おおたまラジオ

しまいには世の中が真っ赤になった。

ラジオのトークゾーン、平山相太引退

  • オードリーのANN最新回(1月27日)の春日のトークゾーンで放送事故レベルのやらかしがあった。

http://オードリーのオールナイトニッポン | ニッポン放送 | 2018/01/27/土 25:00-27:00 http://radiko.jp/share/?sid=LFR&t=20180128010000

トークゾーンのネタ探しは大変なのは間違いなくて、週一にラジオ用のトークをこしらえないといけない。それがブラッシュアップされてテレビ用のネタになる。

『踊るさんま御殿』や『すべらない話』などで披露されるまでに至るが、ラジオでのトークが全部テレビ用に昇華されるわけではない。昇華という言葉を使ったのは、メディアとしての大きさによるもので、ラジオというメディアの質がテレビに劣っているとは思っていない派閥なので誤解なきよう。個人的にはラジオの尺とテレビで求められている尺が違うから、ネタによってはラジオの方が良かったりすることは結構あるのだけど。

ラジオのフリートークのためにネタ探しをするプライベートって大変なのは当たり前で、いくら芸能人だからといって、毎日がエンジョイ☆ハッピー☆ライフなわけではなくて。フリートークのネタを探すために用事を入れるプライベートなんて泣ける話じゃない。私はネタ探しのためにイベントを入れるのは透けて見えるから厭らしいと思ってしまうストイック派閥だが、「結果的」にそうなったら話は別。

この放送では、春日はトークゾーンでのネタが無かったのである。ここで誤解しないで欲しいのは嘘を盛り込んだ是非ではない。

というか嘘でもいい。面白ければいいから派閥だから。でも、この嘘は苦しかった。

そして、放送で問題になったのはネタが無い春日が、以前のフリートークの使い回しをしたこと

リトルトゥースならば分かるだろうが、オチのリサイクルについて前例が無い訳ではない。「リトルトゥースオチ」がそれ。

今回のトークは、以前のオチを使うために嘘を盛り込んで「寝てしまった~」の件からオチのリサイクルで着地しようとしたが、生放送で墜落してしまったわけである。

敢えて言うならばと前置き。

ANNのトークゾーンは若林の話が好みだが、春日の方が最近は良い。

若林の方が喋りは上手いが、ネタのチョイス自体は春日の方が面白い。喋りの上手さとかではなくてネタの面白さという意味で。

何故なら、春日の仕事の幅は無茶苦茶だから、それがトークに繋がるからネタに事を欠かさない。海外ロケのみならず、仕事のネタがそのままトークゾーンに使えるし、プライベートでは中川パラダイス話、フィリピンパブ話、エロパソ話など。

その点でいえば、若林は熱愛報道もあり、お付き合いのお相手のことを考えるとトークゾーンで使えるわけにもいかず。だから、話のネタは春日の方が分かり易い傾向が続くと思っていたのが正月。

まさか、このような事になるなんて。

本当に頭が下がる思い。仕事の合間を縫ってトークゾーンのネタ探し。気が休まることはあるのやら。

そして、次の放送から導入されるトークゾーンのパス券。この辺の緩さと駆け引きが、どのようにANNに変化を加えるのか。

 

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小学生の頃からボールを蹴っていた私は、当時、海外サッカーやJリーグよりも高校サッカーを観る機会の方が多かった。

まさしく国見高校の一時代を観た。

サッカーを観るよりも蹴る方が好きだった私は、よくサッカーが分からなかった。知らなかった。今も全然分からないが。

そんな私でさえ、平山の凄さは圧倒的だった。怪物と呼ばれた男。

怪物といえばロナウド。私が認識し始めた時はW杯を制する大五郎カットの9番だったのを覚えている。

しかし、私が初めてリアルタイムで怪物だと思ったのは平山だった。

日本のサッカーファンなら夢を見たことだろう。誰もが平山が代表を背負う看板になると。

色々あったのはニュースで読んだ。

スケールと比べて思い描いたサッカー人生ではなかったと思う。それでもロマンはあった。夢を見た。

夢ってのは醒めるものだが、醒めないものがあってもいいじゃないか。夢みたいな話でもいいんだ。そんなこともついつい零したくなる。

お疲れ様でした。

フットサル日本代表vsアルゼンチン代表 日本の修正とピヴォの価値

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2018年 1月28日 

日本対アルゼンチン

結果は1-4で敗戦。

アルゼンチンは一戦目と違った。フィジカルも狙いどころも。一番違ったのはラインの高さとプレッシング。アルゼンチンの1列目のDFは強烈でした。

先制したのは日本。清水のゴール。幸先のいいスタートだったが。

2試合目を観るなら1試合目も観た方が良いということで。その前提で話を進める。 

futbolman.hatenablog.com

【日本の修正その1とアルゼンチンの動き方】

 

