コパ・デル・レイ準々決勝 CD Rivas Futsal対バルセロナ(Barça Lassa) マッチレポート
【実験的な記事です】
フットサルの試合をこのように表現することがどうなのかと思っていたのですが、分析できた範囲内でメモの要領で列挙して書きました。
しかし、これでも全部の要素を網羅しているわけでもなく、漏れはありますが、あくまでもバルセロナの攻撃戦術にスポットを多く当てた内容となっています。
試合映像は公式チャンネルから配信されたものを添付させて戴きます。
最終スコアは8-1
バルサが難なく突破を決めましたが、前半から切り替えたのが上手くいった試合でした。ディエゴのコンディションの悪さから見切りを付けた部分と3-1セットの配置を動かしたところ。左利きの重要性は分かり易い試合だったと思います。そして、次はセミファイナルでインテル・モビスターとの優勝候補同士がぶつかる事実上の決勝戦です。
守備機会をいかに単発にするか。プレシッングライン、一列目を突破された後のケア、撤退含めたライン設定、サイドへの追い込み方、2枚目、3枚目のポジショニング、トランジション、ピッチ幅の使い方と「間」に入る連続性。
バルサとしては前半はタイでしたが、試合のイニシアティブや攻撃機会の量を考えると、敗けるイメージは沸かない試合でした。それでも相手の時間帯に入った時のラインが下がり、被リスタートが増えることで相手のセットプレーによるチャンスが多く生み出されると難しいものです。サッカーでも流れの中からは難しい膠着状態の時こそ、セットプレーで試合が動くなんてあるあるです。
サイドーサイドの展開の前にある2~3枚目による中の動き出しや中と外の交換。プレスのためにシステムの噛み合わせといっても、相手DFの1列目の遠いサイドはどうしても中央のカバーのために絞り気味なので(3-1保持時の「間」の利用があるから)、そのギャップの有効活用(時間・空間)を得るためのボールの置き方、順足か逆足かどうか。この辺がディティールとして表れていました。
この試合は、久しぶりにフェラオが復活。エスケルジーニャの試合出場はありませんでした。フェラオーディエゴのデュオが久しぶりに炸裂するかと思いきや、そう上手くいかないものですね。次に期待したいです。
前半
3-1セットでの開始。試合全体に共通する点として相手のゴレイロのプレス回避時、ゴレイロは放置。残りの4枚にはマンツーマンで対応は約束事。
19:40 ゴールクリアランス、3-1ボール保持、カーテン、ホセリートの左足の中へのドリブル、相手1列目DFのジャンプ、DF2枚目のカバーリングポジション、レオ・サンタナの動き出しに対して3枚目のチェックの動きによる門の開き(図では3番と5番の門を指す)、門を裂くような左足からのダイアゴナルパス、ボールの精度からピヴォ当て失敗。
19:20 キックイン、3-1ボール保持、アイカルドのターン、カーテンでのボール保護、レオ・サンタナが1列目-2列目の「間」にポジショニング、直近のシーンと展開とほぼ同じなんですが相手DFの門がコンパクト、中へのドリブルからターンしてサイドへの展開、「間」からレオ・サンタナのパラレラでDFを引っ張る、バックパスで相手DFを引き摺り込む、DFの分断、レオ・サンタナが抜けたのでアイカルドが「間」に入る、レオ・サンタナが空けた左サイドにフェラオの列調整、アイカルドとのワン・ツーでのフェラオの突破、3v1の数的優位。
18:50 ホセリートの左足からフェラオへのピヴォ当て、トランジションの連続、ホセリートのボディバランス、逆サイドへの展開、パラレラ、ゴレイロへのバックパスで前進の目安がフェラオとレオ・サンタナの2枚、ゴレイロ保持時の2-1-1に移行したら後方の2枚はワイドにポジショニングすることで3レーンのピッチ幅利用、相手DFは門を狭く対応、ゴレイロからフェラオへロングキック、ボールカットされてトランジション後のアラ裏、フィクソが空けたスペースへレオ・サンタナのスペースを埋めるランニング。
17:52 アイカルド、ホセリートのポジションチェンジ、ホセリートがフィクソの位置、中央での左足とターン、アイカルドのリターン準備動作、レオ・サンタナが「間」に入る、レオ・サンタナが空けた位置にはフェラオの列調整(抜ける回数も多いレオ・サンタナのスペースの回し方)、左サイド寄りでの左足、アイカルドのバ、逆サイドのDFを釣る、レオ・サンタナの「間」から「間」への移動、ホセリートはアイカルドが空けた右サイドへ、レオ・サンタナ→ホセリートへのパスコースを消すDFとホセリート側(右サイド)をケアに動く2枚目、レオ・サンタナの個人戦術によるターンとドリブルにカバーする相手DFの不在=本来2枚目になるはずのDFはホセリート側をケアする為にポジショニングしたから。
