おおたまラジオ

しまいには世の中が真っ赤になった。

ニコ生、Fリーグはじめたってよ

今年からフットサル観戦を始めた私ですが、絶賛フットサル漬けとなっています。残念ながら、会場に足を運んだのは6月に都リーグ2部に観戦に行ったのが最後となってしまっています。その時は、パパさんたちが休日に妻子の応援を受けながら試合を行って、終了後には「今日、どうだった?」「あまりシュートを打てなかったよね」みたいなほのぼのとした夫婦同士の反省会の光景を観た際には、人間としての分厚さを見せ付けられたような気もしますけど(笑)カテゴリーは問わずに近々また観戦に行く予定です。

 

 

2017年9月8日にニコ生がFリーグの放送を開始しました。共同開催試合でカードは、デウソン神戸湘南ベルマーレシュライカー大阪エスポラーダ北海道。どちらも試合展開は、スコア通りの差が表れた結果となりましたので、手に汗握るような接戦では無かったのは事実です。

本来なら、マッチレポを書いたりしたいなと思うのですが、どんな方向性や書き方が定まっていないので今回もパスです(笑)

なので、本記事はニコ生の初の試みとなったFリーグ放送の特徴を纏めようと思います。

気になった点としては、Fリーグ潜在的視聴者数の可視化が出来たこと。私が入場した時は、アリーナ最前列でおよそ20000人が視聴していたようです。これはAbemaTVと同様に会場までには足が伸びないけど、「放送していれば気になるよね」や「フットサル観戦って興味ある」層がある程度居るということです。

試合中に弾幕コメントが流れるのはニコ生ならではの特徴でしょう。フットサル観戦初心者(初めて観たという人もいたようです)からフットサルファンまで、幅広い層が視聴していたのがコメントの内容から分かりました。

「フットサルってスピード感あるね」

「バスケの足バージョンみたいな感じだよ」

「(PPって何?パワープレーって意味なんだ!)じゃあ、PPってのを見たかったなー」

「セットの組み方に問題があるでしょ」

「でも、クワトロセットは崩せないでしょ」

この辺のコメントはあくまでも一部ですが、AbemaTVと同じようにフットサル観戦者同士で意見交換が目立ちました。特に、フットサルファンが観戦初心者に対してコメント上で選手紹介やルールの説明を行っているのが印象的で、「みんなで楽しく盛り上がろう」という連帯感が生まれているように思いました。

話は逸れますが、以前Twitterで話題になった「芸能人がサッカー好きとしてアメトーークのように『サッカー好き芸人』とパッケージ化されないのは、サッカーファンがミスに寛容では無くて排他的だから」という意見がありました。芸能人の誤った知識や言葉のチョイス、元より(嫌いな言葉ですが)ニワカに優しくないためからか、サッカーファンが攻撃的に反応してしまうからと。

決してサッカーファンとフットサルファンを二分するわけではありませんが、少なくとも今回のFリーグ放送に関しては「一緒に観ているのだから視聴者同士がサポートしあうことで、より楽しもう」というような雰囲気をコメントで作っていたのが印象的でした。排他的ではなくて、手を差し伸べるかのように。中には嘘を言って混乱させるようなコメントもありましたけどね(笑)すぐにきちんとした回答が流れていたのでセーフでしょう…優しい世界でした。

試合中の弾幕コメントは、正直邪魔なシーンもありましたが(設定で消せます)、このような遣り取りが、良い意味で軽いノリで行われるのはニコ生の強みではないでしょうか。

しかし、視聴者数に比べるとコメント数が少ないのも目立ちました。勿論、初めて観戦した人が実況を入れる間が掴めなかった可能性もあるでしょう。ただ、これはフットサルがトランジションが多く、展開が目まぐるしいこともあり、専門性の高い実況を挿む合間が無いというスポーツ性が反映されたようにも思えます。プレーを追い掛けるのに集中すると、手が動かないみたいな。もう次のプレーに切り替わっているみたいな。

一つ一つのプレーが、スピード性の高いフットサルの試合の中にはすぐに消費されてしまいますが、そのプレーの細部には物凄い量のデータが含まれているという点は見逃せません。そういった細かさが好きな人もいるでしょう。だから、元フットサル日本女子代表監督の在原正明氏がTwitter上で行っている動画解説(勉強になります)のように、色々なところで頻繁に行われたらフットサルに魅了される人が増えていくと思います。そのためには指導者さんたちが内輪だけではなく、多くの人への情報の開示が必要になったりしますが(そもそもフットサルの普及は偉い人の仕事でもあったりするので)、「なんで俺たちが抱えているチームのみならず、そこまでやらないといけないの」となるのは当たり前なので難しいですよね。動画サイトを漁ればその手の動画は落ちていますが、そこまでに手が伸びる層がどれだけ居るのか?という意味では、気軽にチェックができるし流れてくるTwitterは動画解説(の普及)には向いていそうですね。でも、権利問題はどうなんでしょうね(笑)