アルゼンチンはこの試合も3-1で、キックオフ後の中央レーンの選手がパラレラの要領で抜けて、サイドからサイドへの展開。ボールを受ける前のウィークサイドの10番のフィンタも。10番が持った時の日本の1-2列間、ウィークサイドの5番の非言語コミュニケーション+バ未遂、日本はピヴォへのコースを消すDF→回収からのバックパス。日本のプレッシングラインは1戦目と変わらず。

修正されたのはウィークサイドを低めに取ることでアルゼンチンのアラのバックドアを消すDF。相手の縦パスを詰めてカット。吉川の足の出し方からファウルを貰ってFKからのゴール。

1戦目のアルゼンチンのアラのバックドアに対する修正はこの時点で見られた日本。

前半13:37 ウィークサイドの日本の守り方。アルゼンチンのバックドアの要求(非言語コミュニケーション)に対して、1戦目の修正の成果のシーン。13:32~ ウィークサイドの相手の動き出しについての日本の逆DFの撤退。ストロングサイドでの横パスからの予測。1戦目のアルゼンチンのウィークサイドのバックドアの起点は横パス多用だったから。

 

前半19:02 星→森岡→ピヴォ当てとキープ 斎藤の抜ける動きによってアルゼンチンの1列目が下がる。バックパスによる時間、星から吉川へ。サイドからサイドへの展開。吉川のボールの持ち替え方と中ドリ。中央ゾーンのライン間の活用による「中→外」でサイドを確保。サイドを埋めるのは斎藤。

ウィークサイドの星がバの要求。非言語コミュニケーション。1戦目のようにウィークサイドの撤退に気を配っているアルゼンチンよりも先の出足。しかし、斎藤の持ち方と角度から難しい。斜めのパスラインをアルゼンチンの5番が消しているのは流石だけど。

 

【プレス回避からみるピヴォの価値】

 

アルゼンチンのプレス回避は、足裏の使い方と中ドリの是非。過度な中ドリによってサイドの限定は付き纏う。ボールを守るための手の使い方は巧み。

前半16:47~42 サイドからサイドへ。中央が抜けた後の中ドリ。門に通す難しさ。日本DFの門の距離感が良い。この辺もOFの中ドリの角度とDFの門の関係性。

2:13 アルゼンチンのプレス回避。日本のプレッシングラインは依然として高め。8番の中ドリとウィークサイドを埋める動きのタイミング(最初から降りっ放しではない)。中央レーンの6番のブロックによって清水がポジションを下げられているから逆サイドへのパスラインが確保できている。パラレラ。それへのデートと2列目の対応。アルゼンチンのピヴォの位置はウィークサイドのバックドアがプレス回避の基準になっているから、このシーンのようなパラレラからのストロングサイドの構築は薄い。サイドの限定と1列目以降のケアの仕方→中ドリで運びすぎると角度とタッチラインが厳しくなる。

アルゼンチンのプレス回避はどうだったかというと困っていた。日本のプレッシングはハマっていた。1戦目同様のラインの高さ。

両チームのテーマはプレス回避。

ボールの守り方となると、アルゼンチンは中ドリとピヴォ当て。ピヴォへのパスは日本も分かっているから激しく行くが、アルゼンチンの受け手のお尻~腰の使い方。後ろからいきすぎるとファウルになってリセットとなる。

前半途中からの変化。日本のプレッシングを嫌がって斜めに蹴り飛ばすシーンが続くアルゼンチン。ピヴォへの信頼感。ピヴォのバックドアがこの試合のアルゼンチンのオプション。1戦目はアラだったわけだから、そこへの変化である。前半13:45、前半12:04、前半11:44、前半11:09、前半10:41、前半8:51などなど。

逆手に取ったシーンと日本の対応。

前半8:40 アルゼンチンのバランス。距離感。ピヴォはウィークサイドの高い位置(ロングボール待機+バックドア準備)。だから、ピヴォに釣られて日本のDFは中央を空けてしまう。14番のシンプルなパラレラ。日本はマークを交換するための2列目のカバーがいないので、アルゼンチンとしてはスペースがある。きちんとデートする逸見のDF

