おおたまラジオ

しまいには世の中が真っ赤になった。

AFCフットサル選手権2018 フットサル日本代表vs韓国代表 町田セットへの依存

日本が韓国を5-2で破った。

苦しい試合であり、森岡の存在感が凄まじかった。

試合前から、具体的にはアルゼンチン戦から、森岡のDF時の粘りが気になっていた。

怪我の影響だろう。1列目のDFとして、後方のカバーありきになってしまう部分は見逃せない。それはマークの交換という綺麗なものでもなく、2列目のチャレンジによるもの。しかし、韓国のPP時の1列目としてのDFは凄かった。経験値とPPの守り方がある程度のポジションが固定的になるからだろうか。

DFだけではなく森岡のOF時の1v1もアルゼンチン戦、タジキスタン戦からも結構シビアだったので疑問視していたが、見事に韓国戦で爆発。参りました。凄かったです。韓国の監督が試合後にもお手上げの様子。

【アジア選手権】韓国代表監督も日本のエースに脱帽 「我々は森岡薫という一人の選手に負けた」 | FUTSAL X

 

AFCフットサル選手権2018 フットサル日本代表vsタジキスタン代表 セットの組み方と左足 - フトボル男

アルゼンチン戦×2、タジキスタン戦からの大きな変更として、ペスカドーラ町田セットが1stセットとなった韓国戦。

ピヴォの使い方とアラをみると、タジキスタン戦ではこのセットが一番機能していたから不思議ではない。

しかし、1stセット(ペスカドーラ町田+逸見)以外はどうなのか? 森岡ー逸見のペア間、その他のセットの潤滑油となる吉川の頭が抜けている感じは強いが、その他のバランスを考えるとなると難しくなっていく。

日本としては撤退したDFの崩し方とカウンターのケアがテーマ。それはタジキスタン戦もそう。ボールを預けることでショート・ロングカウンターを狙ってくる相手に対してどのようにマネジメントしていくかが問われている日本だが、この2試合は実際に上手くいっていない。

 

フィクソがどうなるのだろうか。カウンター時のDF~定位置守備において、皆本のタスクが増える予感があったのはタジキスタン戦だったが、フィクソの枚数が足りていないのは明らか。でも、この試合では皆本のプレー時間は少なかった。

また、サポート、3人目の動きなどの速さが光る西谷の身体が重い。コンディション的に、判断のスピード的にももっと速いイメージがあるが、重さはアルゼンチン戦から改善されていない。

1stセット以外のピヴォ当て後の強みは依然として課題。かといって1stセットも、森岡の質的優位に頼っている感覚が強くなったのが韓国戦。この偏りがどうなるのか気になる。カウンターケアのDF構造、斎藤の左足のパス設計は好きだがフィクソ起用は厳しいか。期待しているんだけど。

 

プレー時間の偏りが明らかになった韓国戦。

後半では3rdセットよりも1stセットを優先。そして結果も出たし、今後はどうなるのか。確かに3rdセットは機能していなかったし、狙われていたから当然なんだが(後述)、ダブルピヴォもオプションとしては微妙。そうなると3rdセットを解体して、1stセット+2ndセット+αのサポートになるのかどうか。でも、個人的にはブルーノ・ガルシアは3セットでの回し方のコンセプト自体は崩さないと予想しているが、1stセット以外をどうするのか気になるところ。

 

1stセット 森岡、逸見、滝田、西谷

2ndセット 斎藤、清水、室田、吉川

3rdセット 皆本、渡邊、星、仁部屋

 

前半 

日本は1stセットから

  • 19:36 日本のDFのバランス、西谷の寄せ。その直前の韓国の抜ける動きでのパスライン作りに対して逆算しているような西谷の寄せ方。

日本のプレッシングを嫌う韓国のプレス回避はロングボールが多かった。ゴレイロを一つ挟んでから前線に送り込むのもある。ロングボールは同サイドも対角線もある。前線の抜け方からストロングサイドに流れるのは前半最初。対角へのロングボールならば、日本の2列目のDFを引っ張って中央のスペースに抜ける狙い。