 

問題点もありました。デウソン神戸湘南ベルマーレの時が顕著でしたが、カメラワークが辛かったです。ボールホルダーに寄りすぎて、他のFPの動きを確認出来難かったです。ボールプレー以外にも楽しみがあるのに勿体無かったですね。その後にはカメラワークが徐々に修正されていきましたが。

また、タイマーとファウル数の表示無しは、今後もFリーグを放送する予定とのことなので急務の対策が必要だと思います。

実況・解説無しで、場内の音声のみ配信というのは新鮮でした。サポーターの応援や選手同士の掛け声は、会場に足を運んだ人のみが得られるサービスだと思っていたので。ただ、初めてフットサルを観戦した人も当然いたので、実況は選手の紹介や区別化への助けになる面がありますから、その点では観戦初心者には不親切だったかもしれません。でも、コメント上の遣り取りで補完されていたケースも多少あったので、一概に実況が無かった点について「優しくなかった」とは言えないかもしれませんが。

AbemaTVのクオリティ(特に解説、画質)を考慮すると、ニコ生は改善点が多くありますが、AbemaTVやJスポで放送しないカードをやってくれたのは素敵なことで。

今後もニコ生で放送するとのことで、Fリーグを観る機会がさらに増えるようです。たまたま、今年からハマった私としては幸運なことに環境整備が進んでいますが、課題はあります。

前述のことから、番組終了後に取ったニコ生アンケは「とてもよかった」が52%という結果でした。この数字にはサービス環境のみならず、試合展開も一方的だったこともあると思います。もっと僅差の接戦だったならば、より数字はポジティブなものだったかなと。ただ、これからニコ生のサービス面が向上していくと思われるので、そこに対する不満があった人たちもプラスに変換されていくから数字は上がっていくでしょう。あとは試合面です。些細なアンケ結果かもしれませんが、視聴者の満足度が可視化されるという意味では面白いので、試合でコンテンツ力を誇示して欲しいと思います。

ビエルサ後 マティアス・アルメイダ編-CDグアダラハラ分析

勝手に連動企画!第二弾。フットボリスタ2017年6月号のビエルサの弟子特集記事からインスピレーションを受けて、アルゼンチン新世代監督をチェックしてみようという企画記事。ビエルサ以降の新世代監督紹介記事の具体的な内容が気になる方は是非とも購入を検討して下さい。

前回のマルセロ・ガジャルド編に続いて(ロマン・イウチ氏曰く「ガジャルドはプレッシングと縦の展開はビエルサの影響を受けている」)、今回はマティアス・アルメイダのチームを今季の数試合から分析してみました。

メキシコリーグを真面目に観るのは初めて。RBライプツィヒのストラテジーアドバイザーのヘルムート・グロースが、「(戦術的に)アルゼンチン、チリ、メキシコでは驚くべき発想にたびたび遭遇する」と述べていたので、期待は大きかったわけですが。

 

グアダラハラの攻守の特徴】

攻撃時4231

守備時 前プレ4231→撤退442

 

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前プレはマンツーマンDFでCBの縦スラは当たり前。ビエルサの影響大。メキシコのクラブチームを真面目に観たのは初でしたが、ラテンの香りがとても強い。普段、観ているリーガに似ている。

ビルドアップはGK込み。菱形化~ボールサイドの(非対称的)SBでバランスを取りながら、ワイドにボールを動かしていくコンセプト。底変化のCHは固定ではないのが特徴。相手の前プレに対しては、ペップの「ビルドアップは7対5に収斂する」の典型的モデルに落ち着く。CHは前プレ1列目突破~縦関係でボールサイドに1枚と中央に1枚配置よりも、どちらもボールサイド寄りで降りてきたトップ下と列調整もある。

常に逆SHは外張り。DF時には相手SBにSHが死ぬくらいデートだから、DF時そのままのMFラインのSHの場所がエアポケット化するからクロス~HS狙いは大変。あとは、どちらもCHがボールサイドに寄りすぎるので中央もCBの縦スラ頼み。その辺のアグレッシブさは南米的ケースをそのまま。