前半51秒 ピヴォ当て前の14番によって逸見がブロックされているから、ボール保持者には時間がある。中に運びすぎていないからこその斜めの角度。6番の横幅。日本の室田と森岡の間の門を通すように、ピヴォのマークの剥がし方。その後の日本のDFの1-2列間を使って侵入するアルゼンチン。肝は1-2列間を横断するサイドへの展開とドリブルの時間。

前半32秒 アルゼンチンのプレス回避。ウィークサイドのピヴォのバックドアまでのプロセスに変化。サイドからサイドへの展開。日本の室田が首を振っていない。14番への意識が強くて、逆サイドの4番へのパスラインを消せていないシーン。プレッシングに伴う森岡のスタートポジションも下がり過ぎな気もする。ロングパラレラ。ピヴォはウィークサイドへの移動。

ピヴォへの信頼感といえば、アルゼンチンの2点目はピヴォ当て。10番のキープ力+ウィークサイドのポスト役のポジション取り+3人目の動きとしての2番の斜めのランニング→日本のDFとしてはウィークサイドのピヴォへのパスラインが消せない状況。

また、3点目はピヴォのバックドア。14番のボールの持ち替え方とアングル作り。ファー詰めではないけど、ファー詰めみたいなもの。あそこに詰め切れるかどうか。OF/DFともに。

アルゼンチンの前プレ除く3/4~ハーフでのプレスに対する日本の回避方法としては、パス後の抜け方とストロングサイドの構築と選手間の距離感、アルゼンチンのDFの1-2列間、1stDFの死角、エントレリネアス。

アルゼンチンは上記のようにピヴォへのロングボール。バックドアも含めて。

 

 

【個人的なツボなシーン集】

前半17:18 キックイン 3-1 ピヴォはどのようにマークを離したのか気になるシーン。テレビでは観えない部分。この辺に生観戦の価値がある。7番のキック精度とピヴォの半身と走路(ダイアゴナル)。

 

前半16:32~ アルゼンチンのプレスを回避する大変さ。1列目のDFのポジショニング。滝田に入った時のキツさ+1列目の7番が逆サイドの室田へのパスラインを消すために首を振っている。2試合通じて1列目の首振り頻度は日本とアルゼンチンでは大きく違った部分でもある。森岡がパラレラでサポートするにも距離があるからキツイ。前半におけるクワトロセットはアルゼンチンのプレッシングに苦労した。

 

前半15:15~01 キックインからの保持。アルゼンチンの追い込み方。中央のスペース管理とマンツーマン要素のバランス。1-2列の連動があるからこそ。

14:50~43 森岡へのピヴォ当てからの展開。逸見の時間の作り方と滝田のライン間への移動。アルゼンチンはY字的なDFで、サイドからサイドへ 滝田の裏の取り方、DFの死角。死角には死角のようにDFが逸見のマークを離してエントレリネアスの選手を潰す。タイミングと決断、サイドの限定があるから。

 

前半7:08~ 森岡へのピヴォ当て→アイソレーション。ゴール前の作り。森岡の反転不発だったが、1戦目では見られなかったピヴォの仕掛け。

 

 

【日本の修正その2など】

 

後半開始早々、逸見と森岡の連携→アラ位置とポストプレー。ウィークサイドの横幅もあるから、アルゼンチンの2列目のDFは絞りきれない。中央のゾーンへの侵入とシュート。1戦目のピヴォ当て後の展開、サポートの少なさが目立った日本。その原因は2人目の動きが固定され、3人目の動きをするためのポジショニングとスピードに難点があったから。そこで、この試合は出し手と受け手のペアのコンビネーションで。

後半19:13 森岡のポストが潰された後のトランジション→アルゼンチンの速攻。逸見の所で2v1を作るためのアルゼンチンの14番の走路選択が好み。この走路選択では森岡は外を走らない(中に戻るため)から、フリーになる。しかし、逸見のDF(非言語コミュニケーション)とゴレイロの関口の連携。関口にニアを切らせるようにカバーして対応。オーバーラップした14番は外にいるからコースが切られた。

 

後半18:48~ アルゼンチンのプレス回避がエグイ。ロングボールだけではないよと。日本の1列目のDFの死角と裏の取り方。バックパスによる時間の確保。1-2列間。

1戦目もそうだったが、日本のピヴォの1stDFがキツそう。首振り頻度が少ないから、死角へのカットとコースの切り方といった対応が緩い。

 

