おおたまラジオ

しまいには世の中が真っ赤になった。

2022-01-01から1年間の記事一覧

「『俺ガイル』は文学」について

「『俺ガイル』は文学である」という言葉を考えて『俺ガイル』論を書いてきた気がする。今思えば、そのように考える、考えるほかない読者に向けて、僕は『俺ガイル』についての文章を書いたのだろう。 note.com futbolman.hatenablog.com 今度の12月31日コミ…

「本物」ってなに――『俺ガイル』ノート

『俺ガイル』9巻で「本物が欲しい」と告白する比企谷八幡。 「本物」とは何なのだろうか。 『俺ガイル』に触れてきたことがある人をいくらか悩ませてきた「本物」。 これまで俺ガイル研究会の人たちと議論を重ねてきた結果、「本物」とは否定神学的である! …

俺ガイル研究会の同人誌に寄稿しました

来る12月31日コミックマーケット101「土曜日東地区 "ペ " 11b」に出品する俺ガイル研究会の同人誌に寄稿させていただきました。 あなたのサークル「俺ガイル研究会 #kangairu」は、コミックマーケット101で「土曜日東地区 "ペ " 11b」に配置されました!コミ…

サブカルチャー化した文学から呼びかけられている――『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(17)

これまで続いてきたこの『俺ガイル』試論もまとめに入るときがきました。 『俺ガイル』とはどんな作品だったのでしょうか。その問いをみつめていきましょう。 前島賢が朝日新聞で連載していた書評では、『「残念」なキャラクターたちの部活もの』という紹介…

サブカルチャー化した文学から呼びかけられている――『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(16)

14巻の冒頭では「たった一言。たった、一言伝えるだけなのに、随分と長い時間を掛けてしまった」と雪ノ下雪乃の独白があるように、個々人がもどかしく「たった一言」で言い表せない言葉のアポリアに終始執着してきたのが後期『俺ガイル』といえるでしょうか…

サブカルチャー化した文学から呼びかけられている――『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(15)

13巻の冒頭、プロム企画に問題が発生します。プロム自体が問題視されているように、「大人」の意見として「正しさ」が横行しています。あるいは多数派によって決定される同調性、「空気」の可視化とでもいうべきでしょう。「空気を読む」ことの裏返しには集…