一方で、CBの横スラは曖昧。単純なロングボールはハッキリしているけど、縦スラよりも微妙で、あまりエリアから動かしたくない派閥。ポゼッション~ネガトラ~組織回復で、ポゼッション時のワイドのCBを絞らないといけないから。特に中央ゾーンにおいては、CHのボールサイド寄りポジショニングから、リスクはCB依存という一面もある。

 

ポジトラ~ポジショナルな組織回復~定位置攻撃準備は鍛えられているけど、ポジトラからの(単騎)スプリント込みの仕組みはアバウト。カウンター機会は前線へのアイデア任せ的要素が強い。SHが単独でどれだけドリブルで運べるか勝負。前の選手も抜けるよりもDFライン前でレシーブ派だから、追い越しの面が弱い。基本はボールを愛するポゼッション型のチームデザインで、クリアよりも低い位置からでも繋げるなら繋ぐ。

 

ビルドアップ時

ビルドアップの出口はサイド。トップ下は底変化ローテCHとの兼ね合いで、相手MFライン間~手前のスペースを意識したポジショニングはCHとの列調整(トップ下込みでのローテあり)~サイド

具体的には、GK+ワイド2CB +CH(CHは2枚間でローテ)+SB(ボールサイドは低めで逆サイドは高く)→サイドの数的優位(SH、トップ下、CH、SB)から、ビルドアップを破壊しようとする相手プレッシングを回避しながら、逆サイドの展開も込みで。

ライン間でトップ下がエントレリネアスで蹂躙するパターンではなく、そこへの縦パスはあまり見られず。それよりも、2列目前のスペース込みでのHS~サイドに掛けて人を集めて展開。ただ、逆サイドにはSBとSHが配置されているから、CBへのバックパスから含めて一発でということもあるのでワイドの展開がある。

 

【前プレマンツーマン→ゾーン内のマンツーマン】

前プレ以降のフェーズ(前プレはGKまで掛け続ける。CBと均衡状態を作り、GKは空けるようなプレスではなくて、早く蹴らせて回収したい狙い)で全部がマンツーマンDFというわけでもなく、ゾーン内でのマンマークで対処。マンツーマンDFでありながら、担当ゾーンを敷いているので一枚残しのカバーリング要素を捨てていない。でも、あくまでもエッセンスはマンツーマン的だから個々の責任の所在はハッキリと。

バルセロナ大学の実験結果によれば、(ペップ・バルサ以降に浸透した)5秒ルールに基づいて5秒以内にボールを奪い返したら、8~10秒費やしたケースよりも試合終了時のスタミナ消費を抑えることが出来るとのこと。さらに、ハイプレス+ショートカウンターのゲーゲンプレス的要素よりも、ボールを動かすポゼッション的であるから、ボールを回しつつ回復を図ることができる。後方だけでの体力回復のポゼッションにアンチェロッティは否定的だった記憶があるけども、このチームは両ワイド的であるから、相手横スライドの距離は長いのでそのまま当て嵌まるかは微妙。

 

【サイド攻撃の問題点とトランジションの問題点】

SBが高い位置に入る前はインサイド的ポジションを取るから、SHは外張り。レーンが被らないように+DFの視野を考慮。

それで、押し込んだ際にはSBが高い位置に入れば、SHがHSで相手SBを釣るから、SBCB間への裏抜けをCFがみたいな形は当然仕込まれているけど、そこで裏を取った後のサイドはまだしもエリアの枚数の掛け方が見えてこない。サイドチェンジからの場合なら話は別だけど。SHのHSでDFを釣ってから、フリック込みでのSBが追い越して相手SB裏を使う方がエリアの枚数と時間を確保できるから安定的。バイタルのトップ下、サイド流れ~HSのCF、ファーの逆SHと3枚を送れるから。

そして、被カウンター時のSB裏=CBの横スラ→ファーサイドが空くのは至上命題。特にCBの横スラは曖昧。それは前のDFのマンツーマンでハメ込んだ上でのデュエルに期待して時間を作り、組織回復の442撤退に持ち込みたいから。でも、撤退してもゾーン内でのマンマーク。綺麗な3ライン形成よりも、マンマークDF~組織回復(DFラインとMFラインの構築)のフェーズでの自軍よりも速い攻撃を受けた時の対応は大変。だからトランジション問題。ちなみに撤退時、逆SBはマンツーマンよりも絞り気味で遠い所は捨てるゾーンDFだけど、一列前のSHがSBに付ききるのも特徴。