後半17:21 アルゼンチンのウィークサイドの撤退前のシーン。逆DFの認知と日本のボール保持者の角度からバを警戒する。ウィークサイドの差し合いは2試合目だからこその文脈。

 

後半16:50 日本の3v2のカウンターのシーン。1戦目の3v2のカウンターシーンよりも中央レーンの西谷が運ぶことは出来ていたが、それでもアルゼンチンのDFの寄せ方と数的不利時のパスコースの限定が光った。

 

後半13:35 逸見のエモいパス。会場からため息が漏れる。テレビの前の私も声が出た。

 

後半11:10 森岡のマークの外し方。ピヴォ当てとシュート。そこに対するアルゼンチンのゴレイロとDFのカバーの連携。フットサルの魅力だと思う一つのシーン。

 

 

日本はピヴォが1戦目に比べたらDFに慣れている様子は見受けられた。特に渡邊や森岡。星のマークの外し方も綺麗だった。3人目の動きではなく、ペアの動きでシュートまで持って行くシーンが増えた。ピヴォとアラの関係性。そういう意味では、逸見以外のアラが厳しかったと思う。次なるテーマは逸見をストロングサイドの高い位置でどう送り込むか。どう使うか。

2試合通して吉川は化物でした。

 

あとは、2試合ともにアルゼンチンはパウサが目立った。

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 トランジション直後のプレーテンポの落とし方。1戦目はフィジカルに問題が明白だったアルゼンチンだったので、日本のプレーリズムと付き合わないためと前線の基準点の有無が要素としてあったが、2試合ともにフィジカルが整っていてもいなくても、整理するのはバランスとボールへのリスペクト。スコア優位と時間の使い方でもあり、スペース攻略への準備でもある。

 

実力差はあった。1試合目とは違う試合内容だけに分かり易い差を感じた。勿論、1試合目のレビューでも書いたように1試合目でも絶望感はあった。フィジカルに差がある中でも、効率性と決定力を痛感させられたような内容だったから。この試合では結構なバチバチ感があったからこそ分かり易かった。シンプルに。日本は1試合目でやられていた部分を修正して準備して臨んでいたが、引き出しの量を感じさせたアルゼンチン。オプションの質と量はスコアに表れたと思う。

フットサル日本代表vsアルゼンチン代表 ウィークサイドの徹底とピヴォ当て

2018年1月25日 日本vアルゼンチン

2-4で敗戦。

アルゼンチンは例えると、サッカーのシメオネアトレティコみたいだった。

日本は3-1セットとクワトロセット。積極的にセットを入れ替えてプレーリズムを保つ狙い。一方のアルゼンチンは身体が重そうで、来日後もどうやら練習は一回しかしてないとかたまげた情報も。観光を楽しんでいて何よりだけど。

 

この試合の気になった大きな点を二つに分けて書く前に小噺を一つ。

3-1セットの日本の特徴として、ピッチ幅を目一杯使えるシーンでボールを迎えに行くのが多かった。パススピードの問題もあるし、迎えに行き方が真横というのも悪癖。相手のDFのスイッチになってしまうから。ある程度の角度は欲しい。段差を意識するならば尚更。3-1は3レーンを大きく使えるメリットがあるのに、それらの問題があるために結果的に日本のOFもアルゼンチンのDFもコンパクトになる。DFとしては中を切りつつ、外への準備をしている。それが自らDFの網に飛んでいってしまうように助けになっていた節はあった。

しかし、全部が全部、迎えに行くのが悪い訳ではない。足裏で舐めてDFの門を通すバルサのホセリートの受け方をみても、迎えに行くシーンはある。ただ、タッチラインを踏んで準備しているのは絶対にある。それこそヨハン・クライフがWGにはタッチラインを踏んでスパイクを汚せと言ったように。足裏で舐めて真横ではなく斜めであるからこそ、門の先にいる味方への角度が出来るのもある(その前にはカーテンとの組み合わせとホセリートが左利きというのは重要なポイントだけど)。

その点、日本はサイドからサイドへの展開でボールを迎えに行きがち。ピッチ幅広く使えていない部分でもあるし、相手のDFとの距離を自ら縮めているから選択肢とスペースが削られてしまっている。

