おおたまラジオ

しまいには世の中が真っ赤になった。

グロ描写アレルギーの私がオススメできる凄い本

グロ耐性が無い。

医療ドラマのオペシーンですら無理。出血シーンも相当厳しい。

宇多丸師匠のATB映画の『アポカリプト』を観た時のショッキングさは忘れない。グロ抜きでも映画自体の内容も衝撃的だったけど。

「暴力の上書き保存」が描かれたことから考える根源的な暴力について思考が巡る。

例えば、父権主義的なテレビの構造、パワハラ問題、その空気の醸成を担うネットワークの在り方なども。

 『日本の文脈』において中沢新一は「人間の根源には、近親相姦とカンニバルがある」と発言していた。だから、ハンニバル・レクターは気味が悪いのだけど。

チャイルド・オブ・ゴッド

チャイルド・オブ・ゴッド

 

コーマック・マッカーシー『チャイルド・オブ・ゴッド』は昨年に読んだ本であるが、近年で最も気持ち悪い読書体験をしたから鮮烈的に残滓となっている。

精神的に気持ち悪く、凄くて、気味が悪いのが『チャイルド・オブ・ゴッド』だった。

直接的に肌が粟立つよりも、心が掻き回されて嵐の中で立っていると錯覚してしまうくらい地に足が着いていない読後感。

精神的な不快さといえば『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』のラストのアスカの「気持ち悪い」が浮かぶが、実感したのはビジュアル的なグロテスクよりも精神性の両義的なグロテスクな自在感の方がエグいということ。

ビジュアル的な画の凄さというと、白井智之のミステリや歌野晶午の『密室殺人ゲーム2.0』とかは印象的であるが。

例えるなら、大澤真幸『虚構の時代の果て オウムと世界最終戦争』で言及されている「アイロニカルな没入」やオウムへの受け手の両義的な心情に近いのが『チャイルド・オブ・ゴッド』であった。

本来、遠い他者性(『チャイルド・オブ・ゴッド』のレスター・バラードオウム信者)が、近い隣人的な存在として許容される自分の内面性の気持ち悪さ。

罪深き凄い本である。

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