ワイドな定位置攻撃~マンツーマンDF~組織回復の問題点が、今季のビエルサのリールそのままと同じように映るのですが、これは根深い問題です。

参考記事→おかえり、ビエルサ!リールの戦術分析

 

ポゼッションを高めることでダイナミズムを失っていることから、攻撃が詰まる要素との隣り合わせ的感覚が同居している節は色濃い。5レーン的でありながらも、攻撃のスイッチを入れた時のスピード感といった迫力不足と「どこからでも崩せる」感覚よりも、限定的な崩し(サイドチェンジ込みでのサイド限定)のニュアンス寄りなのがボールを支配していても閉塞的に映る。そういう意味で、CBのドライブ含む攻撃参加でHSレーンからの配球は、サイドへの枚数の掛け方的には良いのだけど、スピードアップの要素から離れてしまう側面として出現してしまうのがこのチームの特徴。流動的ではないポジショナルなレーン整理であるから、技術的な問題もあって渋滞してしまうような。狭い局面での技術的なコンビネーションよりも、最終的にはある程度の広さがある方が加速するから。それは選手の特性や技術によるもの。だから、同サイドからの崩しよりもサイドチェンジを使う。

 

【感想】

マルセロ・ガジャルドリーベル・プレートよりかは見慣れたチームスタイルだった。あれはとにかく縦に!深く!のチーム。こちらは横に!広く!のチーム。

フットボリスタによれば、マティアス・アルメイダマルセロ・ガジャルドビエルサを源流とするらしいけど、プレッシング以外は大きく異なる。その境界線となっているのは、ボールを愛するかどうかの違い。あとはスペースのコントロールもあるけど。だから、グアダラハラはリーガ好きの私からすれば見慣れた光景が広がっているというか。親しんだスタイルであったから、特別な違和感はさほど無かった。

それだけにリーガと比較すると、敢えて引き合いに出すならばパコ・へメスかもしれない。ベリッソも考えたけど、何だかシックリこない。ボールを愛するコンセプトは共通しているのに、それを言語化出来ないのが歯痒い。でも、一番近いかもしれないけど。システムが共通しているならば、より見えてきそうな気も。

一方で、サンパオリに近いようでそこまで近くないような気もする。マティアス・アルメイダグアダラハラのCBの配球力をそもそも信用していないスタイルなのかどうか。当初はサンパオリ同様の変遷というかリアリストに変貌する瞬間があったのかもしれないけど、それは観測できず。あのエリアでのボールの失い方は致命的だから分かる気もする。サンパオリのセビージャはナスリを信用していたように。でも、それと同じように2列目の突破~ネガトラの命題は付き纏うわけで。この攻撃時のズレがどのようなリスクを兼ねた効果を生じさせるのか。とある方が、「サンパオリはペップとビエルサの間くらいのイメージ」と言っていた。マティアス・アルメイダも、数試合観た限りではその辺りのイメージに入りそうなんだけど、浪漫が現実によって砕け散るかどうか。現実と向き合った結果が昇華になるかどうか。その時の対応はもっと深く追い続けないと見えないものです。

ビエルサ後 マルセロ・ガジャルド編―リーベル・プレート分析

近年はリーガ・エスパニョーラという箱全体だけ集中的に追ってきたので、偏っていた中で情報のアップデートの要素が欠けていた。人間なのだから偏るのは当然なんですが。ペップのマンチェスター・シティはチラ見していたけど、それを痛感したのが昨季のサッリ・ナポリ。感動した。素晴らしかった。

以前は、カテゴライズするならリーガのみ「狭く深く」派だったけど、ナポリホッフェンハイムとかを観ると「なるべく広く」触れた方が良いと思わされた。勿論、その2チームは質的に別格なんだけど、そういったトレンドやらイノベーションみたいなのは起きていて、全体のリンク性を感じ取るためには「なるべく広く」と。でも、人間一人でどうこう出来る情報量ではないので、ある程度の割りきりは大事になるわけで。

千葉雅也は『勉強の哲学 来たるべきバカのために』において、「勉強は自己破壊である」と述べている。それが個人的にはサッリのナポリだった。コンセプトよりもクオリティにビックリし、破壊された。観たことのないチームを真面目に観てみようと思わされた要因である。

 