それだけではなくて。例えば。

  • 後半残り4:22 3-1の日本の保持。ミドルゾーンの攻防で、森岡がボールを迎えに行かずにピッチ幅を使った受け方をしたシーン。相手のフィクソを釣る逸見の動きもあって、森岡が突破すれば縦には広大なスペースができている。チームとしての共通理解があるシーンだったが、ここの1v1を許さないのはDFとして流石というべきか。森岡の仕掛けに対するボールへのアタックの仕方。DFの間合いの詰め方、森岡が晒している右足でボールを運ぶ瞬間に、DFの足がガブっと出るような強さ。サイドの1v1で殆どやられなかった粘り強いアルゼンチンのDFには室田や逸見も抑えられていた。

 

 

【OF/DFにおけるウィークサイドと時間の違い】

 

アルゼンチンのウィークサイドの使い方はOF・DFともに1手先の世界が見えているように映った。特にバックドアの点で。

アルゼンチンと日本では流れている時間が違うのではと思った。ポイント毎の予測によるものだろうか。OFのウィークサイドのバとDFのカバーリングが顕著だった。

アルゼンチンの先制点のシーン。開始7秒。これが日本的には厳しかった。スコア優位と戦略が固まってしまった気もする。

  • キックオフ直後のバックパスを受けた5番から、7番へ。まだ7番の足元にボールが入っていない横パスの途中でウィークサイドの10番はバに入っている。仁部屋の対応は7番に入った瞬間のボールの角度からウィークサイドへのバだと認知して戻ろうとするが、仁部屋がボールから目線を離してマークする相手(10番)を見た時には、既に10番の方が仁部屋の位置取りよりも先に抜けている。浮き球を確認しつつ、スペースに戻る仁部屋はゴレイロと連携して、コースを切るように10番に対応するが、浮き球処理そのままファーストタッチで躱す相手10番のテクニックが光った。そのままゴール。

シュート自体は甘いのでは?という意見も。関口の準備含めた対応よりも、仁部屋の股下を抜いたシュートを褒めるべきなのかどうかはよく分からない。しかし、ウィークサイドのバックドアは明らかにアルゼンチンのオプションの大きな一つで、その後も再三と同じような形を作っていた。

バの意識が強いのは明らかで、ポジショニングがウィークサイドにしてはやや高いシーンもちらほら。勿論良い面だけではない。そのデメリットとして、日本のプレッシングを回避できずにボール保持が詰まったアルゼンチンとしては、ウィークサイドが高い位置から降りてサイド埋めてボール保持者に顔を出す必要性があるシーンも、日本のウィークサイドのDFを含めた1列目で消していた。

アルゼンチンのバについては前半途中から関口のカバー、後半からはイゴールのカバーが目立っていたように修正の速かった日本。3-1でのプレス回避が全く出来なかったアルゼンチンは、ゴレイロからだけではなくシンプルに長いボールを使うのも駆使。シンプルなんだけどアルゼンチン級となると面倒臭いのは確かで。ハッキリと捨てられる明快さと浮き球の精度と処理は脅威的だった。

 

  • 16:21~ 日本のクワトロに対するアルゼンチンのDFが見事。アルゼンチンのゴレイロからのロングスローからの展開をボールカットした日本。トランジションの段階。日本陣地といえども、アルゼンチンとしてはスペースを消しながらの撤退が求められているシーン。2列目が2枚しかいないので時間を作る必要性があるが、一方で日本は前線への基準点がいないので無理にカウンターを仕掛けてカウンター返しに引っ掛かるよりも、バランスを整えつつボールを持つと。そして16:15 日本の渡邊がライン間に入る。ウィークサイドの仁部屋が手を上げてバ(をするかしないか)の要求。ボールを見つつもそこを逆DFの5番が首を振って見ている。この試合通じてウィークサイドの撤退は徹底されていたアルゼンチンのDF。仁部屋はフィンタをして足元で受けようとする。サイドからサイドへの展開をすれば、大きなアドバンテージが得られるシーンであるが、アルゼンチンの11番のDFが厭らしい。仁部屋の位置を首を振って確認しているから、サイドからサイドへのパスラインが直前で消された。多分、キャンセルしていなかったらパスカットされていたと思う。1列目のDFのウィークサイドへのラインを消しながら、他のDFと連動してどうボールに寄せるかは凄かった。日本的には出せそうで出せない感覚。その切り方の徹底は見事。キャンセル後のストロングサイドとバックパスでの2列目への時間を作ってから、星の抜ける動き。アルゼンチンのDFの1列目の門の間を取るような抜け方をしているから、パスが通ればチャンス。しかし、DFの14番がデート。ここでサボったら終わるから当然だけど。星の出足が早かったから、軽くプッシュすることで走路を膨らませている点は憎い。膨らんだ影響でDFに前に入られて門へのパスをカットされてしまった。

