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しまいには世の中が真っ赤になった。

北村薫『ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件』読書感想

 

ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件 (創元推理文庫 (Mき3-6))
 

 

エラリー・クイーンフリークのために贈られたパスティーシュ

本家を未読の方にはオススメが出来ない体裁となっており、古典作品のネタバレを存分に駆使した流れ。さらに、『競作五十円玉二十枚の謎』へのアンサーもあり、とのことでミステリファンには堪らない作品となっている。

クイーンを愛する人ほど、深みにハマること間違いなしのクイーン好きへのギフトである。後期クイーン問題への言及もありながら、クイーン作品の深い考察と同時に進行する怪事件。

こういった作品が本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞したことはおおいに納得のいくものであり、日本ミステリにとって大きな財産になる一冊である。

書かれたことに意義のある作品だが、本書を読む前に〝読むべ き本〟が多いという点を考慮すると、敷居の高い本だろう。

それでも必読の書といっても過言ではない。