  • 18:36 逸見の時間とキャンセル。視線とボールサイドへの寄り方、滝田、3人目の動きの西谷が抜けることで逆サイドの森岡が受けられる形に。森岡のデスマルケ、ストロングサイドの構築、日本のバランスとしては深幅が足りていないから一枚飛ばしのパスでサイドを変える。森岡のロングパラレラと安定のキープ。逸見→西谷(サイドを変える)パスの直前の滝田のブロックでのパスコース確保があり、西谷のサポート、バックパスでの回避から韓国DFの釣り出しから、逸見の突破→3レーンの活用(森岡、逸見、滝田)
  • 17:51 セットの一部交換。清水、逸見、西谷、吉川。
  • 17:23 逸見の突破。逸見をどのように活かすのかがテーマとなっているのは、1stセットだけの話ではない。個の質に直結。気持ち良くスペースと受けられる形を作るまでのプロセスが問われている。苦しい時は時間を作ってくれる。アルゼンチン戦の異物感から空回りしていない感じにはなってきている。DFの重心のズラし方と抜くための置き方、キャンセル込み。吉川の横幅があるから韓国の逆DFは絞れない。1列目のDFとして日本のサイドチェンジはケアするところ。だから、ライン間に入った西谷に絞りきれない。DFの動かし方とスペースへの移動。

 

西谷→室田に交代。

  • 16:50 逸見からの清水へのピヴォ当て。清水のポジショニング、レイオフ、逸見へのカバー。相手DFのマークの交換はフィクソと逆アラの関係性。
  • 16:29 斎藤からのピヴォ当て。右サイドでの左足の価値がこのシーン。それに合わせた清水のポジショニング(斎藤は逸見との交代)。味方の利き足と特徴を把握しているからこその準備である。
  • 16:20 ピヴォ当てのシーンみたいに中央のスペース管理ではなく、ウィークサイドを取っていることが多い日本。この特徴はアルゼンチン戦から変化は無し。ウィークサイドのバランスを考えると、中央~ストロングサイド付近に集まると詰まるから。アラーフィクソの部分と前のめりな感覚が強い。ピヴォ当て後のアクションとして、DFにスライドさせてからウィークサイドを使う意図はある。そのためのウィークサイドでの2列目のポジショニングと1列目のセカンドポストのポジショニングによる2枚の関係性だから。しかし、それがカウンターケアの甘さに繋がる。
  • 15:45 日本のキックイン 斎藤からのチョン・ドンフェイクからファーへの清水へ。清水がいるセットの時はどれだけ清水をフリーで使えるかどうか。基本的にはファーでボレー。ニア~中央での変化とブロックが欠かせない。前半14:02 前半4:54 前半4:52 後半7:24などがそのケース。

対して韓国のセットプレーは豊富。裏に送る指示はベンチからよく出ている。日本のフィクソを釣ってアラ裏をどう使うか。シンプルな裏抜けであるが、ロングボール使用が増えていく傾向。

  • 14:35 日本の左サイドでのチョン・ドン→斎藤がいるからの選択。左サイドでの左足のシュートコースは右足には無い部分。

 

3rdセットに交代。星、渡邊、皆本、仁部屋。

  • 13:03 トランジション、バックパスで韓国のDFのバランスが崩れたシーン。前後の距離感、1-2列間の分離。ピヴォ当てからシュート。バックドアも。
  • 11:46 中央のカバーが速い。ボールの奪われ方の問題で、韓国の1列目のポジショニングがトランジションで2v1を作っている。日本の撤退の仕方が求めれるシーンであるが、アラ裏のカバーで日本のDFが釣られる可能性と逆DFとしてのバランスの難しさ。シュートをストップするイゴールの詰め方。ゴレイロに詳しい人は子のイゴールの上体の寝かせ方はどうなのか教えて欲しい。その後の自陣でのボールの取られ方も最悪。まさにイゴール様様。
  • 10:51 キックイン。森岡の中ドリ、仁部屋の韓国のDF1列目の動かすための抜け方、皆本とのスイッチプレー(森岡のピサーダ)+ミドルシュート
  • 10:08 セット交換。セットが一周した。皆本、森岡、西谷、逸見。9:20 皆本から滝田を投入。
  • 9:26 日本のキックイン 3-1 逸見―森岡のピヴォ当て。(受ける前とは違って)ペアでの熟練度というよりもお約束の逸見が抜ける動き、ストロングサイドの1列目のDFを消すことで、森岡のカットインの走路を作る。アイソレーション。反転シュート。このシーンと同じ構造がこの試合の勝利に繋がったわけだが。西谷の旋回の動きで14番のDFを動かしているのも大きい。それがあるからDFの門が空いた。
  • 8:32 滝田のポジショニングの難しさ。逸見の中ドリからサイドを埋めないといけない滝田のタスクであるが、サイドを変更して速いタイミングでのピヴォ当て、森岡の反転からウィークサイドの滝田のバックドアというシーン。滝田のポジショニングがもう少し高ければ門を通せたが、その前の逸見のサポートでサイドを埋めるマイナスの動きがありつつ、ウィークサイドのバランスがあるからポジショニングが難しい。
  • 7:25 2ndセットへ。
  • 6:48 日本の失点シーン。キックイン。被セットプレーが続いていた日本。ロングボールで日本をプレス回避する韓国の徹底ぶりからピヴォに入らなくても、日本のDFがクリアすればセットプレーへとなる。それに加えて韓国のセット毎でのプレッシングラインの変更がある。恐らく、日本のスカウティングの結果から、1stセット以外はプレッシングラインを高めに配置しているかもしれない。ハーフでのDFだけではなく、3/4のプレッシングでセットプレーを作る機会を増やしている。
  • 5:03 吉川のターン、清水のエントレリネアス。清水はライン間の意識が強いのが特徴。1-2列間の活用から、吉川のバックドアで1列目のDFの背中を取る→斎藤の動きで外を空けてマークのズレを生もうとする日本だが、最後まで滑る粘りの韓国のDF
  • 4:14 3rdセットへの交換。吉川は残っている。3rdセットはオープンゲームになりがち。1-2列間、中央スペースの管理、トランジションによるところ。
  • 3:51 吉川から渡邊へのピヴォ当て、レイオフのズレ。吉川のランニングよりもミドルシュート待機の皆本を使ったシーン。府中コンビを表すシーンであるが、渡邊のパスの受け方、韓国のDFの圧力を外に流すようなトラップをしているので、吉川のランニングに対して目線から外してしまう持ち方だったと思う。