それで今回取り上げるのはマルセロ・ガジャルドリーベルプレート。ロマン・イウチ氏曰くビエルサの影響を受けているとのこと。昨季の試合含めてリーベルプレートの試合を観たので戦術的要素を纏める。だけど、これがコンスタントなものなのかは分からないので、詳しくはアルゼンチンサッカーファンに訊いて下さい。その辺りが「なるべく広い派」の弱い点なんだけど。

月刊フットボリスタ6月号45刊は「16-17を支配した5つの戦術トレンド」特集だった。その中で興味深かったのは、ビエルサの弟子たちの記事。そこでアルゼンチンの新世代監督5人について軽く書かれている。マティアス・アルメイダガブリエル・エインセマルセロ・ガジャルド、ネルソン・ビバス、ギジェルモ・バロスケロット

ビエルサの魂を継ぐ者たち」なんてフットボリスタのコピーを見たら試合を観たくなるのが性よ。ビエルサ最高だからね。

 

  

リーベルプレート

442(4312 or 4222)

ポジトラ時4411 最前線のCFは偽ピヴォ的要領のサイド流れで中央を空けて2列目以降の飛び出し用スペース 

最終ラインでのボール保持時、CBはワイドに位置取り、CH落としあるけど、GKは蹴っ飛ばす。

 

【4312の攻守の特徴と課題】

ボールサイドのプレッシングの掛け方→最終ライン込みでの縦スラ+1列目の守備に横スラで走って死んでよりもチェックする相手は固定気味なので、1stDFが決まっていない状況では2列目から兎のように飛び出す。IHが外の選手にプレスを掛けて、前のシャドーはバックパス狙いで残り気味。だから撤退時は綺麗な3ライン(442)よりもプレッシング時のカオスからポジトラを計算して、サイドをやや残しで442~433のような形。相手のサイドからの前進に対して、IHが飛び出したCH脇をSBが前に出てケアも。SBが空けたスペースはCBの横スラ処理。CB-CB間が空いたらCHが埋めるところまでセット。CHがバイタル捨ててミドルゾーンの攻防にダブルチーム化で潰すことも。すると、CH~最終ラインまでには相手がポジショニングされている状況で、最終ラインの各選手にはマンツーマンDFの要領の対応。南米の香りそのまま。

ロングボールなどの縦の展開はCFのサイド流れが基準で、そこに蹴っ飛ばして零れてもボールサイドの選手(IH)は下がり気味の位置取りを取っているからリバウンドや1stDFを狙える状況込み。逆のFWは絞ってダイアゴナル狙い。IHは前線が孤立しないようにバランスを取るためにポジショニングを上げる。CH周辺が空くので、IH裏は最終ラインからの補填的カバーで処理。そのために最終ラインが絞るので対角は空くし、相手2列目からの飛び出しには付き切れないので結構怪しい守備。

CBが飛び出して処理したのに前線に収まらず、跳ね返されてピンボール化した際にはもう一枚のCBがスペースを埋める必要があるが、そのCBも相手FWに付いているので、スペースよりも人優先状態。SBも迎撃として中盤プレスに加わっている時は広大なスペースがある。早くボールを前に送れば早く戻って来る論の従兄弟みたいな感じで、相手ボールとして戻って来るのもしばしば。

 

CBからロングボール→シャドーのHSレーン配置からサイドの選手(IH)とCFを裏抜け。その時は中央に絞り気味なので逆サイドは外張りではない。しかし、ビルドアップ時は外張り。SBが高い位置を取ればHSに移動。IHのエントレリネアス+SBの大外抜けはセット。オーバーラップで外を走るのはSBの仕事。横幅からサイド奥の役割はSBがメイン。

GK+2CB+CHの菱形化もあるけど、GKは基本的には蹴っ飛ばす傾向が強いので2CB保持時はワイドよりもペナ幅内位置取り。ロングボールが跳ね返された時のカウンターケアで。

機を見てはCBが持ち上がるパターンもある。その際にはCHが落ちて枚数確保。CHが落ちたら底のポジションが居なくなるので、IHが補完するのもセット。2IHは2トップ脇(ビルドアップ時)or2列目裏(ロングボールに対して)のバランスを取りつつ分業的。それはボールサイドか否かの違い。

定位置攻撃時に横幅として両SBを上げたら、2IHは相手2トップ脇。CHとFW一枚がやや落ちて(FWが縦関係)になって、ダブルトップ下をライン間に潜り込ませる。

 

 