17:30 キックイン、ポゼッション、プレス回避、レオ・サンタナのエントレリネアスへの移動、レオ・サンタナが空けた左サイドに左利きのホセリートがバックステップをしながらペアリング、1stDFとの距離感、順足から流れるようにフェラオへのピヴォ当て、ストロングサイドの構築、ホセリートのオーバーラップ、アイカルドのつるべの動き、フェラオのピサーダ、2v1の数的優位、レオ・サンタナのセカンドポストへの侵入。
17:00 被フリーキック、相手交代時の緩み。
16:35 相手のエントレリネアスを潰してカウンター、ダイアゴナルな(レオ・サンタナ)一枚飛ばしのパスをフェラオへ、中への折り返し。一枚飛ばしの重要性とターゲットの確保。
16:22 セット交換
クワトロ 左利き2枚、逆サイド配置、「間」と外の移動、逆足による視野の確保、ボディアングル。
15:33 ポゼッション、パス交換後のランニング、3人目の動きによる2枚目へのパスコースを作る、「間」でのストップとラインを下げるランニングの一連、リヴィーリョスのドリブル、味方のドリブルを受けてのエントレリネアスの移動、左足のカットインと「間」へのパス、ボールを出した後の動き直し、ボール保持者の視野とボディアングル、中央でのブロックとストロングサイドの構築、逆サイドの意識とバの素振り(デスマルケ)による準備動作と足元でのボール保持によるDFとの距離感、サポートとしてのジョアオのエントレリネアスへの移動、横パスを受けて中央からのシュート。
14:36 ボール保持者の中央でのターン、相手DFのサイドへの引きつけ、相手1列目の誘導、リヴィーリョスのドリブルのスペース作り、相手1stDFの不在、DFとの距離感とスペースの優位性、ボディフェイクとDFに足を出させてストップした後の突破、ミドルシュートで先制。
13:30 クワトロ、パス後の動き方としての「間」取り(抜けるパターンもある)、エントレリネアス、相手DFの1-2列目の圧縮、バックパスでの誘い込み、パス&ゴーとバ、キャンセル、カーテンでボールを保護しながら中と外を交換、サイドーサイドの展開、パス後の「間」への移動、ボール保持者の正対、3人目による列調整、2枚目の「間」の活用、3人目のラン(1、2、3枚のグループとしての役割が入れ替わる。2枚目の動きが結果的に3人目の動きとしてDFを動かす)、相手DFの引き付き、逆DFは絞り気味、中を空けてサイド―サイド(4枚目)への展開。
12:46 セット交代
3-1保持、フェラオへのピヴォ当てコース無し、中央へのドリブル、レオ・サンタナの3人目の動き、2-1-1、「間」に入る動きで1列目の背中を取る、DFを動かして対面での技術によるピヴォ当て、リターンとディエゴの右足、アイカルドが抜けてカットインのコースを空ける、レオ・サンタナが降りることで中と外の人の交換、左サイドでのディエゴの右足の角度、フェラオのストロングサイドへの移動、相手フィクソを釣る、相手左サイドが空く、レオ・サンタナとアイカルドのバ、一枚飛ばしの重要性、エリアへの折り返しはDFに当たる、一枚飛ばしをしたからこそ一つ手前がエリア内のターゲットになる。
10:50 ディエゴのドリブル環境作り、フェラオのストロングサイドでのポストプレー準備、デュオ不発。
守備機会が増える。相手リスタートが危険な高さが続く。
8:40 セット交代 クワトロへの移行。
8:20 キックイン時のゴレイロを使ってのプレス回避失敗。やはりゴレイロの足元はそれほど(この試合2回ほど失敗している)。ゴレイロをサイドに張らせる仕組みは無し。しかしシュートストップは流石。
7:28 ボールカット、トランジション、パラレラで2枚目のDFのカバーリングポジションを動かす、中へのドリブル、横パスでテンポを落ち着かせる、ペアリングのままカーテン、中へのドリブル、エントレリネアス、逆サイドへの展開、パス後の動き直しによるサポート、ボールを中心に近くの選手を掴むDFの習性、DFのサイドの偏り、サイドーサイドの展開、「間」の入れ替え、運ぶドリブル、3枚によるストロングサイドの引きつけ、リヴィーリョスの右サイドの縦のスペース作りと準備。
