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フットサルマガジンピヴォ!Vol.63 感想

 

 古本でピヴォを集めるのにハマっている第2弾。読んで琴線に触れたものについて紹介と感想。気になったら買いましょう。

 

  • P12~ 伝説の幕開けを告げるゴール

オーシャンアリーナカップ決勝の大阪戦でのリカルジーニョのゴールについて、図解、連続写真、リカルジーニョ自身のゴール解説と豪華絢爛。このリカルジーニョ特集だけで読む価値がある内容となっている。

 以下は一部引用。

「90%入ることを確信したシュートだったよ」

ポイント1 「相手のフィクソが森岡のマークに付いていったから生まれたんだ。森岡が左サイドに降りた。そこにフィクソが付いていったため、中央にスペースが出来た。(略)基本的にはコンパクトに相手をマークして守るためにも、フィクソが残ってスペースを埋めるべきだった場面だと思う。(略)僕はボールを持っていたけど、そのまま長めのドリブルで突破するのは、カバーリングがいるから難しいと思ったんだ。」

ポイント2 「僕は走りながら、少しマーカーを押し込んで距離を作った。一度フェイクを入れて右サイドに流れたんだけど、パスコースはマーカーに切られていたんだ。それを感じて、僕はブルノに指示を出して、もう一度フェイクを入れて左サイドのスペースに入った。(略)僕のマーカーは、このフェイクで僕がどこにいくかが分かっていなかったはずだよ。」

ポイント3 「ボールを受ける瞬間、左へターンすればそのまま利き足の左足でシュートを打てることを考えたんだ。マーカーのボディバランスがあまりよくなかったから、わざと一度マーカーのサイドにボールを運ぶフェイントを入れて、それから利き足に持ち替えてボールを運んだ。」

ポイント4 「ゴレイロとの駆け引きの勝負が問題だったんだ。試合前のウォーミングアップのときに、大阪のゴレイロは1v1の時に膝をついて、上体を寝かせて前に出てくるということを見ていたんだ。それを知っていたから、一度小さいシュートフェイントを入れてから(略)、ゴールの上を狙った時点で90%は入る確率があるだろうという気持ちで打ったんだ」

 丁寧な連続写真とリカルジーニョのプレー分析付き。凄すぎる。感動するくらいの判断とボディバランスが見て取れる。

味方、DF、スペースの認知。マーカーを振りきるための手押しから死角を取るためのフェイク。非言語コミュニケーション。表への抜け方。ボールを受けた後の対面のDFの姿勢チェックからのフェイント。試合前のトレーニングから分析した相手ゴレイロの癖とシュートの選択。

 

  • P14~ 華麗なるシャペウ

ファウルを誘うシャペウとして、オーシャンアリーナカップ決勝の大阪戦より。

残り時間4秒、大阪のファウル数5からアイソレーションを選択したリカルジーニョ

「それまでの1v1の場面で、マーカーは右利きでボールに対して右足を出してきていた。その時も右足を出してくると思っていて、その出して来た瞬間を狙ってかわすつもりだったんだけど、左足を前に出して来たからボールに触られてしまった。(略)うまくいけばファウルを貰おうという狙いもあった。」

 1v1を仕掛けるときは、まずは相手のポジショニングが重要だとリカルジーニョは言う。どうやってボールに対応してきているのか。シャペウは常に一つの選択肢としてあって、常にゴールを狙うために有効なフェイントを5~6個を持っているとのこと。

 

「(略)もう一つのポイントしては、カバーリングがいるかいないかということ。この場面(Fリーグ2010第1節北海道戦)では横からのカバーリングが来ていたんだけど、DFの後ろには来ていなかった。状況を見て、相手のピヴォが絞って横からのカバーリングが来ていたから中央に行けないと思っていたけど、縦のスペースは空いていた。それを見て、1v1を仕掛けるか仕掛けないか判断したんだ」

 カバーリングの位置の把握は大事。

リカルジーニョが言及しているこのシーンでは、カットインの走路がピヴォによって消されている。1stラインがアラ位置くらいの高さになっているから、対応としてはマークの受け渡し、スライド、プレスバックによる挟み込みなどがあるが、このシーンでは中を切るのみ。枚数的には局所的に見れば数的優位にも関わらず。マーカーとしても中を切る方が優先事項が高いから、縦は空く。

他のシーン解説でも、カバーリングの位置には度々コメントしている。カバーリングを察知してから、細かいボールタッチでズラしてドリブルのコースを変えるというのも。

 

  • P18~ ディフェンスから消えるフェイク

「僕はフェイクを入れる時に、まずは相手の目を見るんだ。マーカーが味方が持っているボールを見ているのか、僕を見ているのかを確認する。大概、マーカーはボールを見る瞬間がある。僕はその瞬間に一気にスピードを上げてダッシュするんだ。これがフェイクの基本的な考えだよ。スペースを作って、一瞬ボールの行方を見たマーカーが振り向く瞬間にはもうダッシュのピークに持って行くんだ。マーカーの裏を取ることができるし、それに対してマーカーは必死に付いてくる。もしその瞬間にマーカーの裏を取ることができていないと思ったら、今度が逆にストップしてターンするんだ。その一歩目で一番早いスピードのピークに持って行くんだ。そこでマーカーが付いて来なければ、そのままフリーになれるし、相手がターンをしたら、僕はストップして、相手との緩急を付けることができる。そこでターンをすれば簡単に裏を取ることができるんだ」