アルゼンチンの3点目もバが絡んでいる。

 

  • 後半18:44 アルゼンチンのプレス回避。4番のボールを貰う準備と8番のライン間に入る動き。マークする役割の室田は人に付く。1列目の清水はボールウォッチャーになっているが、中へのドリブルを警戒して待機しつつ、逆サイドへのラインを消している。しかし、ウィークサイドのバックドア(背中を取る動き)をしている14番をフリーにしている。誰が付くのか?結果的にDF2枚が釣られ、シンプルに逆サイドへの展開+オーバーラップの速攻。シュートまで打たせなかったことは素晴らしいが、アルゼンチンのオーバーラップに対して1列目の一番深い位置にいた斉藤が戻ってスライディングしなければ危なかった。ギリギリの守備。

 

攻撃でウィークサイドのバックドアを多用するなら、守備のセオリーもしっかりしていたアルゼンチン。

アルゼンチンのDFのウィークサイドの撤退は日本のバを警戒したもの。人に付くか、スペースを見るか、だとスペース優先。結果的にフィンタでウィークサイドに展開されれば日本の選手に時間とスペースを与えるが、その先の局面で使われたくないスペースは消している状況。

一見、時間を奪うというと前プレを連想しがちだが、1-2列目の連動とカバーリングで出し所を消してしまうアルゼンチンのDFはスコアと時間を管理していた。プレッシングラインは日本の方が高いし、明らかにプレス回避に困っていたアルゼンチン。

その日本に比べてアルゼンチンの方がプレスは緩いけど、とにかくカバーが速い。予測した1列目以降のポジショニングがエグい。ライン自体は上げ過ぎず、かといって下がり過ぎず。ミドルゾーンから後ろの部分(ゴレイロ前まで)で消してしまえばいいという共通理解。ボールを持つと困っていたのは確かで、アルゼンチン的には日本がボールを持っていた方が良かった感覚もあったのかも。

「足元の上手さ=フットサルが上手い的」価値観からすると、この試合のアルゼンチンはボールが収まっていないし、プレス回避も全然駄目。ただ、局面毎の時間の流れが日本とアルゼンチンでは違った。

前プレなどで時間を奪うことで相手の時間を「マイナス」にして自チームに「プラス」に転換するのではなく、先読みに基づく「プラス」の積立方式みたいに、DF時の思考スピードが速く、日本はアルゼンチンのDFよりも高速化が出来なかった。ボールの動き、人の動きも含めた頭の動きが違った。吉川のゴール時は別だけど。

日本からすればボールを持つ余裕はあるし、スペースもそれなりに確保されている部分もある。だから、選手たちからすれば最後の最後の球際以外のバチバチ感は少なかっただろうし、想定以上よりもやれた感覚はあったと思う。それは試合後のインタビューから明らかで。その要因はプレスがハマっていたのと、ボールを多くの時間で握っていたこと。アルゼンチン陣地でのプレーが多かったこと。

しかし、端から見ると必ずスペースに居るアルゼンチンのDFに目が奪われてしまった。

こういう試合運びを見てしまうと、フットサルの上手い下手の価値観の違いなんだと思う。気になるのは日本的にはボールを持っている割には「ある程度」は崩せる感覚はあったのかどうか。

結果論だけど、単純に勝つためならばボールを持つよりも「前プレ+ショートカウンター+セットプレー」で要所毎にチャンスを作る方が日本のメリットは大きかったと思う。燃費も悪くない戦い方だろう。

しかし、失点の速さ、つまりスコアとアルゼンチンの選択から、日本はボールは持てるが、試合のコントロールは出来ていないケースに入っていたと考える。ボールを握る方が素敵だし、ポゼッションは好きだ。日本におけるポゼッションの価値観、ボールへの愛というのはフットサルもサッカーも同じ。

ただ、この手の試合を観ると現実と効率と価値観を突き付けられる。

親善試合の一つであるから日本の方向性を占うようなものではなくても、この試合の差というのは見栄えは派手なものではないがとても大きいと思った。

分かり易い絶望感ってのは、ボールを握りたいチームがボールを持てず、奪うために前プレするものの、さらりさらりと回避されて裏を使われてケチャップがドバドバ状態。インテル・モビスターとグラン・カナリアの試合がそんな感じ。アルゼンチン戦はこれではない。ボールは持っているが、アルゼンチンにスコア優位性から時間とスペースを支配されている。