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【4222の攻守の特徴と課題】

セット時はそのまま4222

中央閉鎖による密度によって、ボールゾーンでの数的優位でネガトラはプレッシング回収。相手ビルドアップ時の横幅SBには、4222セットでFWのプレスバックか2シャドーの横スラ。2シャドー間が空いたら、CHかFWが埋める。FWは動かしたくないからCHが優先的。その際のDFラインの連動も見逃せない。

 

 

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ポゼ時 2CB+CH

底のポジションにもう一枚のCH 両SBは横幅

両シャドーはボールサイドのHSともう一枚はトップ下

ボール保持時は、中盤省略化のサイド流れ~HSのFWへロングボール。中央の密度が高いので回収できそうな雰囲気はある。相手CHに対して2シャドーのダブルチームとかも。

ポゼ~相手撤退時

・サイドからの前進からSB+FW+1シャドーの旋回でSBCB間を狙いつつ、DFライン~バイタルのFW+1シャドーまでどのように演出しようか。

・ライン間のシャドーかFWへ縦パスを当ててから外のSBを空けてクロス。その時のエリア内枚数は2枚が目立つ。

・上の延長でポストができるFWでDFラインを食い付かせてから、シャドーかもう一枚のFWが裏にダイアゴナルランで一発狙いロングボール。

 

相手攻撃時

サイド奥を抉られた際にはCBを動かすことで処理。相手にバックパスからカットインでペナ角を入られた時に、サイドのケアとしての2シャドー(ボールサイドの)プレスバックも含めて緩い。サイドの速い展開に対して、人を中央に重点的に配置していることから相手のSB参加に付き切れない。サイドに出ることも多いので、CB-CB間のケアとバイタル埋めでCHを使い切るので、クロッサーに対して無防備なことも。中で跳ね返せば良いでしょ守備なんだけど怪しい。だから、速い展開(SB裏狙いの被カウンター時)にはCBとCHでの追い込みで潰しきれないといけない。また、相手を押し込んだ場合には2CHがリバウンドポジションを狙うので、CH間が空く。中央ゾーンを一枚で埋めきれないので、1枚のCBが出張。その場合の被カウンター時のDFラインは2枚しかないので、オーバーラップ込みでのファーの動きにはガラガラ。この辺のDFラインの特徴は前述の【4312】と同じ。

 

【感想】

マルセロ・ガジャルドリーベルプレートを観て思ったのは、一般的な南米のDFのイメージそのままをフル活用していること。特に前で潰すという点で。

ビエルサから影響を受けたものは「プレッシングと縦の展開」と触れ込み通りの内容。

サイドのプレッシングの掛け方(人への付き方)と最終ラインの縦スラ設計は強烈。既に書いたようにDFライン的には諸刃的要素もあるけど、DFのリソースを活かすならば当然の仕組みかもしれない。

手数を掛けてDFラインを崩すよりも、DFラインの手前で旋回によって、マークのズレを生じさせて空いたスペース(SB裏かSBCB間)に裏取り設計。ボールを愛する攻撃作りではない。早く攻撃出来れば越したことは無いといったダイレクトプレー優先。

今季のビエルサのリールを引き合いに出すとDFの仕組み(プレッシング~最終ラインは顕著)は類似している点はあったけど、ボール保持時が全く異なる。ポジショナルプレーよりも縦の展開に特化したのがマルセロ・ガジャルドの特徴のようで。今季のリールでいうと、アンジェ戦の前半の戦いのテンポがそのまま当て嵌まる。

とにかく攻撃の速さ重視のサッカー。ポジトラに力を入れつつ、手数を掛けないからロングボールは全然あり。手前の選手の降りる(釣る)動きとセットで。スローインも速攻的でトランジションの一環として使用していた。

トランジションゲーム化を引き起こすように縦の展開を続ける。相手もパウサといった要素は無く、空いているから攻めようぜの姿勢なので、結果的に縦の攻防の殴り合いになる。これが対リーベルプレートによるカオスなのか。もともとのアルゼンチンサッカーのリズムかは分かりませんが、攻守にペナ幅を意識しつつポジショナルな幅よりも奥行き連打といったところ。だから、カウンター返しもある。FW単体カウンターとして一本。ボールを低い位置から繋ぐよりも速く攻めることが出来るならそうしようかスタイル。

前での潰しによるズレの連動は怒涛といっていいくらいで、まさに雪崩れ込むようなもの。しかし、横幅フル活用のビルドアップからのサイドの枚数不足を仕掛ける(前述のDFの仕組みを逆手に取れる)相手と対峙したケースが気になりました。