2020-01-01から1年間の記事一覧
内田樹の著作を読むと随所に師弟関係の話が盛り込まれている、と思っているのだけど、端的に言えば「師との出会いを通した人生の豊かさ」になるのかな。そんな「師」と仰ぎ見る存在を持つことの意味を色々と記していたりするのだけど。 僕にも師匠と呼べる存…
ブログ上ではこの数か月、『俺ガイル』読解に費やしてきたわけですが、4巻の記事を書いたところから具合が悪くなってしまった。正確には5巻の記事の準備に取り掛かっている辺りで。 健康の問題というよりも「このまま読んで、書いてみても、想定していた以上…
夏目漱石の『こころ』に関する比企谷八幡の読書感想文が4巻では象徴的な意味を持っています。 彼にとって『こころ』は人間不信の物語であり、ハッピーエンドを否定していると読み解けている。ただそこには人が個人として抱かざるを得ない孤独があり、それを…
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。3 (ガガガ文庫) 作者:渡航 発売日: 2012/11/02 メディア: Kindle版 孤高こそ最強である。 これまでのようにボッチの正当化の反復が見られます。つながりは弱さを生むものであり、即ち孤高である自分は強いとする2巻…
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。2 (ガガガ文庫) 作者:渡航 発売日: 2012/11/02 メディア: Kindle版 ボッチであることを正当化する内省は、比企谷八幡自身の矜持のように描かれています。 群れることを弱い草食動物のように例え、逆説的に孤高であ…
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫) 作者:渡航 発売日: 2012/11/02 メディア: Kindle版 青春とは嘘であり、悪である。 この一文から作品は始まります。 「青春フィルター」というバイアスは、比企谷八幡曰く全てを正当化するために「青…
書かなかった。書けなかった。 この違いは大きいわけですが、僕はどちらかに割り切れないまま往来するようにして悶々としていた。 スランプなんて格好いいものじゃない。野村克也に言わせれば未熟者にスランプは無いらしい。じゃあ、スランプは縁遠いものに…
futbolman.hatenablog.com 本稿は上の文章の延長にあるので、まずはそちらを参照していただきたい。 取り上げた山崎亮の本に対して、私はハンナ・アーレント的であると最終的には位置づけた。不透明になった公共性と「私」と「公」を結ぶ中間領域(つながり…
コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書) 作者:山崎 亮 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2012/09/24 メディア: 新書 コミュニティデザインとは何だろうか。 最初にコミュニティデザインについて単語毎に分けて見ていく。…
本を読む際には「中」を読むのと同時に「外」を読むことが大事だと考えています。 本を読むのは大変です。 なんといっても「読む」ことが難しい。只でさえ「中」を読むのに四苦八苦するのに「外」も読まなければならない。 昨年末から「文学」について考えて…
ネットは社会を分断しない (角川新書) 作者:田中 辰雄,浜屋 敏 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/10/10 メディア: 新書 本書の結論はまさしくタイトル通りとなる。 この結果は、事前の私たちが抱くような一般的なイメージや価値観や分断を促してきた…
バルセロナが最強なのは必然である グアルディオラが受け継いだ戦術フィロソフィー 作者:オスカル・P・カノ・モレノ 出版社/メーカー: カンゼン 発売日: 2011/09/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) 本書には明らかに言葉の回復と再起動が立ち上げられて…
futbolman.hatenablog.com この一か月間は、日夜文学について考えてきました。 その中で、文学とは「時間軸を作る」ことだと一時的な結論を出しました。 むしろ、文学のみならず批評などの二次創作含めた表現全般に言えると思いますが「語り直す」ための時間…
「体験に対する胎盤」たりうる物語の「かたち」とは何か、が本書における最大の問いである。それはまた、様々な物語を通過儀礼という「凡庸」で「紋切り型」の「物語」に徹底的に還元することで、その可能性を探ろうとする試みでもある。現代文学がそのアイ…
人が嫌いだ。 馴れ合うのは疲れる。人と話したくない。 だから、声なんかいらない。 そう、少年は願った。 ある日、少年は声を失った。会話することに疲れていた少年は口を閉ざし、心までも閉ざした。 そして他人と距離を取り、少年は疲れることすらも止めよ…
タイトルにある通り、2019年の振り返りも2010年代の総括も終わっていない。 何ならゼロ年代の亡霊を葬る祈りもまだ途中。 テン年代の亡霊って出てくるもんなんですかね、とか考えると、私は2010年代を「眼差しの変容」と評したい気持ちもある。 圧倒的な情報…