試合後には陰湿でタチが悪い絶望感があったのだけど、現場のコメントとの温度差もある。現場が第一なので現場がやれている感覚があるなら、それを尊重したいし信じたい。だから、このタチの悪い粘着したような気持ち悪さは私の杞憂、思い込みであって欲しいのだけど。

 

ついでに後半5:03 森岡へのピヴォ当てからウィークサイドの滝田への展開のシーン。サイドからサイドへ。アルゼンチンのDFの1列目の14番が森岡に入る瞬間に首を振っている。だから、ウィークサイドのバックドアに反応できている。アルゼンチン的には惜しくもカットできなかったわけだが、アルゼンチンのお約束となっているウィークサイドの使い方(OFとDFともに)を象徴しているシーンの一つ。

 

アルゼンチンと日本ではウィークサイドの意識が大きく違った。

日本のウィークサイドで目立ったシーン。

  • 前半14:34~14:27 ウィークサイドにいた西谷が気になる。ストロングサイドの3人で終始。全く関与していなかった。逸見、森岡、降りてくる滝田の関係性、森岡のアウトサイドのパスから逸見と森岡がパラレラ等で抜けて裏を取ったシーン。ウィークサイドのアルゼンチンのDFも流石に西谷を見るよりも絞らないといけないわけで、スペースを埋めた。その逆DFが空けたスペースに一枚が撤退(森岡をマークしつつ)。状況的には3v3だが、ウィークサイドの西谷のポジショニングの高さが足りておらず、逸見の選択肢が一つ減っている状態。だから、2v3みたいなもの。自身をマークしているDFがスペースに引っ張られたのだから、相手DFの動き方を考えればもう少し高い位置を取って欲しかった。リスク管理ならば1枚残っているわけで。

 

  • 後半8:24 アルゼンチンの前プレを剥がそうとする日本のボール保持シーン。ウィークサイドへのケアを含めたアルゼンチンの守備の面倒臭さが表れていた。クワトロセットの日本は、渡邊が受けてプレスから逃げるためにゴレイロ方向に運ぶ。このシーンでは角度的に味方の顔が見えているのは逆サイドの選手だけ。残り2枚はライン間に入って抜けている段階。アルゼンチンの1列目としてはサイドからサイドの展開が一番面倒だから消したい。そのための6番の首振り。6番によってサイドーサイドのパスラインが消されているから、渡邊はサイドからどんどん中にボールを守りながら運ばないといけない。執拗な14番のチェック。ライン間からサイドを埋める皆本たちだが、ボール保持者はサイドが限定されている状態。逆サイドの味方には6番が付いており、仮に6番のDFを突破しても2列目のカバーがある。回避方法としては、ここまでサイドが限定されているので蹴り飛ばす以外にも渡邊がピサーダで皆本を使うのもあるが、見えていないものは出来ないわけで。それにピサーダをするには距離が随分とあるのでゴール前で取られるリスクもある。だから、マークがきっちりと付いている味方にパスを出すしかないわけで、状況的には自陣の角近くでの2v2+タッチライン際付き。プレス回避的には詰みに近いのだけど、1v2の囲い方~トランジション~1v2の囲いから打開。そのまま日本の3v2のカウンター。3レーンを抑えた理想的な形だったが、渡邊のボールを離すタイミングが速すぎた。中央のレーンがもう少し運ばないと、ボールを受けたサイドはDFのスライドで潰されてしまう。ボールを受けた仁部屋は中に入ろうとしたが、アルゼンチンの3人目が帰陣。仁部屋としては中と縦を切られて無理。シュートまで行くべきシーンだったが不発。

 

【ピヴォ当てからの展開】

 

日本のピヴォ当て後のシュートの展開が厳しかった。シュートまで持っていけない部分。ピヴォ当てが手段ではなく目的になっていると錯覚してしまうほどのサポートの少なさ、 つまり3人目の動きの遅さである。2枚目の動き方は徹底して、パス後の抜けてピヴォ周りの2枚目のDFを消すのに徹底していたから、その後のアクションである。

 

