おおたまラジオ

しまいには世の中が真っ赤になった。

おおたまラジオ第1.7回『サマーウォーズ』の不満点を身体性の有無とその距離感から語る

サマーウォーズ』の不満点を身体性の有無とその距離感から語る

 

前回に尺足らずで喋れなかった『サマーウォーズ』について語るだけのおおたまラジオ番外編です。前回の延長戦と考えてください→

おおたまラジオ番外編「ぼくのなつやすみは日本人の原風景と宗教」 - フトボル男

サマーウォーズ』がセカイ系だとかは一先ず置いといて、「仮想空間」や「仮想現実」や「拡張現実」といったスペースが持つリアリティとしての強度に、個人レベルのみならず社会インフラも管理して世界的展開しているのが本作が持つフレームだと思います。それが結果的にセカイ系の匂いを醸し出し、対比としてローカルな大家族の中での少年少女の物語へ帰結していきました。

この作品内では「仮想空間」におけるアバターの身体性が機能している設定でしょう。ラジオ内では『どうぶつの森』とかの延長線だと喋りましたが、『セカンドライフ』が正しく爆発的に展開された後は『サマーウォーズ』みたいなものだったかもしれません。規模や技術展開やモチーフは厳密には違いますが、『サマーウォーズ』のアバターの親和性はリアルの生活の延長にあります。

その身体性の有無については『デジモン』を引用しました。かつて『デジモン』では処理できていた設定を『サマーウォーズ』では出来なかった原因は、明らかに私たちが生活している世界の延長として描いているためでしょう。

デジモン』はやはり少年少女のためのファンタジーです。どう考えてもそれは揺るぎません。アニメは子どもたちのためにあるという思想があるからです。宮崎駿的です。現実の私たちはデジタルワールドに行けません。あの夏を彼らと一緒に過ごすことはできません。私たちは〝選ばれし子供たち〟にはなれないんです。

それに対して『サマーウォーズ』の世界は現実の可能性の一つになると思います。そうなると、アバターによる身体性の仮託が関の山だったわけです。そこに付随させていくには『攻殻機動隊』のように「拡張現実」との連動に伴うデバイスからの卒業と一致を描かないといけない。それはより近未来的で現実の時代性と文化と距離が生じます。そうではなくてより身近な未来として、技術として表現したのが『サマーウォーズ』とするならば、それによって違う距離感が生まれたのは皮肉としかいいようがないでしょう。

 

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