出しませんが。生々しくなっちゃうから。

僕個人の見解を述べるなら、同じような曲聴いていたいなら昔の曲ずっと聴いていればいいじゃんと思っちゃう派なので、僕はバンドとしての未来は変わり続けることかなって。変わらないものがあったとしても、変わり続けないとダメだろと。


ろこ:それは政夫君の中でのベターなのよ。でも、銀杏を過去聴いていた人たちはちょっと違う気がする。もっと中途半端というか未完成。


政夫:ノスタルジーじゃなくて卒業できていないんですね。


ろこ:そうそう。アイデンティティ。もうちょっとまだ青春していたい奴ら。まだ大人になりきれていない奴ら(笑)


政夫:なるほど(笑)


ろこ:さっきの政夫君が言ったのが、絶対的に考え方としては大人なのよ。それをしていけばもっと楽に生きていけるというか、成熟していくというか。


政夫:僕の見解の延長なんですが、評価軸として毎回新しい音出しているから「冒険した!野心的!」だと評価するのとまた別の話があるじゃないですか。スタンスは凄いと思うけど、それが成功しているかどうかはまた別の話だから。その辺が込み入ってきてしまうから、複雑になるから、人にとっては安定した基準が持てているある種のノスタルジーであり、確固としたアイデンティティのもとで音を掻き鳴らしてくれた方が、自分の評価というのも同一基準だから揺るがないわけですよ。

ただ、アルバムを出していくほどに音が複雑化していくし、音がバラエティに富んでしまうと「このバンドって結局なんなんだ」ってなるんですよね。引き出しが多くなりすぎると。


ろこ:あー。


政夫:そうなった時の評価軸は、バンドがアップデートしているんだったら、聴く側もアップデートしないといけないんですよ。それをサボってしまうと、嫌な言い方ですが、自分の好きな部分だけしか評価軸に乗せないのは、僕はフェアじゃないと思う。やることやってからやろうよと。それは目茶目茶大変なんですよ。

だって、その音を作ったバンド自身がめちゃめちゃ大変なことをしているんだから、それを受容するファン側も大変になるんですよ。元々そのバンドを聴き始めた時は、そのサウンドが無かったのだから、そのサウンドに慣れ親しんでいないんですよ。その新しい音に対して、新しい評価軸を作らないといけないんですよ新しく。


ろこ:それは、峯田はやっているんですよね。


政夫:おー。これ打ち合わせしていないですよ(笑)


ろこ:2014年にやっているのよ。


政夫:(笑)


ろこ:『光の中に立っていてね』というアルバムで、今までの曲のアレンジとしてノイズミュージックをやっているのよ。峯田の声が聴きたかった人たちからすれば、かなり抵抗のあるものだったと思うし、批判もあったし、銀杏終わった説もあったんだけど、俺はめっちゃ良かったのよ。


政夫:僕は銀杏ファンじゃないし、詳しくも分からないから果たしてどこまで言及していいか分からないですけど、なぜノイズをわざわざ掛けたのかまで考えないといけないんですよ。


ろこ:そうなんよ。


政夫:聴いている側も。その辺を考えずにあれこれ言うのは楽だからね。


ろこ:そこのアップデートしろというのはオカシイんだけど。


政夫:そうなんですよね。娯楽だから。


ろこ:そう。


政夫:ただ、個人的にはクリエイターが魂込めて作ったものに対して、こっちも本気出さないでどうするのって思いますよ、僕は。


ろこ:(笑)


政夫:マジですよ。だから真面目に『青ブタ』とか話しているじゃないですか(笑)


ろこ:(笑)


政夫:何事においてもどれだけ意味を汲み取れるかみたいなテストされている気がしますよ、常に。それに対して自分がキャッチできないんだったら、向上しないといけないでしょうし、他人が自分以上にキャッチしているんだったら、他人を見て学ばないといけないでしょうし。


ろこ:でもね、峯田が歌っていた曲は一生懸命的であり、ダサさも肯定してくれているのよ。だから、別に…


政夫:必死こいてダサいのはいいんですよ。必死こかないでダサいのはダサいでしょって。話を戻しましょう。今、峯田を見に来ていると。


ろこ:それは俺と一緒に観に行ったファンが言っていた。だいぶ客層変わったなって。
俺がLIVEで受け取ったメッセージはね、俺たち年を取ったけど、あなたたちも年を取ったよねというスタンスなんだよね。でも、名前を残しているじゃん、銀杏BOYZとして。

これこそノスタルジーを売り続けているというか、それは新曲の歌詞やメロディで分かっちゃうんだよね。そこの、これはロックなのかって俺の中ではあるんだよ。まだ整理できていない。


政夫:ある意味、銀杏BOYZをメタ的に観ればロックになるんじゃないですか。銀杏BOYZという一つの箱に対するある種反逆的な、内省的な、批評的になっているという風に取れるんだったら…話を聞いている感じだと探し続けている途中のような。