  • 前半10:45~29 ピヴォ当て後(ピヴォ清水から読むDF対応)が苦しかったと思う。この試合を象徴するようなシーン。日本の1点目のシーンは中央でのピヴォ当てであったが、この試合はサイドに追いやられるシーンが多かった。Fリーグでの清水の活動量と質を考えるとフウガと勝手が違うのを差し引いても物足りなさは否めないが、そこはアルゼンチンのDFを流石というべきか。ボールの出し所を探りつつ、保持していた日本。サイドでのピヴォ当て後、清水に入った直後。出し手の室田が抜けて、清水に近い1列目のDFを消す。ピヴォ当てのアクションは2枚目の動きは徹底されていたが、問題は3枚目の動き。清水のキープとマークのDFの駆け引き。その時間を使った3枚目のオーバーラップ。その走路とタイミングといった選択肢から逆算したようなDFの対応が上手かった。オーバーラップの瞬間に、マークの入れ替えする為に、清水に付いていたDFは距離を空けて追い越してくる日本の選手に抜かれないように対応するための距離を作っていた。1-2列目のマークの受け渡し。相手を観て動く重要性。清水と3人目のオーバーラップをするならば、清水が足裏でボールを引きながら窺う必要性があった。DFとの距離感とターンからカットインのオプションもあればサイドでのプレーも変わったかもしれない。ただ、清水もFリーグの時のように反転してからの展開は無く、アルゼンチンのDFによってピヴォのサポート待ちが限定されている状況が出来ていた。

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上のシーンとは違うが、同じ要素のシーンが下記。

  • 後半16:51~ 日本のプレス回避からピヴォ当てまで。イゴールのキック精度は大事。パス後のカットの走路と後方の自由とダイレクトなプレー。良いタイミングで森岡に縦パスが入ったが、その後の逸見の2人目の抜ける動きで森岡に2番目に近いDF(1列目)を消し、カットインの走路を作る。その後のサポートの遅さとポジショニングの問題。ピヴォ当て後のポジションバランスがどうなのか。3人目の動きとして西谷が仕掛けたのはオーバーラップ。しかし、森岡の外を回り込んで走るには距離がある+出発点が遠い。リスク管理として一枚は必ず中央に居ないといけない。西谷はそのタスクを担っていたから遅れたのもある。西谷が抜けたら、ウィークサイドの選手が絞って中央を埋めないといけない。自分が動くことで味方を動かす。感じるかどうか。西谷をマークしていたDFの4番は落ち着いてデートして対応。日本のピヴォ当て後が問われていた。

 

3-1セットで、アルゼンチンのDFの思考スピードを上回っていたのは吉川→清水→吉川のゴールシーンくらいだと思う。

吉川の右サイドの味方に手で高い位置を取れと指示した後の中央の清水へのピヴォ当て→清水がボールを守りながら中に入る→吉川はパス後の速いランニングに付いてこられない1列目のDF(ピヴォ当て後なので、ボールとスペースを見ないといけないので吉川から目線を外す必要性がある)→清水がボールを持ちながら中にDFを引きつけてスペースを作り、吉川が先ほどに指示した選手が右サイドで高い位置を取っているのでスライドができなくなっているアルゼンチンのDF(最終ラインは2v2の同数)→ピサーダへのコースへの吉川のランニングとそのままシュート。

 

 しかし、やはり見事だったのはアルゼンチンのDFピヴォ当て後の囲み方、コースの切り方、アングル。それに伴う日本の2~3人目の動きの判断。選手間の距離とバランス。

ピヴォ当ては一時的にピヴォを孤立させるものであるが、相手1列目はマークから目を外してボールとスペースを見るために背後を確認しないといけない。この視野から外れた瞬間のアドバンテージこそがピヴォ当ての醍醐味の一つだと思っているが、味方の2列目がどれだけオープンな形でボールを受けられるかどうか。ピヴォの質で殴るのも難しい相手の場合は特に大事になってくる。

そういう意味では、ピヴォ当て後の展開をみると、前述のようにこの試合では日本とアルゼンチンの思考スピード、両者の流れている時間に違いがあると思ったシーンの一つだ。それくらいのアルゼンチンの収縮スピード、スペースか人かでは、スペースを第一に消す。多少相手に時間を与えても、球際は闘って最後は滑ることも厭わない献身性。

所詮、親善試合。然れど親善試合。だって、現代表の試合を観るのは初めてだから。コンディションと連携の調整、テストという意味合いが強い位置付けの試合のため、結果よりも内容が求められているテストというのは前提とあって。

決して面白い試合ではなかったけど、アルゼンチンの底の深さが分からないくらい深いという意味では面白かった。OFのボールの持ち方、お尻と手の使い方、足腰の粘り。最後までのDFの徹底というのは、フットサルもサッカーもアルゼンチンでした。