 

仁部屋の足裏でボールを舐めてア・ラ・コルタの外し方から決定機2本が印象的。これが決まっていればもっと楽な展開になっていただろう。

 

後半

日本は1stセットから。ゴレイロイゴールから関口に交換した。関口としては韓国のロングボールへのカバーが求められる。

 

  • 19:30 日本のバランス。逸見のサイドとストロングサイドの作り方。逸見―森岡のペア作りのためのボールをサイドに寄せて、DFを引っ張ることで逸見の1v1からピヴォ当てを狙ったシーン。滝田からパスを受けた逸見がボールを足元に入り過ぎたために、その時間で間合いを詰めた韓国のDFが良い。逸見が奪われかけたので日本のウィークサイドは中央に絞るから、ボールを落ち着かせたくても横幅が足りていない距離感になる。それによるバランスの悪さから、韓国のDFの1列目のジャンプに捕まる。
  • 18:56 森岡のアイソレーション。滝田が1列目、ラインを下げるため背中を取る動きことでライン間への移動。DFは滝田のマークよりもボール保持者の森岡を優先したことで局所的に1v2の数的不利と苦しい森岡であるが、このシーンではウィークサイドの逸見のポジショニングが気になる。日本のピヴォ当て、特に森岡に入った時の逸見のストロングサイドでのサポートとは別で、ウィークサイドに回っている選手のポジショニングがアルゼンチン戦からどうなのかと思っている。このシーンでの逸見は森岡のバックパスへの顔出しが無い状態だから孤立してしまっている。
  • 17:45 2ndセットに交換。旋回によるプレス回避。フィクソとしての斎藤の中抜けから右サイドを埋めて左足の展開。個人的にはタジキスタン戦からこのような仕掛けを作って欲しかったが、この試合もプレー時間は多くなく。その前の中ドリでサイドへの運びによるDFの収縮、バックパスでのスペースの確保、ウィークサイドの斎藤のデスマルケがあるからこその左足。
  • 17:00 日本のFK ボールに近い1枚目が抜けて清水が蹴るのが特徴だったが、それを欺いてサイドの角を取っている斎藤へ。面白いセットプレーだが不発。
  • 16:44 中央レーンの吉川の運びによる韓国の1列目が下がる。日本の横幅 3-1 韓国のDFは菱形になるので、サイドの時間は確保される。吉川の抜け方の工夫(走路とリズム)からシンプルなパラレラが強力な武器になる。斎藤→吉川→清水へのファー詰めデザイン。吉川からのファーの清水へのボールもゴレイロの肩口を狙って高さのある清水へのクロスを出している。このシーンだけでも吉川の凄さが分かると思う。
  • 16:10 室田から吉川のパラレラ。吉川のDFの死角に入りながらのフェイクとパラレラであるが、直前のパラレラでやられた部分を修正してきた韓国のDF 上手くはいかないものである。
  • 16:02 日本の3v2 清水がもう一つ運んでほしかったシーン。中央レーンの仕事であるが、外にパスを出してファー詰めデザインなんだろうけど。
  • 15:38~15:35 ストロングサイドの作り方によって日本のバランスが崩れたシーン。4枚が集まることでスペースを消している。ボールを守るためのカーテンと保持。1列目のダブり、相手の門を活用ができない。
  • 14:57~14:48 ピヴォ当て後の問題。アルゼンチン戦からの課題の一つであるが、ペア、トリオが薄い。ペアとしての2枚目の抜ける動き、3枚目がアンダーラップ、オーバーラップ、ピヴォのサポートとして中央に絞るポジショニングの使い方、タイミングと展開の停滞感。
  • 14:31 3rdセットへの交換。