3:23 フェラオ投入、それまではクワトロセットから一部だけを交代させて偽ピヴォや2-1-1的であったが、これで3-1セットに移行。
3:22 3-1でのプレス回避、カーテン、中央を空けて逆サイドへの展開、ホセリートの左足と姿勢、フェラオへのピヴォ当て、フェラオの左手とゴールの位置、反転シュート。どこからでも打てる感覚は大事。
2:37 ゴールクリアランスを手前から3-1保持、2番から左サイドのレオ・サンタナへ、DFとの距離感、右足からピヴォ当て、オーバーラップ、ピサーダ、右腕の使い方、突破とシュート。
ディエゴのコンディションが上がっていない。ピサーダの組み込み方はディエゴよりも、左サイドにレオ・サンタナを配置しているからこそシュートに直結しやすい面。ディエゴの場合は選択肢としてはあっても、アイソレーションやワン・ツーの傾向が多い。
1:15 ディエゴーフェラオ、アイカルドとレオ・サンタナのつるべの動き、フェラオのポストプレー、レオ・サンタナの中央侵入とDFのポジショニング、フェラオの反転シュート、トランジション、1stDFの重要性。
00:3 フリーキックから同点。点で合わせるゴールへのニア逸らし、常にバルセロナのDFの前、ポジショニング、キッカーの質、軌道。
バルサとしては前半はエラーが多く、守備機会が増えるキッカケを与えていました。
1列目の突破を許した後の斜めの戻りとディレイによる組織回復までに、DFによるチェックは掛かっているのに潰しきるところで潰せずに展開されてしまう危うさがあったり。
後半
3-1セット開始 ディエゴ不在。
19:45 エントレリネアスへの移動、2-1-1、ピッチを広く使うサイドーサイド、「間」から落ちて3-1で中央を使うのはレオ・サンタナ。中での活動にフィジカル的に無理が利く選手の活用と相手DFの噛み合わせのズレから時間と空間を得る。サイドの展開、ホセリートの中へのドリブル、前後の斜めパスライン、「間」に入りながら三角形、相手DFの絞り。
19:09 アイカルドからゴレイロへのバックパス、2-1-1、門を通すフェラオへのパスを封じる相手DFの1列目、相手1列目脇の活用、1v1から縦の突破、フェラオのマークをしていたフィクソのカバー、フェラオがフリーになるもののクロスはDFに当たる。
18:45 サイドに張っているアイカルドからフェラオへのピヴォ当て、ストロングサイドの構築、ピヴォット、アラのつるべの動き、フェラオのポストプレー+反転フェイクでラインを下げる、相手DFの1列目の低さからレオ・サンタナの中央への飛び出し、バックパス、ホセリートの左足からフェラオへ、オーバーラップ、ピサーダ、2v1数的優位を作ろう。オーバーラップの距離とピサーダのタイミングが早く、相手DFにカットされたものの、縦に抜けていれば順足からファー詰めを狙えた(ピヴォットのアイカルドへ)。
18:19 フェラオのゴラッソ。
キックイン、一枚飛ばし、ホセリートのドリブルに順じたアイカルドのカバー、サイドーサイドの展開、中へのドリブルとバックパスによるレオ・サンタナの受け直し、スペースの確保、レオ・サンタナからフェラオへ、左腕の預け方によるサイドでの攻防、ボディバランス、レオ・サンタナが2枚目のDFを引きつける動き、ラインを下げる、中央を空ける、フェラオのカットイン、バランス感覚に優れたミドルシュート、ややブラインドによる2-1と勝ち越し。
17:49 レオ・サンタナのDFとしての追い込み方、逆FPの絞りからのカット、ダイレクトパスによる前進、トランジション、レオ・サンタナがボールを要求、レオ・サンタナへのマークが強くなる=相手DFが釣れる、1列目のDFとして逆サイドと中央を睨みながら中寄りに残っていたホセリートへ、一つ奥への重要性、ゴレイロを外して3-1
17:35 フェラオを残して残りを入れ替え、3-1セット継続。
16:46 クワトロセットに完全移行。
16:22 ゴールクリアランスのロングスローを回収、DFの逆を取る、リヴィーリョスの門に運ぶドリブル、中央から運ぶことで両サイドが空く状況=3v2の数的優位、2列目のDFが絞ったサイドを使うことで広大なスペースを味方に与える、セカンドポストの侵入、左足のファー詰めデザインをゴレイロが足でセーブ、トランジション、ジョアオの飛び込まずに対面→ディレイ、逆サイドの選手の絞りと味方の戻りで対応。