ろこ:そうなんだよね。でも、俺はこうなると思わなかったんだよね。ずっと。

ラブ&ピース的なバンドになると思っていなかった。だから『BABY BABY』もあんま好きじゃなかった。


政夫:他のバンド的なものだったのが、銀杏の主流になってしまったと。『BABY BABY』的なものがありふれてしまったということですかね。


ろこ:かな。


政夫:それは『BABY BABY』が売れたからじゃないですか。認知されちゃったからじゃないですか。


ろこ:だから新曲はアンサーソング的なんだよね。その結果、新規層が来ているのよ。


政夫:今日ろこさんの話を真っ新な状態で聴いて、おおたまラジオのリスナー、熱心な信者さんと同じ目線で。


ろこ:おるか(笑)


政夫:話を聞いているわけですけど…いるいる(笑)その(アンサーソングについて)企みが成功しているかどうかは、『BABY BABY』的な曲に対して一つのアンサーソングが書かれたということは、銀杏BOYZの一つの区切りなのではと思いましたが。違うんですか?その区切りに対して、ろこさんとかが抱いていたものがクリアになることの方が企みとして成功しているかどうかって話になるんじゃないんですか。


ろこ:区切りは間違いなくて。


政夫:そこでスッキリしているかどうかですよね。だから重要なのはアンサーソングの次ですよね。


ろこ:そうなんだけど、アンサーソングから新曲を2、3曲を出したのよね。大体同じ路線。


政夫:卒業はしていないんですね。


ろこ:…うん。でもね、峯田はもう限界だと思う(笑)


政夫:(笑)限界か…。


ろこ:限界というとアレだけど、時代に合わせるっちゃ合わせると、というか。


政夫:ラブ&ピースな曲が増えたという話ですが、いつの時代も普遍的なものですから。基本的に愛が足りていないですし。愛が足りないです。


ろこ:(笑)だって、それが一番共感しやすいし、そこに何を突き付けるのかといったら、リアリティじゃん。


政夫:それは役者としての峯田が、役を通じて得た何かを還元した可能性もありそうですね。


ろこ:絶対それや。もう書けないなってのは分かっていると思う。


政夫:話題が暗いな(笑)


ろこ:(笑)


政夫:寿命論といい、峯田限界論といい話題が暗いな(笑)


ろこ:でも、恋愛って『青ブタ』の話じゃないけど、進まないといけないこともあるじゃない。空気を打ち破って。で、失敗することもあるやん。そのセンチメンタルさを肯定してくれているわけよ。


政夫:結果が成功だろうが失敗だろうが、行動に移したことは評価されるべきですよ。恋愛のみならず。


ろこ:そこは大事にしているというか、捨てきっていないから。


政夫:その辺の目線を大事にしているというのは、要は弱者への寄り添い方ですよね。強い人はコンテンツを摂取する必要もないですけど、基本的にコンテンツというのは弱い人のためのもので。
LIVEはどうだったんですか。


ろこ:良かったです。泣いたよね、正直。


政夫:それは何の涙だったんですか。


ろこ:悔し涙かもしれんな。


政夫:えっ。


ろこ:嘘嘘嘘(笑)感動の涙よ。それは、でもこの曲やってくれたみたいな。


政夫:さっきのセンチメンタルな部分、弱さを肯定してくれている。あるいは甘えかもしれないものを掬い取ってくれる優しさみたいな話をしていたじゃないですか。峯田自身がまだ残っていると言ってて、その全部ひっくるめたセンチメンタルな部分を、ろこさん自身が銀杏BOYZに対して持っているということですよね。裏返せば。


ろこ:俺はそれが正解だと思って生きているかもしれん。


政夫:デカいこと言い始めた(笑)


ろこ:(笑)
いや、そうじゃない?


政夫:僕もマッチョな考え方は出来ないから…。


ろこ:俺が好きな歌で『夢で逢えたら』というのがあるんだよね。

君に彼氏がいたら悲しいけど 

「君が好き」だという それだけで僕は嬉しいのさ

 という歌詞。真っ直ぐじゃないですか。


政夫:恋愛感情の処理の仕方なんて結局自己満足なんですよね。それに対して他者が乗っかって来るかどうかの結果論に過ぎないんですよ。コミュニケーションの産物ですよ、恋愛は。

突き詰めて行けば、どう自分の感情を処理していくかになっていくから、今の歌詞は正しいですよ。相手に彼氏がいようが彼女がいようが、関係ないんですよ自分の感情には。


ろこ:正解やん。


政夫:それを相手に彼氏がいるから彼女がいるからって言って、諦めてどうこう言って大人になったフリをする人がみっともない。


ろこ:(笑)


政夫:大人なんだろうけど、みっともないね。


ろこ:(笑)


政夫:それだったら、天気雨の中、涙ながらに告白する古賀朋絵を見習った方がいいですよ。ほら、『青ブタ』に繋げてきましたよ(笑)


ろこ:熱いな。凄い熱いな(笑)


政夫:そんな言う僕は、相手に彼氏がいたら引き下がるんですけどね。


ろこ:なにそのオチ(笑)


政夫:(笑)相手によります。


ろこ:相手によるんか。そういうことですね(笑)

 

 ※11月に配信した音声を一部文字起こししたものです。

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光のなかに立っていてね *通常仕様

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