ラインを上げてきた韓国のプレッシングに苦労した。日本の1stDFの緩さはこのセットも目立つ。そして、韓国のセットプレーが続く展開だが、その要因として、韓国に押し込まれてセットプレーが続くことで日本のラインが下がり、日本がボールを持っても韓国の前プレに悩まされる。ラインが下がり、日本のボールの前進の基準点が無いので、韓国のDFに囲まれてカウンターを食らってセットプレーへのサイクルに入っていた。

 

  • 12:25 1stセットに交換。

韓国のラインが下げさせるための持ち方、特に逸見が生み出す時間が効果的であった。

 

  • 11:50 森岡のアイソレーション。韓国の1-2列間。ウィークサイドのDFのブロックをする滝田。タジキスタン戦では逆DFのインターセプト狙いが露骨だったので、そのための予防策としてのブロック。西谷のポジショニング。シュートまで繋げて欲しかったシーンであった。
  • 11:42 森岡のアイソレーション。 1v1の質的優位。相手DFの孤立させるための配置、DFの右への重心移動、相手DFの左足に掛からないために浮かす技術とシュート精度。完全に森岡のマッチアップの強さが出たシーンとなった。
  • 9:55 森岡、サイドでのアイソレーション。逸見の抜ける動きで2枚目のDFを消してからゾーン間へ。1-2列間が空く韓国。森岡から西谷へ。後半11:50と同じ構造のシーン。シュートは不発だったが、ボールへの迎えに行き方は良かった。やっぱり横幅は大事。だからこそ、ウィークサイドのバランスが難しいのだけど、それは森岡のキープ力があるからが大きい。
  • 9:11 森岡に替えて清水の投入。クワトロセットのコンセプトは変わらず。清水と森岡ではピヴォとして受ける位置が違う。清水はハーフスペース、森岡はサイド。清水がニアでポジショニングしているから逸見の突破が活きるシーンも。サイドの森岡へのピヴォ当てをすると、どうしても逸見は2枚目の動きとしてオーバーラップか中に抜ける必要性があり、サイドのスペースは森岡に使わせるシーンが多くなるから、逸見によるサイドの突破は減る。しかし、この試合では森岡のアイソレーションからの質的優位が明らかだったので文句なんて出る訳でもなく。

その後、2ndセットに交換。韓国もセットを交代して前プレをしてくる。プレス回避がテーマになるけども、時間は作れない日本。3rdセット同様にセットプレーのサイクルに捕まる。まるで3rdセットと同じ感覚であるが、自陣~ハーフ付近でも速いタイミングでピヴォに入ればキープしてくれる清水の違いは大きかった。

  • 5:52 1stセットに交換。3rdセットのタイミングであったが、飛ばす判断をしたブルーノ・ガルシア。韓国のPPに対しても1stセット主体だったので、プレー時間の偏りが進んだ。

残り時間5分を切った段階で韓国のセットプレーが続く。日本のラインが下がった時のリアクション、2ndセットや3rdセットには無い部分としての森岡の質。時間を作るキープ力で対応していた。

  • 4:36~3:59 1stセットのクワトロ~偽ピヴォ、関口の活用、西谷のサポートによるプレス回避からのボール保持
  • 3:59~ 森岡へのピヴォ当てまで。ウィークサイドの逸見の移動(これまでとは違う変化の付け方。例として後半18:56のシーン)、ブロック、滝田のスペースへの侵入(ウィークサイドへの移動を促す森岡の非言語コミュニケーション)からのゴール。森岡へのピヴォ当てからの工夫。アイソレーションによるフリの効かせ方(森岡、逸見、滝田)によって繋がったゴール。このような得点を見てしまうと試合の文脈を感じてしまう。