16:04 ゴールクリアランスを手前から、右サイドのリヴィーリョスの左足での持ち方、カーテン、中への運び、ターン、カーテン後の活用とストロングサイド、3人目の「間」に入る動きと三角形、ブロックとパス後のリターンを貰う準備、逆サイドのデスマルケ、パス後の動き方(パラレラ)によって、2枚目が中央のDFを引き連れて3枚目の動きになることでサイドへのパスラインが生まれる、サイド―サイドの展開、トラップと身体の位置と時間、ロングパラレラ、ターンでのボールの保護、相手DFのマンマーク、「間」に入って三角形とバックパスでのDFの釣り出し、空いたスペースへのパラレラ、残っているDF一枚のカバー。
15:36 ボール保持、バックステップ、非言語コミニュケーションによる要求、左足による対面のズラしからのリヴィーリョスの中へのドリブル、カーテン、ピサーダによるポジションチェンジ、相手DFが1枚で2人を見る状況、ストロングサイドでの3-1-0、カーテンのフェイク(結果的にブロックに入る)からの3人目の動きによる相手DFの1列目の裏、サイドと「間」でのワン・ツーで1列目の裏を取る、1-2-1の菱形DFの中央がら空きを突くドリブル、中央での優位性、2v1の数的優位、残っていたカバーに入るDFの死角へのパス、サイドの突破、ワンタッチプレー、セカンドポストへのランニング、ファー詰めで4-1。
13:42 セット交換 3-1
キックイン、ゴレイロを使ってプレス回避、ゴレイロからフェラオへのロングキック、フェラオ対フィクソの攻防、トラップと足裏のコントロール、ピサーダ、レオ・サンタナのオーバーラップ、2v1の数的優位、晒す右足でのコントロールと足裏で舐めるステップワーク、相手ゴレイロの飛び出しを抜いて無人のゴールに左足でシュートをするものの枠外へ。
キックイン、ポゼッション、前半はホセリートからピヴォ当てが多かったけど、アイカルドからの展開が目立つ。レオ・サンタナを中央に配置するようにアイカルドとのポジションチェンジによるもの。バックステップ込みでの逆サイドの準備、フェラオのポストプレー、オーバーラップでのDFの引きつけ、相手DF1列目のジャンプは無理な状況、逆アラのつるべの動き、フェラオの中への持ち運び、相手DF1列目と2列目の分断、逆アラのバ未遂。
11:26 セット交換
9:45 相手PP開始 バルサは2-2守備。ウィークサイドの1列目の絞り方、ラインの高さ。
ゴールクリアランス、アドルフォのキープ、パス後の3人目の動き、相手DFの1-2列間を通すサイドーサイドの展開、エントレリネアス、相手DFのマーク、死角へのカット、1列目の裏を取る、認知、逆を取る運び方とパスの方向、逆FPによるバからのシュート。
7:55 相手のゴールクリアランス、相手PP以降前への前プレからリヴィーリョスのゴール。5-1となる。
バルサの被PP時のディフェンスとしては、1列目のプレッシャーの強さと2列目の連動。それによって相手は深い位置までボールを供給できないし、バルサの1列目のDFを嫌って自陣寄りのポジショニングを開始位置、それに伴うサイドの位置。バルサのDFを嫌ってサイドの奥のスペースを取れないとなると、遠い位置からの無理なシュートを放つことになりますが、シュートをカットされてPP返しの餌食に。そこから6点目。
また、バルサのDFはPPに移行させないように前プレを仕掛けることで時間を奪うのも込みでのライン設定。
最終スコアは8-1
キックイン時のチョン・ドンは一回だけ。自陣キックイン時は手前の選手のリターン待ちかゴレイロでのポゼッション。相手陣地でのキックインはファーへの浮き球からボレー。
レオ・サンタナがしっかり決めていればよりスコアは広がっていた試合。
定点観測の記事でも書いた点として、「間」への優先度が高いのは明らか。パラレラの素振り含めて選択肢として持ちつつ、「間」への移動をメインに。
思ったことが一つ。
例えば、クワトロ時とかのサイドにボール保持者がいて3人目の動きによって、新たな2人目のパスコースを作るシーンについて、最初の3人目の動きがパラレラだった時、結果論としては3人目の動きに属しても、瞬間的にはボール保持者と2人目の関係性で、DFが釣れるので中への3枚目が見えることから、2人~3人目の役割が入れ替わる現象の名前はあるのかどうか(伝われ)。