 ボールを受ける前の準備の話。相手のベクトルを逆手に取る動きまでの判断。ベクトルをどう外すか。騙しのテク。

内田篤人が「滅茶苦茶上手いやつは最後の最後に騙してくる」と言っていたが、リカルジーニョのボールを貰う動きからDFをおこわにかける。マーカーの頭が胡麻塩ですから。

スペインリーグでも時間軸が違うと思わせるプレーが多いリカルジーニョ。ボールプレーだけではなくて、準備があるからこそ。

 

  • P22~ 在原正明氏によるアイソレーション分析。図解と核となる要素のコンセプト紹介。

コンセプト:奥行きのある攻撃/ボールライン ストロングポイントとウィークサイド

個人戦術:レシーブの技術―戦術 オフザボール

チーム戦術:3-1 アイソレーション

戦力分析:自分たちと相手のスカウティング

個人戦術:サイドでの1v1を制する為に、主導権を握った局面を作り出すことが重要。そのためには、仕掛けの前段階としてレシーブの技術・戦術の精度が求められる。マークを外し、ボールへ寄り、動きながらコントロールする。また、ボールを保持した際にも、選択肢が多くなる持ち方ができれば。DFに狙いを絞らせず突破の可能性を高めることができる。

 フィンタ、ア・ラ・コルタなどのボールを貰う前でのアクション。

勿論、スペースの認知も大事。使いたいスペースに最初から入り過ぎて静止していると、スペースが消されてしまったり、DFのマークを外していないのでボールを受けることが難しくなってしまうから。

アイソレーションを成立させるための3要素(一部抜粋)

ボールラインとボールサイド

深さ/ボールライン:アイソレーションを作るためには、ボールよりも深い位置に選択肢を作ることが重要だ。深さを出す方法は、ピヴォを配置するか、スペースに味方を走り込ませるか。

ストロングサイド/ウィークサイド:ピッチを垂直方向に半分に割る。相手を如何にしてウィークサイドへ引きつけるかが、陣形を保つ守備を崩すための鍵となっている。

 

オフザボールの駆け引き

ウィークサイドでのフェイクとポジションチェンジ

ピヴォの重要性:ピヴォは得点に直接関与するだけではなく、相手フィクソを守備の局面へ直接的に関与させないためにも重要。

 

スカウティングの重要性

ストロングサイドへのサポート、カバーリングは誰が行うのか?

サポートやカバーリングは注意力の配分やポジショニングの調整が必要となる守備戦術。味方が突破された際の対応という意味ではリスクは減る一方で、自分のマークとの間合いが広がりやすく、速い展開からウィークサイドを突かれた場合、DFが後手を踏む可能性が増す可能性もある。

 アイソレーションを使用しているのは、バルサのディエゴ、エルポソのミゲリンなど。強力なアラを際立たせるための戦術。

先日の日本代表vアルゼンチン代表では第2戦目で、森岡へのピヴォ当てからアイソレーションの状況を作るシーンが一つだけあった。

日本代表は1戦目よりも、ピヴォーアラでのペアの意識が強くなっていたので、AFCでは第2セットの逸見のパターンもありそう。サイドに流れた森岡へのピヴォ当てから、2枚目の抜ける動き、バックパスで3枚目の関与(この辺は西谷や吉川が担っていた)としてアラの状況を作るために整理するのかしないのか。願望込みの話。

 

  • P70~ 「いい準備をし、練習の習慣、リズムを身につけるのがプレシーズンの目的」

インテル・モビスターとディナモ・モスクワの2チームを2010年夏に指導したスペイン人フィジカルコーチのチチョへのインタビュー記事。

 訊き手 あなたのフィジカルトレーニングは判断力、判断のスピードを求めるものも多いです。

チチョ「スピードは足の速さだけではありません。判断の速さもです。ゲームにスピードを与えるのはボールの速さです。チームに足の速さがなくても、パスにスピードがあれば、決定的なプレーをすることができます。(略)『日本人選手は判断力、判断のスピードに問題がある』と以前、君は言っていたけれどそれは練習で養われるものです。」

訊き手 フットサルにとってどんな身体条件が重要になってきますか?

チチョ「一つのことだけが重要ではないと思います。いろんなものがあって、一つになります。フットサルはチームスポーツですし、各選手の特徴を一つのチームとして纏めなければいけません。スピードが速いだけでもいけませんし、持久力もなければなりません。基本的に重要なのは瞬発力、全力で何回も走れるようにさせることです。また、反発力も必要です。」

 スピードはフィジカルだけではない。足の速さだけでどうにかなるなら、ボルトはサッカー選手としても成功するだろう。

思考のスピードと緩急によって、フリーになる技術を持っているのはサッカーのバルサでいえばシャビとか。バルサラッサだとアイカルドとか。スライドの大きさなどのサイズ感もありながら、アラ(ディエゴやホセリートなど)を助ける動き、相手の1stラインの位置から外す動きからボールをサイドに動かすことをしながら、バランスを取っている。